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人間って、案外カンタンには死なないんだな~恐怖の外科回診編~

良い大人が大号泣

手術が終わってから、毎日、毎朝のお決まりのコース。それは、外科回診。

外科回診のアナウンスが流れると、身構えてしまう。

廊下で外科の先生達の声が大きく聞こえてくると、「いよいよ私の番だな…」とため息が出て、そこから気合いを入れるのが、毎朝の日課でもある。

先頭を切って私の部屋に入ってくるのは、私の主治医なんだが、外科回診は外科の先生が全員来るので、威圧感に圧倒されてしまう。

偉い外科の先生も来れば、若い駆け出しの先生も来るし、看護師さんも来る。

偉い先生は壁を背もたれにしながら腕を組んで、静かに見守っていて、若い駆け出しの先生は回診車を押して、先生の助手をしている。

手術から10日が経ってから、お腹に入っていたドレーンチューブも、1本ずつ抜けて行ったが、トレーンチューブを1本抜くだけでも、痛みとニュルっとする嫌な感じが何とも言えない。

4本入っていたドレーンチューブも全部が抜けた時は、一気にお腹がスッキリしたようにも思えたが、その後も糸筋縄では行かないらしい。

一進一退の攻防戦

傷口の回復の対策もあって、ステロイドは50ミリに減ったが、ステロイドが多い事には変わりないらしい。

手術の傷口の治りが遅いだけならまだしも、そこから細菌感染してしまったらしい。少し前から縫ったところの一番下から、汁が出ていたがそれは膿が溜まっていたかららしい。

朝の外科回診では、膿を出すために下から3針分の抜糸をして、その周りをギューっと押されて、膿を出したが痛くて絶叫してしまった。

その後、その開けた穴から縫った痕の下の空洞に、細いチューブを入れて、いつでも膿を出せるようにしてもらい、そのチューブに生理食塩水を流して、空洞全体を洗浄する処置をしてもらった。

最初から最後まで、いちいち痛い。それもどの処置も痛くて歯を食いしばったり、思わず絶叫したりするレベルの痛さ。

痛くて絶叫して、泣き出す始末。

挙句の果てに、そんな私の醜態を目にした外科の偉い先生が、私のところまできて、肩をさすってくれる。

「痛いけど、頑張ってね。深呼吸して」と言われても、深呼吸なんて出来ないで、逆に過呼吸っぽくなってくる。頑張っても酸素が肺に届かない。

外科回診が終わると、魂が抜けたみたいに、しばらくは放心状態のままで、ほとんど使い物にはならない。

初めて膿を出してからは、毎朝の外科回診が恐怖で憂鬱な時間になってしまうのだった。

一筋縄では行く訳がないと覚悟していても、常に想定外の事ばかりが起きる。

こんな時に焦りは禁物。人生設計を立てるのも禁物。

病気については、運否天賦うんぷてんぷ。天に任せるしかない。成る様にしか成らない。

この期間をどうやって楽しむか、辛い事も悔しい事も悲しい事も、楽しんだモン勝ちなんだと思っている。


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