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死んでも生きても、しゃーない

 ま、死んだら死んだでしゃーない、くらいの気持ちで、平日の早朝に1人で、自宅から車で2時間の山奥にある渓谷に向かった。仕事の休みがなさ過ぎて体力的に限界で現実逃避がしたかったのは確かなのだが、全然、まったく、死にに行ったわけではなかった。ただ結果的に、1人だし、早朝だし、山道だし、熊出没注意の看板めっちゃあるし、誰にも行き先告げてないのに電波はちっとも入らんしで、ちょっと笑った。何も考えてなさ過ぎて、服装は麻のスカート(風通し重視)とサンダル(水に入りたかった)。ひとりぽっちの山道は川の音しかしなくて、1時間歩き続けてたどり着いた渓谷の遊歩道入口には「熊よけに鳴らしてね」的な鐘があったので、とりあえずガンガン鳴らした。「遊」歩道のくせに全然遊び心のない、石と木の根っこのごつごつ道で「全然歩道じゃないじゃん!」って森の中でひとり、ぎゃーぎゃー文句を言いながら、これまた1時間くらい歩いた。滝を見て、ちょっと川に足先をつけて(めっちゃ冷たかった)、川辺の岩の上でちょっと寝た。渓谷の水のあおいろは本当にきれいで、宝石とか、宇宙みたいだった。
 正直いうと、だいぶ投げやりな気持ちではあったので、渓谷を見たらもっと気持ちが「引っ張られる」んじゃないかなあと心の片隅で思っていたんだけど、そんなことはなく。私の存在はびっくりするほど独立していて、ふてぶてしいほどででーんとこの世に居座っており、自分の生命力にちょっと引いた。帰りはシャトルバスに乗った。まだ10時台だったから帰るのなんて私1人で、おじいちゃん運転手さんとたあいもない話をして笑った。生き残ってしまったから、しゃーないなと思って、結局今日も働いている。ケアレスミスが消えないが、私を休ませない会社が悪いような気がしてきて、だいぶ開き直りつつある。休みたいなあ(今月、2.5日しか休めてません。労基案件だぞおい)
 

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