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世界各地の民主化の歴史は、その多くが民主化して、揺り戻しで反動があって、また民主化してと、波打って進みますのでミャンマーも反動で一時後退するかもしれませんが…。●ミャンマー国軍、選挙やり直し示唆 欧米諸国から制裁か



ミャンマー国軍は1日、クーデターを起こし、政権与党・国民民主連盟(NLD)を率いるアウンサンスーチー国家顧問らを拘束した。その後、国軍系のテレビ局を通じて「国軍が国家の権力を掌握した」と発表した。民政移管から10年で、民主化の流れに逆行することになった。国軍は選挙をやり直す考えを示したが、欧米諸国などは厳しく非難しており、制裁を科される可能性がある。  
国軍は昨年11月の総選挙で不正があったと主張し、NLD政権との対立を深めていた。国軍は声明で新たに「自由で公正な選挙を行う」としたが、先行きは不透明だ。  
国軍系のテレビ局は1日午前8時半(日本時間午前11時)ごろ、1年を期限とする非常事態宣言が出されたと報道。国軍出身のミンスエ副大統領が大統領代理に就任し、ミンスエ氏から軍トップのミンアウンフライン最高司令官に立法や司法、行政の国家権力が移譲されたと伝えた。  
その後、国軍は声明を出し、有権者名簿の重複など国軍が指摘してきた総選挙の不正について、選挙管理委員会が説明できなかったと主張。軍の下で新しく選管を設け、一定期間後に総選挙をやり直すとした。
【引用中電】
 私は、ミャンマーには詳しくないので、何でクーデターが起きたかわからなりません。朝日新聞デジタルの有料記事の無料部分にはこう書いてありました。
【引用再開】
●スーチー氏拘束、文化人にも波及か 識者がみた軍の意図(抜粋) 有料会員記事  2021年2月1日
聞き手・小早川遥平
民主化が進んでいたミャンマーで、軍が突然行動を起こした背景には何があるのか。上智大学の根本敬教授(ミャンマー近現代史)に聞いた。
 ――今回のクーデターをどうみていますか。
 1月下旬に軍は「憲法を守る」と強調し、クーデターのうわさを否定していたので、今回の動きは想定外だった。軍は大統領を拘束し、軍出身の副大統領に権限が委譲されたとみなして非常事態宣言を出させた。
非常事態時に軍が権力を掌握できるとする憲法の規定を悪用した形だ。
 ――「憲法を守る」という主張は、今回の動きの伏線だったということですか。
 そういうことだろう。実際に憲法の規定を守って、軍が権力を握る結果になった。
国会が招集される予定だった2月1日の未明に、軍は重要な人物をすべて拘束した。
 ――クーデターの理由としては何が考えられますか。
 軍が何に対して不満だったのかが見えてこない。現行憲法は軍政下で15年をかけて作ったもので、軍にとっては使い勝手のよいものだ。軍は選挙に不正があったと主張しているが、票を数え直しても国軍系の最大野党・連邦団結発展党(USDP)が議席を大幅に伸ばす可能性はないし、選挙をやり直してもNLDが圧勝するだけだ。
テインセイン前政権のように軍出身者がトップに座る時代に戻したかったのかもしれないが、経済が未熟な中では国民の怒りが政治に向かうだけだ。軍がどう説明するのかに注目している。
 ――今後はどういう動きが予想されますか。
 憲法上、非常事態は1年間とされており、スーチー氏は自宅軟禁、あるいはそれに準じる措置を受けるだろう。
NLDを支持する市民がどこまで反発を強めるかを見ていかなくてはいけない。軍があいまいな説明で強弁した場合、大規模なデモや集会に発展する可能性がある。
●大臣と議員に軍人枠 選挙圧勝でも笑えないスーチー与党(抜粋) 有料会員記事 2020年11月21日
ヤンゴン=福山亜希
ミャンマー総選挙は、アウンサンスーチー国家顧問が率いる与党・国民民主連盟(NLD)の圧勝となった。とはいえ国軍が影響力を保ち、民主化の要となる憲法改正も思うに任せない状態は変わらない。
道半ばの民主化の足かせとなっている憲法は、軍政下で定められたものだ。軍人議員に加え、安全保障分野の3閣僚の指名権は国軍トップが持つ。改正には国会の4分の3を超す賛成が必要で、軍人議員に事実上の「拒否権」がある。
(与党・国民民主連盟(NLD)の圧勝の理由は)半世紀以上も続いた軍の政治支配への拒否感が背景にある。「軍人枠」をめぐる憲法改正が簡単ではないと知りつつも、政治への軍の影響力を抑えたいという国民の思いは強く、「軍政に逆戻りはさせない」との民意がNLDを支えた。
 カレン族のNGO職員ノーエイプリルさん(33)は「和平問題では失望したが、国会に軍人議席がある限り、軍と競える政党はNLDしかない」と話す。…
【引用終わり】
 上智大学の根本敬教授(ミャンマー近現代史)は「軍が何に対して不満だったのかが見えてこない」が「テインセイン前政権のように軍出身者がトップに座る時代に戻したかったのかもしれない」と述べました。
実際、軍がスーチー氏ら政治権力者を逮捕して、非常事態ほ自分で起こして、非常事態の時には軍が政権を取るという憲法の規定に従って政権を奪取したのですから、クーデターを起こした理由は、軍トップのミンアウンフライン最高司令官が、自分が政権のトップに立ちたかったからしか考えられないような気がします。
しかし、ミンアウンフライン最高司令官が、「自分が政権のトップに立ちたい」と思ったのはなぜなのか?
確かに軍は国民に人気が無くて、11月の選挙にも負けました。しかし、現在のミャンマーでは、ミンアウンフライン最高司令官が指名する人に国会の4分の一の議席が与えられ、その4分の一があるから現行憲法は変えられず、3閣僚の指名権などの軍の特権は守られている訳です。
とすると、考えられる理由は2つあります。
その一 経済的理由。
閣僚の軍人枠が 国防3閣僚だけになったので、汚職などの実入りが少なくなったので、再びすべての政治権力を取り戻して、軍人幹部ガ贅沢できるようにしようとした。
その二 軍内部の動揺。
不通、ある集団が権力を失っていく段階では、内部で少なくなったパイを取り合ったり、新しい権力者集団に鞍替えしようとする裏切り者がでたりして、集団の内部に動揺が広がり、分裂する場合もあります。
即ち、一部権力を手放した軍の軍人議員の一部でもスーチー派に抱き込まれたり、または自分の意思で民主派に鞍替えしたりする人がでれば、軍のつくった憲法が改正されて、軍の政治的パワーは失われます。
そこまでは至らなくても、昔は国の支配者として威張っていた軍人さんたちは、段々と威張れなくなってきたと感じていたと思いますし、優秀な若者たちで出世を望む人達は以前は軍を死亡したでしょうが、今は別の官庁などを志望するでしょう。
このように、少しずつ少しずつ衰退してゆく事に耐えられず、軍の上層部は再びすべての政治権力を取り戻そうとした。つまり、権力がなくなると、軍の結束を保てなくなる為に、元に戻そうとした。
 このように、その一・その二は、「昔はよかった。これ以上没落したくない。昔に戻りたい」という願望だと思います。
 いわば、フランス革命後の ウィーン体制=王政復古と同じだと思いますので、いつかは破綻します。
 フランス市民は、一度王様に従わなくても良いという時代を経験した後では、再び王様に従わなくてはならない状態には長く耐えられずに、王様を追い出してしまいました。
ですから、一度軍に従わなくても良い時代を経験したミャンマー市民は、もう軍の権威に従う気にはならないので、軍の復権は今回(仮に)成功したとしても、長くは続かないと思います。
そして、再びの民主化の時には、軍は今ある政治権力ももぎ取られる事になるような気がします。
少なくても、今までの世界各地の民主化歴史はそうやって進んでいますので、ミャンマーも遠からず(1年~10年位のうちに)民主勢力が政権を取り戻すと思います。

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