見出し画像

米国ニューヨークでも、中国でも高齢者の死者数に疑惑が持ち上がる。英雄だったニューヨーク州のクモオ知事は一転して地に落ちたが、なぜか中国では逮捕拘留中の香港の民主派メディア社主の容疑が増えているだけで、権力者は安泰。●コロナ死者数を過小報告 米NY州知事、辞任求める声も


米ニューヨーク州のクオモ知事(民主党)は15日、高齢者施設での新型コロナウイルスによる死者数を少なく報告していたことをめぐり、「混乱を招いた」として謝罪した。昨年は新型コロナに関する会見などで称賛を浴びたクオモ氏だが、一転、辞任を求める声も高まるなど激しい批判に直面している。  
老人ホームなど高齢者施設での死者数について、ニューヨーク州保健局は1万5000人超としている。1月下旬までは約8500人と公表していたが、州司法長官による調査報告書で「実際の死亡者数より最大で5割少なくなっている可能性がある」と指摘され、その後、死者数は大幅に修正された。  
米メディアによると、州保健局は、老人ホームから病院に搬送され、病院で死亡した入居者を「施設での死者数」に含めていなかったという。  
クオモ氏は昨年3月、病床数を確保するため、高齢者施設に対し、新型コロナ感染を理由に入居を拒否することを禁止。5月に撤回したものの、この施策により施設内の感染拡大を招き、数千人が死亡した可能性があるとして、批判されてきた経緯がある。  
また、知事付秘書のメリッサ・デローザ氏が今月10日、電話会議の中で民主党の議員に対し、高齢者施設問題をめぐり、トランプ政権の連邦調査が入ることなどへの懸念から「(死者数の公表を)凍結した」と説明したことが発覚。
与野党の州議会議員から「責任逃れのための意図的な隠蔽(いんぺい)だ」との批判が再燃した。  
クオモ氏は15日の会見で「できるだけ多くの情報を迅速に提供すべきだった」と謝罪したが、意図的な隠蔽ではないと説明。
州議会では、新型コロナ施策をめぐる知事の緊急権限の剥奪(はくだつ)や、弾劾訴追を求める声が出るなど、責任を追及する動きが強まっている。
●香港メディア「コロナ『震源地』とされる中国湖北の高齢者15万人が消えた」 2/18(木) 【中央日報 抜粋】

17日、香港の蘋果日報はラジオ・フリー・アジア(RFA)の報道を引用して、昨年1-3月期湖北省が80歳以上の高齢者に支給する年金名簿から突然15万人余りの名前が消えたと報じた。RFAは湖北省民政部の資料を引用してこのように伝えた。
また、現地の役人たちが高齢者年金名簿から15万人余りの名前が蒸発したことについて説明しないのはもちろん、該当期間行われた葬式と店舗数をメディアや大衆が集計するのも禁止したと明らかにした。
しかし、現地の活動家が当局の色々な公式発表を分析した結果、昨年火葬件数が急増したことを発見したと伝えた。
昨年1-3月期に湖北省で約41万件の火葬が行われたたが、2019年と2018年同期間にはそれぞれ37万4000件と36万件が行われた。
公式統計では3万~4万件が増加したわけだ。
だが、中国当局の公式統計によると、武漢の新型肺炎による累積死亡者は3869人だ。中国全域に拡大しても新型肺炎の公式累積死亡者は4636人だ。
現地活動家のリュウシュン氏は昨年1-3月期に湖北省で当局公式発表より少なくとも5倍以上多い人々が死亡したと主張した。
ある匿名の学者は蘋果日報に「高齢化社会に入って毎年高齢者人口が増加する状況で、高齢者の年金申請者数が急激に減ったというのは異常」と指摘した。
蘋果日報はこのRFAの報道が最近新型肺炎の起源調査のために武漢を訪れた世界保健機関(WHO)調査チームが2019年12月武漢ですでに遺伝子序列が異なる13種の変異種ウイルスが拡散したことを確認したというCNNの報道以降出たものだと説明した。
WHOの武漢現地調査チームを率いたピーター・ベン・エンバレク博士はCNNとのインタビューで「ウイルスが武漢で2019年12月に広範にわたって広がっていた」とし、これは当時武漢で感染者が1000人以上だったかもしれないということを意味すると説明した。
これに先立って、香港サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は今年春節を迎えて武漢で追慕菊が品切れになったと14日、報じた。
中国では旧暦の新年初日深夜12時が過ぎれば昨年世を去った亡者の魂をたたえるためにお線香をたいて白色と黄色の菊を献花する風習があるが、今年武漢では春節日である12日午前に菊が早目に品切れになったということだ。
これを受け、一部では新型肺炎による死亡者数が公式発表より多いのではないかと疑惑が提起されている。
●香港紙創業者を再逮捕 「活動家の台湾密航支援」
2/17(水) 22:05配信 【香港時事】



香港紙「リンゴ日報」創業者の黎智英氏(右)=1日、香港(AFP時事)
香港メディアは17日、中国共産党や政府に批判的な香港紙「リンゴ(蘋果)日報」創業者の黎智英氏が16日に国家安全維持法(国安法)違反容疑などで再逮捕されたと報じた。 
黎氏は別件の国安法違反事件などに絡み複数の罪で起訴されており、昨年末から勾留されている。  
今回の逮捕容疑は、中国や香港政府への制裁を国際社会に呼び掛けたほか…活動家らの密航を支援し、「外国勢力と結託し国家の安全に危害を加えた」疑いがかけられているという。 
【引用終わり】
クモオ州知事の疑惑に対しては、トランプ前大統領とは対立していた中で「介護施設の死者数の隠蔽疑惑は、トランプ前大統領にその数字をツイッターなどで政治利用されることを避けたかったからと報道…(テレビ朝日)」など、州知事か秘書のどちらかが意図的に死者数を過小公表していたことは、事実のようです。
クオモ知事が会見で「はっきりさせておきましょう。高齢者ケアホームでの死亡者、病院での死亡者、その両方について私たちはそのすべてを正確に報告してきた(テレビ朝日)」と言いながら、同時に「全員が忙殺されていた。パンデミックの最中で全員が毎日、働いていた。マスコミや国民への報告に関して情報すべてに遅延があった(テレビ朝日)」と煙に播こうとしているのは、次の理由だと思います。
即ち、『死者数の過小公表は意図的なモノではなくて、全員が忙殺されていた為に発生したミスによる』と、マスコミ世論の認定を勝ち取って生き残りを図っているのだと思います。
しかし、秘書のメリッサ・デローザ氏が今月10日、仲間内の民主党の議員に「(死者数の公表を)凍結した」と、『ミスではなくて、意図的にした』と白状してしまっていては、この逃げ切り策の成功は難しいと思います。
日本では、小渕優子衆議院議員の政治資金問題が発生した時に、父君の元首相時代からの忠臣の会計責任者の町長が、『すべて自分の責任だ。議員は一切知らなかった。何の責任もない』といった内容のことをテレビで明言していましたが、メリッサ・デローザ氏が『すべて自分の責任です。クモオ州知事は全く知りませんでした』と、明言しますかね? 
アメリカ人には「主君を守る為に自分が罪を被る」習慣がないので、そんな展開にはならないような気もします。
まあ、いずれにしても、トランプ大統領の(それでも一応は一生懸命やっていた)コロナ対策を、重箱の隅を突いて批判して大統領の座から引き釣りおろしたので、クモオ州知事も(自分が一生懸命やっていた)コロナ対策を重箱の隅を突いて批判されて、失脚しそうになっている訳です。
因果応報という所でありましょう。
一方で、同じように死者数の過小公表が露見しても、中国の方では過小公表を支持した人も実行した人も失脚する事はないようです。実際には「誰がやったのか」は私には解りませんが、過小公表は習近平主席や北京の幹部の気には障らなかったようです。
最も、こちらの方では最初から「武漢の新型肺炎による累積死亡者は3869人だ」という中国の公式発表を、実際の数字だと信じている人は、(北京の共産党指導部も含めて)中国にも世界にもいないだろうと、私は感じています。
ただ、中国人は「嘘だ」というと逮捕されるので、言わない。世界では逮捕されないので言っている。
それでは、香港では?
「リンゴ(蘋果)日報」がこの記事を伝えた前日の16日に、 創業者の黎智英氏が再逮捕されました。
「単なる偶然だ」と受け止めるのが順当ではありますが、妄想をたくましくすれば、この記事が出るという情報を得た当局側が、記事の差し止めを狙って前日に脅しをかけたと勘ぐりたくなります。
しかし「リンゴ(蘋果)日報」は、記事を出した。自分達のトップが逮捕されている。いわば人質を取られて脅されている状態なのに、それでも記事を出した。自分も次には逮捕されるかもしれないけれど、それでも記事を出した。
なんとなく、東日本大震災の時に、目の前に津波が襲ってきているのに自分は逃げずに「津波が来ます。海岸から離れて下さい。逃げて下さい」と防災無線で訴え続けて命を落とした市役所職員の女性に重なって、切なくなります。
と同時に、日本の行政府はどうかといえば、どう見ても格好良くは見えないのですが、「他国の政治家よりは、ずっとマシだ」と感じます。
アメリカの政治家は(トランプ前大統領もニューヨークのクモオ知事も)、自分の政策を実行するに当たり「自分は、みんなを救うヒーローだ」という芝居を、自分でしているような気がします。
例えば、トランプ前大統領は自分がコロナに感染した後で、ホワイトハウスに軍のヘリコプターで乗り付ける演出をして、「自分が、コロナを克服した強い指導者だ」と宣伝しました。
クモオ州知事が死亡者数の過小公表をしたのも「自分はコロナに科学的に立ち向かう、スマートで有能な指導者だ」という芝居に、闖入者が紛れ込むのを阻止したかったからと観るのが順当だと思います。自分は「完全無欠なヒーロー」の振りをしたいので、「間違えました。ごめんなさい」と言いたくなかったから、愚かにも隠蔽したような気がします。
多分最初は単純なミスだったでしょう。だから、ミスに気付いたその時に公表しておけば、数日マスコミに騒がれただけで何でもなかったはずです。隠蔽した為に、こんな大事になっているのです。
ミスを素早く誤れば、恥じをかいて数日騒がれるだけ…。一方ミスを隠せば、今は恥をかかずに済むが、後でばれたら身の破滅。
この選択視の中で「完全無欠なヒーロー」でいたいから、誤らないという選択をする人がいるのが、アメリカです。
これに対して中国の政治家は「習近平主席と中国共産党は、みんなを救うヒーローだ」という芝居を、自分達だけでなく中国人にもさせているような気がします。
例えば、習近平主席がコロナの収束した武漢を訪問した時に、ある集合住宅で、住民を部屋に閉じ込めて、バルコニーには北京から連れて行った俳優たちを配置して「習近平主席、有難う」と感謝の声援を上げさせて撮影して、世界中でその演出映像を放映させました。
つまりアメリカでは芝居をしているのは政治家だけで、米国民は観客です。そしてその芝居が好きか嫌いか良いと思うか悪いと思うかは、個人の自由です。
しかし中国では、一般の国民も観客でいる事は許されません。芝居に参加して習近平主席をほめたたえる芝居をしないと、逮捕されてしまうのです。
こうして観ると、アメリカはヒーロー志望役者と興味津々で文句の多い観客の国。中国はヒーロー志望役者とサクラ(太鼓持ち)の国。日本は芝居が下手な政治家と無関心なわりに文句だけは言う国民の国でありましょうか。
今日はニューヨークと中国でコロナの死者が過少申告されていたという記事が、偶然同じ日に日本のネットのトップに載ったので、日頃漠然と感じていた日本とアメリカと中国の政治家について書いてみました。
よく日本の政治家は「原稿棒読み」と批判されるのですが、私は、その理由は「テレビ映りで票が増える」と未だに気が付いていないからだと思います。だから、いかに原稿をうまく読むかの練習が足りないのです。
これに対して、アメリカでは1959年のケネディとニクソンの大統領選挙の時にテレビ映りで票が増減すると気が付いて、以来テレビで「自分は、みんなを救うヒーローだ」という芝居をうまくやるかが、政治家のたしなみになったのです。そしてついには、本業の政治と芝居の区別があいまいな所まで来てしまった訳です。
アメリカまで行くと芝居の為に嘘をつくという逆の問題も発生してしまいますが、私は日本の政治家も、テレビ映えのする発言の仕方、原稿の読み方を練習した方がよいと、近頃は思います。
なぜならば、コロナ騒動で国がイニシアチブを取れなかった理由の一つは、感動的な演説で国民の心に訴える事が出来なかったからだと思うからです。
地味に真面目にコツコツと。それは素晴らしい事ですが、それでは興味をもって観てくれる人にしか通じませんので、テレビ映えのする発言の仕方、原稿の読み方を練習した方がよいと思います。インスタ映えがこれほど騒がれる時代になったのですから、政治家も少し「人の目によく映る方法」を研究した方がよいと思います。
即ち、日本の政治の最悪の所は「誤解されて報道されてしまった場合に、うまく反論して、誤解を解いて身を守る事が出来ない」事だからです。
慰安婦問題も南京問題も靖国問題も、すべて「誤解を解いて身を守る事が出来ない」から、日本の苦しみになっているのです。今回の森元首相の発言問題も、「誤解を解いて身を守る事が出来ない」から組織委員長を辞任する事になったのです。
(追伸)
蛇足ですが、中国当局に締め上げられているリンゴ日報も「少しセンセーショナルを狙っているかな」と、私は感じます。
ななぜならば、2020年に湖北省の《火葬件数が(公式統計では)3万~4万件が増加した》事を検証する為に用いるべき数字は、2020年における湖北省の《年金受給者数の増減の数字》であるべきなのに、年金受給者名簿から15万人が消えたと報道しているからです。
毎年自然になくなる方がいるので、年金受給者名簿からある程度数の人の名前が消えるのは当然です。そして翌年には、受給年齢に達した人が、新たに名簿に載る事で、年金受給者の数は毎年さほど変わらないという状況になります。
ですから、火葬件数が3万~4万件が増加して、年金は受給者も3~4万人が減ったというのならば、コロナ感染で死亡したと推測する事が出来ます。
それなのに「年金受給者名簿から15万人が消えた」と報道するとは…。
世界の人目を惹きたいのかもしれませんが、私は却って「毎年自然になくなる方がいるので、年金受給者名簿からある程度数の人の名前が消えるのは当然だ」と開き直られてしまうので、こういった錯誤を狙う印象操作の数字を用いるのは、中国当局の嘘の公式発表と同じ穴の狢になる事なので、私は(個人的には)やめておいたほうがよいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?