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米中代理戦争勃発の予兆-南太平洋・ソロモン諸島で内戦が起こりそうな、嫌な予感

中国の王外相が南太平洋のソロモン諸島を訪問して安保協力を進めるとニュースが流れたら、突然、それまで(米国と情報まで共有する同盟国のファイブアイの一員でありながら) 中国との経済関係を大事にしていたニュージーランドが一気に反中に触れて、オーストラリアなどは「中国脅威論」で沸き返りました。

私は南太平洋の島しょ国には不案内だったので、「一体何でそんな騒ぎになったのだろう?」と不思議に思ってウィキペギアでソロモン諸島の歴史を調べてみました。第二次大戦からの部分を引用します。

尚、ソロモン諸島は第二次大戦以前は英国の植民地でした。

(以下ウィキペギアより引用)

第二次世界大戦中の1942年、日本軍に占領されるが、アメリカ軍とのソロモン諸島の戦いではガダルカナル島が日米の激戦地(ガダルカナル島の戦い)となる。

1976年に自治権を獲得。2年後の1978年に、イギリス連邦加盟国かつ英連邦王国として独立した。

1986年にサイクロンに襲われ、大被害を受ける。
2000年6月、ガダルカナル島では、隣のマライタ島からの移住者が増加し、原住部族と移住部族間で土地の領有をめぐって武力による対立が継続し、市民社会の治安が脅かされた。

この事態に対し、自国の警察だけで対応できなくなった政府は、2003年7月、太平洋諸島フォーラムに対し多国籍軍の派遣を要請した。オーストラリアとニュージーランドの軍と警察、約2200人が出動し、治安の回復が図られた。

現在の課題は、財政赤字、森林破壊およびマラリア対策である。

2006年4月、首都ホニアラで反政府運動が勃発して、チャイナ・タウンが集中して襲撃された。…
2019年4月、マナセ・ソガバレが首相に再度就任した後、対外関係の全面見直しを表明。同年9月16日、中華人民共和国と国交を樹立し、これまで国家承認していた台湾(中華民国)と断交することを発表した。アメリカは、台湾との国交を継続するよう働きかけていたが裏切られた形となり、直後にマイク・ペンス副大統領がソガバレ首相との会談をキャンセルするなど大きなしこりを残すこととなった。

2021年11月24日、中国との関係強化や首相の公約が果たされていないことに不満を持つマライタ州の住民を中心とした住民により、マナセ・ソガバレ首相の退陣を求めるデモが発生。デモ隊は1000人以上に膨れ上がり、一部は国会に侵入しようとするなど混乱が広がったため、政府は首都ホニアラに外出禁止令を派出した。デモは翌25日にも発生して暴動に発展。中国人が経営する商店などが襲撃されて略奪・放火が行われた。混乱を受けて中国政府は重大な懸念を表明。オーストラリア政府は警察や軍人など66人を派遣することを決定した。

2021年12月23日、ソロモン諸島は暴動再発防止のため中国から警察関係者と装備品の受け入れに合意した。

(以上、ウィキペギアより引用)

ソロモン諸島の歴史を振り返りますと、つい最近まで、ソロモン諸島は英国とその仲間の庇護を受ける、いわゆる民主主義陣営に属する国でした。
ところが、2019年4月、マナセ・ソガバレが首相に再度就任した後に、突如として対外関係の全面見直し(逆転)を表明し。9月には中華人民共和国と国交を樹立し、台湾(中華民国)と断交しました。

私は、マナセ・ソガバレ氏が再登板する選挙に中国が陽に陰に援助して当選させて、マナセ・ソガバレ首相を中国の言いなりになるように、篭絡したのではないかと推測します。賄賂と甘言で他国の政府首脳を取り込む中国の、常套手段です。
一方で、一般の庶民の中には、そのようなことをされますと、反中国に心が振れる人が出てきます。

「2006年に、反政府運動が勃発して、チャイナ・タウンが集中して襲撃された…。2021年にも…中国との関係強化に(反対する) 首相の退陣を求めるデモが発生。…中国人が経営する商店などが襲撃されて略奪・放火が行われた」そうですので、(選挙の時にマナセ・ソガバレ首相に票を入れた人も確かにいるのでしようが)、中国式汚職政治には反対するという勢力もあるのです。

ソロモン諸島は英連邦ですので、長年にわたり英国式の民主教育が行われていたはずなので、香港で中国大陸式の独裁政治を同に融資用として激しい抵抗にあったように、ソロモン諸島でも独裁反対の声は少なくないと思います。

 また、暴動の時には、中国人の経営する商店が狙われて略奪・放火されるのは、中国人のえげつない商売の仕方が地元の人たちに嫌われているからかもしれません。アフリカの複数の国や、パキスタンの南の地域でもよく中国人・中国商店は狙われます。

私は、マナセ・ソガバレ首相の人となりを知りませんので、近未来のソロモン諸島がどうなるのかについては検討がつきません。

もしソガバレ首相が、北朝鮮の金正恩委員長や、ベラルーシのルカチェンコ大統領のように「自分の人生の第一の目標が(お金でなく)、国の統治者である事で、自分の地位を守るためならば、国民が塗炭の苦しみを味わってもよい」という人だとすれ中国との安保協定を盾にして、中国の軍と警察を大量に国に招き入れて、中国と自分に反対表明をする人たちを次々と逮捕して、独裁政治を行うでしょう。そして、ソロモン諸島の豊かな海の幸を中国に差しだして、自国の漁師が漁をできなくなっても平気でいるでしょう。

最も、もしソガバレ首相はただ中国のお金と甘言に踊らされているだけで、自分なりの愛国心は持っているかもしれません。しかし、中国からは簡単に逃げ出せるわけではありません。もし、中国を裏切ったら、様々なことが暴露されて身の破滅になるでしょうから、すでにソガバレ首相は中国当局の命令を拒めない状態にあるだろうと推測します。

ですから、68万ソロモン諸島に住む人たちが、戦後に受けただろう民主教育の精神を堅固にして、次の選挙でソガバレ首相から国政を動かす権力をはく奪しなければ、ソロモン諸島だけでなく南太平洋諸国には大きな災難が降ってくるかもしれないと思います。

なぜかといえば、中国の習近平主席は、中国人民に対して中国の夢の(=中国が世界の支配国になる)実現に一歩一歩近づいているという成果をみせなければならないからです。

ですから、今すぐ台湾に侵攻することができない習近平政権は、ひとまず篭絡しやすい政府首脳が複数いる、南太平洋の多数の島嶼国に食指を伸ばして、「南太平洋が中国の海になるぞ」と中国国民に披露したくて、中国の王毅国務委員兼外相が南太平洋諸国7ケ国を訪問して5月30日には、訪問先のフィジーで南太平洋島嶼諸国と外相会議をオンライン開催したのだと思います。

その会議の席で中国はソロモン諸島と結んだような安全保障面での連携強化を謳った協定の締結を提案したしました。もしこの協定が結ばれていたら、中国の本格的な太平洋進出の足掛かりになったでしょうが、中国進出を警戒した一部参加国から異論がでて協定は結ばれませんでした。

例えば【ミクロネシアのパニュエロ大統領は20日付で地域の首脳らに書簡を送り、中国側の提案が「新たな『冷戦時代』が世界大戦」につながる可能性があると指摘した。(日本経済新聞)】そうです。

私はパニュエロ大統領と同じように、南太平洋の島しょ国が中国と安全保障で結びつくことを危惧します。

なぜならば、暴動のたびに中国人の商店が襲われるようでは、どうもソロモン諸島の一般人には、中国人の受けは良くないようです。とすると、ソロモン諸島が中国の陣地になることを妨害しようとする米国・英国・オーストラリア・ニュージーランドが、反中国・反ソガバレ首相派を援助することになります。

振り返れば、現在ロシアに侵攻されているウクライナで発生した親露派のヤヌコビッチ大統領が辞職・亡命するきっかけになった巨大デモには、米国の援助と後ろ盾があったといわれています。そして今、ウクライナの反ロシアゼレンスキー政権側には、NATOから膨大な武器と援助が流れ込んでいます。

同じことが、ソロモン諸島で発生する可能性は0ではありません。親中派のソガバレ首相の退陣を求めるデモが自然発生し、中国がソガバレ首相とソロモン諸島で商売をする中国人を守るために、軍と警察を進駐させて、威嚇する。

すると、反ソガバレ派は怒りを増長させて、反中・反ソガバレの思いを強くして、デモが激化する。(このデモを西側が、後押しする)。暴徒と化したデモ隊を中国軍に武力行使する。

すると、反ソガバレ派は、民主主義を守るという旗印の下で、西側諸国の武器・資金の援助を受けて、ソロモン諸島が内戦状態になる。こともあり得ると、私は憂慮します。

思えば、現在ミャンマーでは、軍事独裁に抗議する民主派が武器を持って戦い内戦状態ですが、戦うための武器と軍資金はどこからきているのでしょうか? ミャンマーの民主化を願う世界の市民からの寄付金だけで賄っているのでしょうか?

台湾の取り合いで米中が直接戦火を交えると、両国とも被害が大きすぎる。けれど、ソロモン諸島をはじめとする南太平洋の島しょ国での代理戦争ならば、米中両国にとっては国が傾くほどの影響はありませんので、米中両国の首脳が「一戦やってみるか」と乗り出す可能性が高いような気がします。

ですから、私は、3年後か、5年後か、10年後かはわかりませんが、南太平洋・ソロモン諸島で(米中代理戦争としての)内戦が起こりそうな、嫌な予感がします。そして、今ならばまだ後戻りできるので、ソロモン諸島に中国軍を迎え入れるのは、今ここでやめたほうが良いと思います。

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