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門出の日にかかった虹


私には忘れられない虹がある。

今から6年前のこと。
私たち夫婦は3月に結婚式を挙げることになった。


私は、南の島独特の招待客が300人とか集まる大仰な披露宴が苦手だ。


顔も知らない親戚や、会社の付き合いの薄い同僚。付き合いの薄い友人。←?
お祝い事には喜んで参列した方がいいのは分かっているが、どうにも割り切れない。なぜ、私が呼ばれるのだろう?人数合わせ?
正直者なのでそんなふうに思ってしまう。(もちろん喜んで参列した友人の式も多くある。誤解なきよう)

だから逆に自分がそのような誰が来るのかよくわからない披露宴は開きたくなかった。だから式は挙げなくても良いと思っていた。
しかし、写真くらいは撮りたいとあちこち探していると写真単体よりも式の前撮りやら後撮りやら結婚式に付随したプランの方が安い事が分かった。
それに夫は元より結婚式は挙げてもいい派だったらしい。

というわけであれよあれよと式をあげる事になったのであった。

やはり会社員をしながら休みの合わない夫と準備をするのはいささか大変だった。両家に気を遣いまくるのも大変だった。しかし私は、私のようなポンコツが大好きな夫と縁をいただき夫婦になれたことをすごく嬉しく思い、感謝している。
今までの自分のポンコツさや恋愛においてのめんどくささを思えば、無事に結婚までたどり着けたのは奇跡でしかないと思っていたし、今でもそう思う節がある。
だから皆様に感謝を届けたくて式をするのだと思いポンコツなりに奮起した。

私の結婚について亡くなった母方のおばあちゃんやご先祖様が
『こいつはしっかりした人と添わせてやらないと心配だ』なんて思ったかは分からないが、それ位現実でも見えざる世界でもお力添えを沢山もらって夫婦になったんだと信じている。

だから式の前夜だったか当日だったか忘れたが、
心の中でお祈りしてみた。

『おばあちゃん、ご先祖さま。
出雲の神さま、東京大神宮の神さま。
いつもありがとうございます。
おかげさまで式を挙げられます。
良かったら遊びに来てください』

出雲大社と東京大神宮にお詣りしたくせにご祭神の名前を覚えていない、とんだ参拝客だ。
でも間違うよりは100倍マシだと思う。

しかもご先祖だけでなく、神様に遊びに来いって…

見る人が見たらしこたま怒られそうで怖い。


その日の会場は私たち夫婦のあとにも式とパーティーが控えていた為、私達の式とパーティーはものすごくサクサク進んだ。

パーティー中に父方の祖母への花束贈呈が盛り込まれていた(式場の人の案)。
父方の祖母も大恩ある人なので花束贈呈は喜んでさせてもらうつもりだったが、
同時に母方の祖母へ花束が渡せないことが少し寂しかった。
席を用意してもらって写真でも飾ろうかとも思ったけれど
亡くなってもう何年も経っていたし、席数がいっぱいいっぱいだった為諦めた。
母方の祖母へは白を基調にした花束を作ってもらい、それを式後に母に託し実家にある祖母の写真の前に飾るようお願いした。

ハイスピードだったけど、充実したパーティーも終わりビーチでの後撮り(パーティーの後にウェディングフォトを撮った)も済み、全日程を終えて私たち夫婦が式場を出る頃にはもう夕方になっていた。
朝7時頃に式場入りしたことを思い出すと、およそ半日もかかったのかと驚く。

出口から出て空を見上げると、私はさらに驚いた。

2本の虹がかかっていた。


分かりづらくてごめんなさい

おめでとう、と言わんばかりに曇り空に大きな虹が2本。わあ、綺麗!と見送りに来てくれたスタッフさんが歓声を上げる。

おばあちゃんが来てくれたのかなあ。

胸がいっぱいになった。
少し涙が出てしまいそうだった。
式でもパーティーでも泣かなかったのに。


そういえば、式の前々日に来島した義理の母が言っていた。
『せっかくの南の島なのに雨ねえ、あんた(夫)のことだから当日も大雨だったりしてね!あはは』

義母に悪気がないのは分かっている。

でもせめてそこは『当日は晴れるといいね』では無いのかと思うと私の心に積乱雲が発生した。

でも当日は義母の軽口もなんのその、綺麗に晴れてくれたのだった。

そして式、パーティー、ビーチでの撮影の間はずっと好天だった。撮影が終わり式場に戻って帰り支度などしている時に夕立が降ったらしい。

そして虹が架かった。

神さまにお祈りしてみるもんだなあ。
お天気にも恵まれて、本当に佳き日だった。
おばあちゃん、来てくれてありがとうね。

私は夫にも、見送りのスタッフさんにも見つからないようそっと空に向かって手を合わせたのだった。


今日は書く部のお題【わたしの心にかかる虹】からヒントを得て書きました。
決してものごっつい綺麗な虹とかではなかったんですが、私の中では人生最高の虹です。

最後までお読みいただいてありがとうございます🍀


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