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「キミまで700km」デザインまわりの話

はじめに

みなさんこんにちは。ななほしサミットのむかいかわずです。

このnoteでも本サークルのナナさんが随時情報発信してきた広島観光乙女ゲーム「キミまで700km」が、ようやく日の目を見ることができ、デザイン・イラスト・広島関連の監修を担当してきた僕としても、とてもとても嬉しい限りです。

おかげさまでプレイしていただいた方の中には、広島の今まで知らなかった魅力を発見された方もいらっしゃったみたいで、広島県人の僕としてもありがたく思います。プレイしてみて「広島へ行ってみたいな」ともし思っていただけたら、ぜひ、一度、広島へお越しください(むすびのむさs)。

今回は本ゲームでビジュアル面を担当した僕から「キミまで700km」のデザイン周りのお話ができればと思います。「どういうコンセプトでゲームデザインをした?」「なんでこういうカラーを使ったの?」「企画のナナさんとのやりとりはどのようにしたの?」という点を中心に、制作過程も交えながらお話しできればと思います。


そもそも「乙女ゲー」をプレイしたことがなかった…

まず僕は、周りの多くの男子同様、少年ジャンプ少年サンデー少年マガジンコロコロコミックを読んで育ってきた野郎だったのでナナ先生ほど乙女ゲー界隈や少女漫画に慣れていたわけではなかったのです。そこでナナ先生が私物として所持している多くの乙女ゲーを実際にプレイしたり、画集を読んだりして、「あぁ、こういうのが乙女ゲーなのか」という雰囲気を知る、というところから始まりました(するとしないとでは大違いだと思うので・・・)。

綺麗で圧倒的画力で描かれた高身長のイケメンたちに綺麗なグラフィック、少女漫画のような夢溢れるストーリー・・・少女漫画といえば「ちびまる子ちゃん」しか通ったことのない僕としては何もかもが新鮮でした!

ただ、僕が描いている広島4コマ漫画「うちらのフォークビレッジ」は女の子ばかり出てくる作品ですが僕としては男の子やイケメンを描くのも好きなので、女子が憧れる高身長二次元イケメンを描くという仕事に、やりがいはとてもありました(女の子イラストでお馴染みの江口寿史先生も、男子描くのも好きってTwitterで呟かれてたような・・・)。

ただ、ゲーム全体の雰囲気周りはどうしても「THE 乙女ゲー!」というものを作るのは難しかったので、作品全体から漂う優しい雰囲気を大切にすることで、ゲームデザインを進めました。ゲーム中の素材1つ1つも、「静寂」「優しさ」「穏やかさ」を心がけ、たとえばボタンデザイン1つにしても雰囲気に合わせ作り替えたものを使用しています。

広島名物をずらっと並べた設定画面用背景。

キャラクターデザインの流れ

以前サークルで制作した「きまぐれシャノワール」のキャラデザ同様、ナナ先生が下書きしたり、着せ替えゲームやアプリでデザインしたキャラクターを貰い、自分が描き起こしては確認してもらい、それを繰り返し、まとめていきました。

とりあえず、コピー用紙に色付きラフを描く。
花梨の初期案

いろんな乙女ゲーに触れてみて感じたのは、女性向け作品はキャラのスタイルや髪型、服装など見た目にとてもこだわりが詰まっているだけでなく、
「この攻略キャラは過去にどんな人生を送ってきて、どんなものを背負って生きてきたのだろう?」というキャラ本人の生き様もとても深いところまで設定されているということです(これは漫画のキャラ作りにも言えることですが)。

最終案

キャラクターのビジュアル作りはナナ先生が事前にイメージをたくさん膨らませてくれたおかげで、攻略対象の薫から漂う優しく誠実だけど、少し心に寂しさを背負っている雰囲気は表現しやすかったと思います。攻略対象が1人だけ、ということで登場人物が少なく集中しやすかったのもあったのかも知れませんが・・・。


タイトルロゴとイメージカラー

「キミまで700km」のタイトルロゴは、宮島にある大鳥居と東京タワーのシルエットを配置し、「7」の横線で繋げることで本作の柱にある「遠距離恋愛」をイメージしています。まずナナ先生から「こんな雰囲気のロゴで」と既存のロゴをいくつか提出してもらい、制作を進めました。

「キミまで700km」のタイトルロゴ

ロゴでも使用している赤と青の2色は、静寂をイメージした青から、鳥居の赤とタワーの赤、二人の物語がこれから始まるんだよということを表しているのと、薫と花梨2人そのものもイメージしていますが、赤と青の配色は、パキッとしたビビットカラーだと、それこそ昭和の子供向けキャラにありがちな派手めの配色になるけども少しパステル調にし、ピンク・水色寄りにすることでおしゃれさと可愛いらしさの両立した雰囲気を目指しました。
Jリーグのサガン鳥栖のユニフォームも、ピンクと水色の配色で女性サポーターからも「可愛い」と評判なようなので・・・(さりげなく自分の趣味が出てしまう)。

ちなみにこのロゴで使用している「7」のフォントは当サークル「ななほしサミット」の新たなロゴにも用いています。二本の線が重なり構成された「7」で、かわずとナナ、趣味趣向は違っても表現を楽しむ気持ちは同じで、2人で1つのななほしサミットなんだということを表しています(ブラウン管風の枠に収め、かつてのテレビ局のロゴ風にしているのは完全に僕の放送趣味からですが・・・;)。

ゲーム制作を機に新しくしたロゴマーク

余談ですがアナログ放送時代、広島で7チャンネルといえばNHK教育でしたよねぇ(これも県内でまたエリアごとに変わるのでしょうけども)。


「乙女ゲー」に関わり、気がついたこと

まずはティラノビルダーという、プログラム知識がなくてもノベルゲームが作れちゃうソフトを用意してくれ、ノベルゲームコレクションというそれを気軽にプレイすることができる空間を提供してくれた開発者様には、本当に感謝です。ゲームがこんなに直感的に作れるだなんて、すごい時代になったもんですね・・・。


初めに話したように、女性向け作品にいままで不慣れだったので「乙女ゲーとして、こういうキャラデザでもよかったんかな?」「ヒロインの見た目はちゃんとプレイヤーに共感される見た目に描けてるのかな?」という不安が正直今でもありますが、地元を愛する方言男子キャラとして薫が愛され、薫との広島旅行をプレイヤーが楽しんでくれたら、自分としても嬉しいです。

ナナ先生との共作は自分1人では思いつかない分野に触れる絶好の機会でもあるし、刺激にもなるので毎回良い経験になっています。これがスキルアップにつながり、自身の創作にもどんどん活かせたら嬉しいなぁといつも思っています。


おわりに

地元民の僕がプレイしてみても、どの分岐を選んでも広島日帰りツアーとしての流れに説得力もしっかりあるルート構成だと思うし、こだわりにこだわったTips用語集も含めて観光系ゲームとしてコンパクトに旅行前に楽しめるものに仕上がったと思うので、出かける前に予習する分にはもってこいかもしれません(尾道や福山、瀬戸内沿岸エリアはストーリー内の解説に留まっていますが・・・)。

Tipsの文章構成や添削はナナ先生にも協力してもらいました…あぁ文章力が欲しい。

そして今後、「キミまで700km」を制作する上で得たデザインやイラストの知識・経験だけではなく「風景写真をAdobe Photoshopでイラスト風に加工する」という方法も僕自身の復習もかねてまた紹介できればと思います。方法自体はネットにも多くありますが、ナナ先生と出会う前から趣味で自分が撮ってきた広島の写真が今回とても活用できたので、風景も交えてその辺も話せたらと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。今後もななほしサミットの作品をよろしくお願いいたします。