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パフェレポ ロイトシロ「ココナッツと青唐辛子のパフェ」2024年8月

 食べているとピリピリしてくるほどスパイシー、織り成す要素は組み合わさるとまさにグリーンカレー。でも最後は甘いので、スイーツであることを納得させられる不思議なパフェ。

いるはずのスナップえんどうが、いません……。

 トップにはまずパクチー。パクチーが苦手なわたし(と、おそらく同行者の方も)、告知の段階で完全に見過ごしていた。告知の画像をもう一度見てみると、スナップえんどうのインパクトで見落としていたけれど写真にはちゃんといましたね(文字には無かった)。少しだったからまだ食べられる。そしてそのスナップえんどうは無かった……。提供初日だったからかなあ
 続いてココナッツのアイス。特有の風味とコクがあっておいしい。なにやらアジアンなかんじがしてきたぞ。
 そしてその下、問題の青唐辛子と焼き茄子のアイス。こやつ、グリーンカレーだ……!! 正直、焼き茄子はよくわからないが、味はまさしくグリーンカレー。薄甘くはあるが、スパイシーでしっかり辛さがあり、このアイスのピリピリ感が長い間響き続けている。そして、このアイスがこのパフェたらしめる重要な構成要素であり、このアイスの風味のおかげでパフェ全体をグリーンカレーにしている。先ほどのココナッツのアイスのコクでさらにグリーンカレーたらしめているし、よく考えると上に載っていたパクチーも赤ピーマンもレモンもすべてグリーンカレーに載ってるやつだった。実は食べ始めからもうグリーンカレーが始まっていたということに、ここでようやく気付かされる。パフェの伏線回収……!
 ハーブのジュレで小休止。先ほどのアイスの風味が強くてハーブ感は弱めだが、箸休めのような働きがある。
 そんなこんなでパフェを掘り起こすと見つかるのが海老。わたしはパフェに入ってる海老、初めてでした。グリーンカレー味のアイスとココナッツのアイスの風味がまだ続いているので、まさにまろやかカレー味のするぷりぷり海老。5センチくらいあって、結構大きいので食べ応えもあり、口にすると幸福感を得られる。炒め物とかピラフとか何にでも言えることだけれど、海老が口に入るとラッキー、って気分になるのはなんなのだろう。わたしだけじゃないはず
 その下は食感を楽しむパーツ、パーツの桃と筍のサラダ。噛むとぱりぽり、小気味良い食感なのは細切りの筍。これはまさにグリーンカレーの具だけれど、パフェのパーツとしても良い仕事をしている。味にクセがないので思いの外パフェに馴染んでて驚き。そして桃、少し固め(?)なのか、筍よりも少し柔らかい程度の食感で、なんといっても甘いのでとても良いアクセントに。メインではなくアクセントとして使われる桃、まるで大物俳優が友情出演としてドラマの重要なシーンで少し出てくるやつみたい。なかなか贅沢な使われ方をしている。わたしはとても好き。
 ここからまた展開が変わってくる。お次は赤パプリカのムース。前にも赤パプリカのパーツをこちらで食べたような気がするが、塩味も感じられてしみじみ美味しい系のパーツだと思う。赤パプリカの味は確かにスイーツ寄りではないけれど、全体的におだやかな味わいの中にお食事系の異質さがあるのが、丁度良い気がする。特に今回は、上層が完全にグリーンカレーなので、ここからスイーツに寄せる上でのジョイントになるパーツとして非常に良い仕事をしている。
 次はココナッツのパンナコッタ。先ほどはアイスだったが、こちらはパンナコッタなのでミルキーさが際立ち、同じココナッツフレーバーでもスイーツ感があるのがおもしろい。パフェの底は甘いクッキーを荒く砕いたものが入っている。このクッキー、よく言うクランブルよりも甘さがあり大きさがあるのでこちらもスイーツ感を際だたせている。最後はちゃんと甘いので、スイーツを食べているという気持ちにさせられて〆。

 今回はパフェ全体でグリーンカレーを表現しているのがおもしろかった。まさに味がグリーンカレーの青唐辛子と焼き茄子のアイスを中心に、赤パプリカ・レモン・ココナッツアイス・ハーブのジュレ・海老・細切りの筍 という、グリーンカレーの構成要素が食べ進めていくうちに出てきて、どんどんグリーンカレーたりえてくるというのが良かった。最初は意図が分からずに食べ進め、途中でパーツの取り合わせの必然性とその意図が読めてくるのって、層構造であるからこそ起こる面白さであり非常にパフェらしいなあと。
 中盤まではこんなふうにグリーンカレーだけれど、赤パプリカのムースあたりからおだやかかつ甘さのある味わいに少しずつ変化し始め、最後はココナッツのパンナコッタとクッキーというしっかり甘いパーツで終わらせてくれる展開も好きでした。終わりよければ全て良し、最後が甘けりゃ「(スイーツとしての)パフェ食べた~~」という気持ちにさせられるのが不思議なところ。Typicaさんに似たなにかを感じる。
 ユニークなコンセプトがしっかりとありながらも、スイーツという体を為している素敵なパフェでした! これだからおもしろパフェはやめられない……!

 今回はこちらのパフェの提供初日にお店へ駆け込み、パフェを食う女さんとご一緒してきました。パフェを食べる前後で楽しくおしゃべりしていただいて感激です、おかげさまでパワーチャージできました。ありがとうございました! お土産を頂いたのですが、紙袋がエスルセットさんで「流石……!」となりました。

(ここから余談)
 パフェを食べに行く時、新宿に降り立ったらゲリラ豪雨に見舞われ、「まさに群青日和の『新宿は豪雨』……!」と思うとちょっとテンションが上がりました。
 最近、12月開催の文学フリマ東京39の準備に追われていて、パフェレポを書く余裕が無かったのですが、ようやく第一段階終了、8月は少しゆっくりできるかな、という状況にしばし落ち着いたので久しぶりにレポを書きました。
 無理してレポを書くのはもうやめてしまったのですが、このパフェはとても面白かったので楽しく書くことができました。
 ここ最近、週1に1本ペースでパフェを食べられれば良い方、というパフェ好きと標榜できないレベルにしか食べていなかったのですが、その分1本1本を厳選して食べているというのもあり、毎回毎回感動的でとても美味しく感じます。そう考えると、食べる本数を絞るのも悪くないのかな、という気持ちにもなります(という風に考えるようにしているという方が大きいですが)。
 11月いっぱいくらいはイベントの準備に追われる予定なので年内こんな状況ですが、たまにはパフェを食べてリフレッシュしていこうと思います。新刊の方は、おもしろ企画を用意してます!

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