パフェレポ カフェクーポラ・メジロ『初夏に爽やかレモンパフェ』2024年5月
レモンで爽やか、それでいてジェラートのまろやかさ、紅茶・お酒の香りの重奏で飽きさせないパフェ。
トップに刺さっているレモンは「レモネード」という品種で、見た目はレモンだがみかん寄りの味と店員さんから伺う。確かに食べてみると、苦味が少なく爽やかな酸味、みかんのような甘味もあるのでそのままで美味しく食べられるフルーツだった。見た目はレモンなのにそのまま食べられるのが不思議。そして輪切りになったパリパリドライレモンは文字通りパリパリで、丁度いい塩梅の酸味が噛むほどに感じられる。
続いてレモンミルクジェラート、甘いミルキーさがベースになっておりその上にレモンの酸っぱさがある万人受けな美味しさ。初恋はレモンの味とはよく言いますがこんな味なんだろうなきっと（推定）。とても可憐なお味です。
そんな可憐なジェラートの隣は、ゴツゴツとした茶色い岩のような見た目のお菓子が突き刺さっている。ブルッティ・マ・ブオーニ、醜いけど美味しいという名前の焼き菓子。こちらも昨年からの続投で、とっても美味しかったのでよく覚えている。外は固いが、メレンゲのような軽い食感で、甘香ばしい風味がレモンの爽やかさの中でアクセントになっている。その下にはレモンシャンティクリーム。クリームのまったり感にレモンのさっぱり感が加わって軽やかなお味。焼き菓子に付けて食べると、まったり感が加わってさらに美味。グラスの縁に付いた塩、スノースタイルをクリームに少し付けて食べても塩味が足されて味変に。
グラスの中へ。サクサクなフィアンティーヌの下は、マサラチャイパンナコッタ。お馴染みロンネフェルトのマサラチャイを使っているそうで、想像通りの美味しさ。
そしてその下、一番のおもしろパーツである大葉＆クリームチーズジェラート。クリームチーズのせいなのか、あの独特のダイレクトな和っぽさがあまり無く、ハーブのように香るのが面白い。今まで何度か大葉が使われたパフェを食べたことがあるが、ここまでハーブっぽい使われた方は初めてかもしれない。甘さ控えめで、クリームチーズの塩味と風味がマッチしている。おつまみ系ジェラート。最初は大葉とミルクのジェラートにしたそうなのだが、相性の悪さから塩気のあるクリームチーズにしたとのこと。
食べ進めると現れるのが柑橘コンポート。美生柑という夏みかんのようなほろ苦さを感じる柑橘が、先ほどのジェラートのまったり感を引き締めるアクセントになっている。
その下はダイス状にカットされたシフォンケーキ。珍しくただのシフォンケーキになっている訳は、先ほどの大葉＆クリームチーズジェラートが溶けたものがこのシフォンケーキに染みるのを想定しているからだそう。しみしみシフォンケーキ、話を聞くだけでもう絶対美味しいやつってわかる……！案の定美味しかったです。甘いシフォンケーキが塩気のあるジェラートを染み込んで、あまじょっぱくてハーブっぽい香りのするまったり美味しい風味になっていた。まさに幸せの味。
柑橘の使い方が流石上手だと思った。レモンがテーマなので、そのテーマの通り柑橘やハーブで終始ひたすら爽やかにすることもできるが、今回のクリームチーズのまったり感の中で柑橘をアクセントに使うという、テーマではあるが一旦それをひっくり返す手法がこちらを飽きさせない。
ここから下は香りの良いゾーンへ。アプリコットハーブティーソルベはアプリコットの甘酸っぱさとハーブティーの香りで香り良し味良しなソルベ。こういうフレーバーティー、あったら飲みたい。
塩クランブルのザクザク食感で一旦リセット。その下のレモンジュレは酸味があって爽やか。
いよいよ最後のジュレ。ここにもクーポラらしい素敵な仕掛けが。まず上層はシャンボールジンジャージュレ。シャンボールというベリー系のリキュールを辛口のジンジャーエールで割ったカクテルを再現したもので、キリッと辛いジンジャーエールの風味がかなりきいている。その後にベリーの甘さのある香りが感じられ、かなりエッジのきいた甘辛な風味が印象的。下層はアールグレイレモンピールで、上のジュレと混ぜて食べるとダージリンクーラーというカクテルになる、という想定になっているそう。クーポラはお酒の使い方が本当に独特なのが面白い。まずジュレでカクテルを作ろうというのもなかなかだし、パーツを組み合わせてさらに別のカクテルにしようとするのは流石としか言いようがない。この日はGW最終日ということで、英気を養うためにお酒も頂きました。今回はこちらのカクテルと同様のシャンボールのジンジャーエール割り。これを飲むと、ジュレの再現度の高さに気付けて驚く。辛口ジンジャーエールのキレと甘めなリキュールの相性がすごく良い。ジュースみたいに飲めます。こうやって、気軽にお酒を飲めるのもクーポラの良いところ。
テーマはレモンという爽やかな果物でも、食べ終わりでぜんぜん物足りなくならないのがすごい。途中でクリームチーズがつかわれたこっくり味のジェラートがあるというのもあるが、紅茶やお酒の香りによって満足感のあるパフェだった。特に、最後の辛口ジンジャーエールの辛味がかなり強いので、このスパイシーな印象で終われるのが一筋縄ではいかない雰囲気を醸し出していてとても良かったです。重たいパーツは入れれば入れる程しつこくなってしまうけれど、香りの良いものは入れても同様の満足感足り得るということを再認識させられた。
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