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日本は不思議な国だ。多くの国がアフガンに自国民救出のために軍用機を派遣したが、日本は派遣せず大使館員は英国の軍用機で脱出した。けど米国に要請されると軍用機を派遣する。日本と米国の関係者を脱出させるために…。【引用開始】●<独自>アフガンに自衛隊機 邦人保護へ23日にも

アフガニスタンからの退避を支援するため、C-17輸送機によりアフガニスタンのカブール国際空港に向かうアメリカ海兵隊の第24海兵遠征部隊(画像:アメリカ中央軍)。
政府がイスラム原理主義勢力タリバンが政権を掌握したアフガニスタンに残る邦人の国外退避に向け、自衛隊機を現地に派遣する方針を固めたことが22日、分かった。23日に国家安全保障会議(NSC)を開いて正式決定し、同日夜にも自衛隊輸送機を派遣する。複数の政府関係者が明らかにした。
関係者によると、自衛隊機で国外退避するのは国際機関に勤める邦人のほか、在アフガン日本大使館や国際協力機構(JICA)で働いていた現地スタッフとその家族ら。スタッフは大使館、JICAともそれぞれ数十人程度が現地に残っており、本人の希望を踏まえ対応する。退避先は中東のカタールとする方向で検討しており、政府は職員を派遣し、調整に当たる。…
加藤勝信官房長官は 《18日》 の記者会見で「政府としては、現地に在留する全ての邦人と連絡をとり、帰国支援を含め必要な支援を今後とも行っていきたい」と説明していた。
【第一引用 終わり】
日本政府は、15日にアフガンの首都カブールがタリバンに明け渡されても、他の先進諸国が自国民救出の為に軍用機を派遣しているのを知っていても、自衛隊機を派遣しませんでした。そして、英国軍機に日本の大使館員を乗せて貰って、脱出させました。
そして、加藤官房長官は、《18日》になっても、まだカブールに日本人と関係者が残っていても、自衛隊機の派遣を検討しているとは一言も言いませんでした。
そこに20日にFNNが、【アフガン 米が日本に自衛隊派遣協力要請 米民間人の退避に向けて】と伝えました。
一部引用します。
【混乱が続くアフガニスタンから、大使館職員や民間人の国外退避を進めているアメリカが、日本政府に対して、自衛隊の派遣を含めた協力を要請していることがわかった。
外交筋によると、8月31日までに、すべての民間人の国外退避を目指しているアメリカ政府は、同盟国の日本にも民間人を退避させるための協力を要請していて、自衛隊の派遣の可能性などについて協議しているという。(第二引用終わり)】
すると、22日に自衛隊機を現地に派遣する方針を固めて、翌23日に正式決定し、その日にも自衛隊輸送機を派遣するそうです。
つまり、日本政府は「アフガンは、遠からずタリバンの手におちる」と、8月初めから国際報道で流れていても、18日か19日までは (邦人保護の為に) 自衛隊機を派遣するつもりは全くなくて (だから英国に頼んだのですが) 、19日か20日にアメリカに「来て、手伝ってよ」と言われると、3日で準備を整えて自衛隊機を派遣するわけです。
うがった見方をすれば、自国民の脱出のためには自衛隊機は出さないが、米国に頼まれれば米国民の脱出を手伝いに行くという事になります。
「日本政府って、不思議だな」と感じてしまいます。
勿論、表向きは「残留日本人と日本関係者を脱出させに行く」といいます。「ついでに、米国人も乗せるかもしれない」というスタンスです。
それでもって、日本関係者は脱出させ終わっても、アメリカ関係者がたくさん残っている限り「同盟国を見捨てて途中で逃げることはできない」という、武士道の美学に立脚するその場の流れで、最後まで米軍に付き合う事になるはずだというストーリーだと思います。
勿論、日本の自衛隊が「本当に邦人を脱出させるためだけに、カブール迄行く」のかどうかはまだ解りません。(もしそうなら、一回飛んでおわりでしょう) 。ただ、私は、日本が主体的に「邦人救出のために、自衛隊を派遣しよう」と決心していたら、もっと早く派遣されていただろうと思います。
そして、日本大使館員も「自衛隊機が来るだろう」と予測していれば、(G7=世界の主要先進国としては、みっとみないので)、英国軍機に頭を下げて乗せて貰うようなことはしなかっただろうと思います。
たぶん現地の日本大使館員は、親玉の日本外務省に支持を仰いだでしょう。その時外務省は「防衛省に依頼して、自衛隊機を派遣する」とは言わなかった。それでもって「米国か英国に頼んで一緒に乗せてくれるように頼む」という方針を伝えたはずです。
その「同乗させてくれ」運動を成功させたのが、東京の外務省か・駐英大使館か・現地の日本大使館かは、私にはわかりませんが、米国は自国だけで手いっぱいだったので英国が気の毒に思って乗せてくれたのでありましょう。
さて、私が、なんで今日のブログにこの案件を取り上げたのかと言えば、日本の外務省と防衛省は「息があっていないな」と感じたからです。外務省が、大使館員の脱出を自衛隊ではなく英軍に頼んだのは、異常ではないでしょうか?
勿論、「自衛隊には (法的根拠も含めて) 出来ない」ならば、解ります。しかし、今回は「在外邦人等輸送」(自衛隊法第84条の4)と「在外邦人等保護措置」(自衛隊法第84条の3)が成立していて、日本人を救出する為に法整備がしてあったのですから、「自衛隊にも 出来るようになっていた」のです。だから、米国に目をつけられて「手伝ってよ」と依頼されたわけです。
★「在外邦人等輸送」…外国での緊急事態の時に、外務大臣から防衛大臣に依頼すれば、自衛隊が日本人及び特定の外国人を国外に退避させる。
★「在外邦人等の保護措置」は、外国で危険が発生した時、外務大臣から防衛大臣に依頼すれば、自衛隊か日本人及び特定の外国人の生命や身体の安全を保護する。
勿論、米国や英国フランスという国が海外に平気で自国軍を派兵できるのは、この3ケ国が国連の安全保障理事国だからです。米英仏は、自国軍の海外活動によって国連で非難決議とか経済制裁決議が提案されても、自国の拒否権で阻止する事が出来るから、自由に海外派兵が出来るのです。
ロシアがクリミアを占領する気になったのも、国連での経済制裁決議を阻止できる拒否権があった為でしょう。また、中国が強気なのも拒否権をもっているからです。
この点で、今もって「国連加盟国は、どこの国でも日本に攻め込んでも良い」という敵国条項国にされている日本とは、事情が全く違います。この敵国条項は一応は死文化されていることになっていますが、今でも削除されていませんので、中国も韓国もロシアも、その気になれば理由なしで日本に爆弾を降らせても、国連という場での紙の上では違反にはならないからです。
この敵国条項ゆえに、日本には拒否権をもつ常任理事国のどこかの保護が必要になります。だから日本外務省が「アメリカに命令された時だけ、自衛隊に海外活動を依頼する」のも解らないわけではありません。
アメリカの命令で出かけた時には、中国から懸念が出てもアメリカの拒否権が守ってくれますし、韓国は文句を言えません。一方で日本が自国だけの判断で (米国が支持してくれない) 海外活動をしたならば、中国・韓国が「軍国主義の復活だ」と鬼の首を取ったように大騒ぎをするからです。
騒いでいるだけならよいのですが、中国だけでなくロシアから難癖をつけられて、米英仏が守ってくれなれば、拒否権が無い敵国条項国の日本は窮地に陥ってしまうので、外務省が自衛隊の海外活動に、慎重になるのは解ります。
しかし、今回の場合は、米国が5千人の派兵を決めた時に、米国に下話をして自衛隊機を出すことは簡単だったはずです。なのに、防衛省に依頼しなかった。
私には、外務省は「日本は未だ、何もしたくない国です」と世界に宣伝したような気がします。
だから私は、「在外邦人等輸送」「在外邦人等の保護措置」は、外務大臣から防衛大臣に依頼する時だけでなく、首相が防衛大臣に命令した時にも発動されるようにした方がよいと思います。
そもそも、真珠湾攻撃が、だまし討ちという形になったのは、「当時の駐米大使館が、命令時刻に宣戦布告をできなかった」外務省の大チョンボのせいであります。
つまり昔から、外務省と軍部(防衛)は、息を合わせることが苦手だったのです。だから、外務大臣の依頼で自衛隊が動くというようにしていると、また失敗するかもしれませんので、自衛隊は首相直属でも動けるようにしておいた方がよいと思います。

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