情熱が湧き上がる方へ#自分で選んでよかったこと

発表会で歌いたい歌がなかったので
ボイストレーナーさんに勧められた
福原美穂さんの「優しい赤」を歌うことに決めた

決め手は歌が上手い歌手の人の歌を聴いて歌う方が
歌が上手くなるとボイストレーナーさんが
言っていたからだ

「優しい赤」を検索すると
福原美穂さんがLIVEでピアノ弾き語りを
している動画がでてきた

これがいい、と心底思った
だが、どこを探しても弾き語りの音源はなかった

それでも諦めきれず
ないのなら、ピアノを弾ける人に
作ってもらえばいいじゃないかと閃いた

知り合いの知り合いに
音大を卒業している人がいたので
弾き語り音源の制作をお願いしたところ
快諾してくれた

これでイメージ通り
ピアノ弾き語り音源で歌えると思っていたところ
思わぬ出来事が起きた

いつも通りお風呂に入っていたとき
突然、知らない歌詞とメロディが浮かんできたのだ

いわゆるサビの短いフレーズだけだったが
とても鮮明だった

忘れてしまわないように
急いでお風呂をでて
携帯電話のボイスメモに録音した

そして
すぐに音源制作を引き受けてくれた知人に連絡し
私に起きた出来事を伝えた


彼からの返答は
「優しい赤」の弾き語り音源はほぼ完成しているが
オリジナル曲を歌う方が絶対によいと
背中を押してくれた

サビしかなかったが
この曲をステージで歌いたいという情熱が
沸き起こった

私は少し迷った
サビだけしかなかったし
作詞も作曲もしたことなどなかったし
発表会まで2ヶ月ほどしかなかったからだ

だけど、この曲を歌いたかった

アカペラにタンバリンをもって
歌うスタイルでもよいから
この曲を歌おう
そう決めた

それから私はボイスメモの録音を頼りに
見様見真似でAメロ、Bメロだけでなく
落ちサビもある曲を完成させた

再び、音源制作を依頼していた知人に連絡し
今度はこの完成したオリジナル曲の
伴奏音源を作って欲しいと依頼した

彼は快諾し、すぐさま
メロディを聴き取って音符に書き起こし
伴奏をつけてくれた
私はとてもわくわくした

それまですっぴんだった曲が
プロのメイクアップアーティストに
メイクしてもらったかのように変身したからだ

それから
またしても思いもよらない展開が訪れた　

元々、福原美穂さんの「優しい赤」は
音源で歌う予定だったし
オリジナル曲も、もちろんそのつもりだった

だが、彼から
発表会当日に生でピアノ伴奏しましょうか
という申し出があったのだ

断る理由はなかった
嬉しすぎて、なんと返答したのか全く覚えていない

おそらく是非お願いしますとでも
言ったのではないかと思う

発表会当日
神戸のLIVEハウスには大勢の観客が
ひしめき合っていた

あれからちょうど10年
私は今だに歌を作り、歌っている

「ない」ことを言い訳にせず
自らの情熱が湧きあがる方を選んだ自分に
拍手を送りたい

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