見出し画像

人生初手術が尻⑨ ~入院7日目・焦り、そして気づき~

※本記事では筆者実体験の痔の手術について出来る限りおもしろおかしくレポをしておりますが、経験者の方やこれから経験する方を貶める目的のものでは決してありません。また、上記のような目的としての記事の流用は決して容認致しません。



「タナオロシサン!オキテ!!」

んあ~~~~~………。

なんとも寝起きの悪い朝である。時間は7:00頃。

昨夜は、風呂に入って、「マツコの知らない世界」の映画音楽の特集を見て、ゴロゴロしてたら消灯が来た。

消灯、って基本個室なので今まではあってないようなもんだったんだけど、なんか昨晩はちゃんと来た。

「 ケシテクダサイ!」と言われるがままに電気を消し、眠くなかったのでつい脳が元気になってしまって、昨日読んだ本の怖かったシーンを反芻して思い出していたら完全に眠れなくなった。


考えすぎで寝れなくなる、っていうのは結構よくある事で、そうなると本当に脳が思考の渦に巻き込まれてしまう。渦、っていうか、離岸流かもしれない。睡眠という陸地に辿り着きたくてもがけばもがく程、思考の奔流が謎の水流を作り上げ、泳いでも泳いでも陸から離されていくあの感じ。

日中すごく爆睡してしまうんだよなぁ………今日もそうなりそうだなと思いながらも、部屋の電気をつけ、カーテンを開ける。

うわっ、朝からなんか日差しすごい。

日光を浴びる機会があまりないので、とりあえず手のひらを太陽に透かしてみる。真っ赤に流れる僕のちしおが見たいわけじゃなくて、なんだっけ、こうすると精製されるビタミンがあったよね、確か。

風呂へ。朝の風呂はもう時間ないので

●一日一回のパジャマ&下着の交換
●体(主に尻)を洗う
●ひたすら湯舟で温まる

この三つだけする事に決めた。頭とかは後でゆっくり洗った方がいいや……。

というわけで簡潔に済ませる。そういや書くの忘れたけど、昨日風呂入ろうとしたら別の人に扉開けられて素っ裸見られちゃったよ。おばちゃまだったからよかったけど、おじちゃまだったら割と詰んでたね。そして棚卸さん、その時初めて内鍵がある事に気がついたのだぜ。

ジブリグッズを売ってるどんぐり共和国で一目惚れして購入したキキのヘアバンドがあるんだけど、入院生活1、2を争う程持ってきてよかったと思っているのはこいつかもしれない。頭を洗わないけど湯舟には浸からなきゃだし、顔だけ洗いたい時もあるしで必須すぎた。ありがとう駿。


風呂の後、本日の朝ごはんです。


お手本の如き


朝食:白米・さばの塩焼き・小松菜?・麩の味噌汁・キャベツと人参のレモンマリネ的なやつ・低脂肪牛乳

おっ、白身魚にげんなりとか書いたもんで、青魚で攻めてきたのかな~?

さばは大好きです。今日の朝ごはんは全く問題なく美味しく食べられた。
意外な事にMVPはキャベツのやつです。レモンだか柚子だかっぽいすごくいいにおいのするやつだった……レシピを……レシピを教えてくれ……。レモンは大好きで柚子は苦手なんですが、本当においしかった。

完食すると気分がいい!!



検温の看護師さんが出ていかれた後、お通じの感じでもなかったので少しゆっくり過ごす。

アマプラでも観ようかな〜と思ってPC開いたけど謎のエラーで観れず…悔しすぎ…職場の先輩のおすすめを観ようと思っていたのに……。

結局お気に入りのYouTubeチャンネルをぼーっと観続けてしまった。時間が溶けていく…。

でもお気に入りのYouTubeチャンネル、まじで実家のような安心感あるな…

ふふ、海老名サービスエリアに高速に乗らずに行こうとしてる…ふふふっ…海老名駅から徒歩でいってる…おもしろーい…行けてるし…ふふっ…。



12:00。一瞬でおひるです。

「また白身魚じゃん」


第一声、そんな事を言ってしまうほどには傲慢になってしまった!!!だめだだめだまじでよくない!!!なんでも美味しくいただけ棚卸!!初心忘れるべからず!!

昼食:白米、白身魚?のネギソース掛け、やわやわブロッコリー、大根のお吸い物、じゃがいもとパプリカのマリネ、ピンクグレープフルーツ、お茶

お魚だっておいしいもんね!と右上の皿のおかずに手をつけた瞬間、だった。



これ





ーーーーーーーーーーーー肉、では?







味濃く主張するネギソースを淡白に受け止める揚げ物。衣は薄くサクッと感もない。だが、この中、この食感は、明らかに白身魚とは異なる。これは、



これはーーーーーーー、鶏むね肉…では!!!!!



まってまって、揚げ鶏のネギソース掛け!?


それって、それってつまり、









つまりこの料理はーーーーーー、

油淋鶏、では!?!?!??!??!?!?











ーーーーーーこれでもう、終わりでもいいッッッ。



泣いた。

めちゃくちゃ貪りました。

美味しすぎてやばかった。

残念ながらじゃがいもだけどうしてもえずき案件で食べられませんでしたが他は完食。今までのメニューで一番すき。最高。シェフ呼んできて。肉って最高。



さて、まるで白身魚の怨念の様に、恒例のお通じタイムがやってきてしまいました。
いつもとそう成果は変わらず、とにかくギャンギャンに痛みます。ギャンっっっギャンに。まじで痛い。

10分我慢したら楽になる、10分我慢したら楽になる、とスマホのストップウォッチを起動する。痛みが治まるまでの時間を測っているのだ。特に意味はない。願掛けのようなものである。マ●ファナでもやるかのように森永ミルクキャラメルを口の中で転がす。

しぬ。しぬ。しんでしまう。いたい。あまい。おいしい…つかれた。いたい。あまい…………。

実際の画面。まじで10分ほぼジャストでした


痛みが消えてくると、へとへとになってそのまましばらく起き上がれない。なんだか怖くなってきた。一体いつまでこの痛みが続くんだろう。

本来は明日には退院予定だったのに、まだこんなにも痛い。確かに完治しての退院ではないということは知っていたけれど、これはあまりにも痛みが強すぎやしないか…。

こんな辛いのは自分だけなんじゃないだろうか。

こんなので本当に、退院できるのかな。

前途を思い、急に不安になる。ともあれ間もなく診察の時間だ。一度急いで風呂に行かねば……頭を洗うルーティンのつもりだったが、無理だ。尻を温めるだけですぐに出た。



13:15 診察

「薬、別の増やしましょうか」

風呂を急いで出て向かった診察で、思いもよらない事を言われた。今日もまた亀ちゃん先生は不在である。

今日の座薬は格別に痛くて、私があまりにキツそうなので目の前にいた看護師さんがみかねて手を握ってくれたほどだった。あと、たまたまいたでんでんも背中に手を当ててくれ、「息止めないで、吐くんだよ」と優しく言ってくれた。(ありがとね)

痛みレベルは初の16をマークした。(10段階中)

よく考えると亀ちゃん先生は割と座薬うまかったんかもしれない。14ではあったけど13寄りの14だった気がしなくもない。あと亀ちゃんの痛みは長続きしなかった。この先生のやつはやばい。やばすぎる。ずっと痛い。
最近本当にこの時間が怖い。畳み掛けるように言われた薬が増える、という言葉に気持ちもショックを受ける。

「別の薬、ですか」
「ええ、お尻がね、やっぱり力が入っちゃうみたいだから、緊張をほぐす薬を出します」

それはつまり、よくなっていないということなのだろうか??

「あとは頓服薬うまく使ってね」
「は、い…」

聞けばよかったのに、座薬の痛みのせいか、怖かったのか、私は質問を避けてしまった。そのまま部屋を後にする。

病室に戻るなり、定番となったヤムチャポーズで時を過ごす。痛くて痛くて、少しの不安も相まって、たまらない気分だった。

これ本当に痛くなくなる日、くる?
今はとてもではないが信じられない。

そのまま一時間近くぐったりとして、夢うつつをいったりきたりしていた。



「かわいいね」

看護師さんが、抱き枕代わりに持ってきたいぬぬ(犬のぬいぐるみ)の頭を撫でてくれた。あ、もう検温か…。

今日の担当は、術後私を夜中まで点滴変えてくれたり空調調整してくれたりと面倒見てくれた方だった。この方もすき…。

「お休み中にごめんなさいね」
「あ、いえ…」

とはいえ、私はまぁまぁ不安でぼうっとしてしまっていた。今日で7日目になるわけで、本来の退院日は明日である。2日延長戦になっているため、最短だとこの部屋にいられるのは明日の朝が最後になるのではないだろうか……。そこからは二人部屋……そして二泊……。

お通じするたびにベッドでもんどりうって苦しんで手すりギリギリ掴んで目バッキバキになってる奴と同室、私なら絶対に嫌なんだが大丈夫だろうか。

「あ、棚卸さん、明後日からお部屋移動で伺ってます?」
「へ、明後日」

明日じゃないんだ。めちゃくちゃ助かる。二泊が一泊になるのがこんなにも嬉しい事って滅多にないだろうな。

「今回、結構入院延長になった人多かったですからね」
「え!そうなんですか!」

ちょっとびっくり。

亀ちゃん先生があまりにも
「他の人よりひどい」(言った)
「他の人の倍やばい」(本当に言った)
「他の人よりマジ終わってる」(言ってない)
…と言い続けるもので、同日手術組はもう全員明日には退院するもんだとばかり思っていた。フィリピーナちゃんも元気だったしなぁ。

「みなさんこれくらい痛いんですかねぇ」
「あーでも痛みってね、個人差がすごいあるから……年配の患者さんとかいらっしゃるんだけど、すごいですよ。シャキシャキ動いてる。出産も経験されてるし、我慢の時代に生まれた人ってやっぱり強いんでしょうね」


ン………??年配の女性……??


回想。ポワンポワン…



いたね!?!?!?



えっ、あの私を気遣ってくれた上品なおばあさま…!?ぱっと見た感じなんかもう80代近いくらいに見えたけど…あっ確かに点滴してた!!あのタイミングで点滴してたってことは、同じ日に手術したってことじゃん!!!!えっ!!!!!!

「すごい……」
「ね!でも年の功もありますから、本当に人それぞれですよ」

そうかぁ〜〜〜でもなんか、へこたれてる場合じゃないって気にはなるな〜〜〜。

「いや私なんかめちゃくちゃ痛くて…そんな事言ってる場合じゃないですね〜」
「お通じの時はみなさんヒリヒリするって言いますけどね〜。10段階でどれくらい?」
「14」
「ふふっ、えっ、ヤバいですね!?14!?うーん、後は食後の整腸剤のあと、いっぱい水分をとってほしいかな…」
「水分…」

そういえば、でんでんも説教の中でそんなことを言っていたような気がする。

「一日1.5リットルだから、棚卸さんが今飲んでるこの麦茶のペットボトルなら最低2本半くらい。これ以上うんちが固くなると、それこそ痛み18とか行きますよ。とにかく水分とって便を柔らかくするの、すごく大事」

す、すごく大事…!!!!
多分、でんでんも同じ事を言ってくれてたのだろうと思うが、ふてくされモードだったのとすごく痛くて説教長かったのでちゃんと聞いてなかった……ッ!ごめんでんでん、と思いつつ、ちゃんとやってみます、と看護師さんに約束した。



痛みの余韻からか、全然ベッドから起き上がれない。日課としてやっているラジオ体操第一をやる気にもなれなくて、ただただぐったりとしたままだ。

売店も今日は……いいか……ひたすらへとへとだ……。言われた通り水分だけしっかりとってから、とろけるように眠りについた。




17:45 爆睡からの目覚め。
2時間近く寝たかな……痛みは風呂と惰眠だけが吸い取ってくれる。体調はよくなっていた。

すぐに夕ご飯です。


もう見るからに負けそうなのよ


夕食:白米、おから?ひじき?バーグみたいな。、大根おろし、茄子の煮浸し、なんか白菜とかを炒めたやつ、たくあん、お茶

おからっアウトです!

おろしっ使いませんでした!

茄子美味しかったですごはんすすむっ!

白菜炒め美味しかったですごはんすすむっ!

たくあんっだめですごめんなさい!!

というわけで、結構残してしまいました……あーーーーこうして考えると本当に好き嫌いが多い。情けない。

今日もチャンネルは孤独のグルメ。五郎さんはモロッコ料理に舌鼓を打っている。いいなモロッコ……異国感すごくて、美味しそうだし……羨ましいな……五郎……。

と、見ている内にまたしても催す。ヒッこれはつよそうだぞ……。


タタタッ、とトイレに駆け込み、

……………

ザザ―――――………




おや?

痛いよ?痛いし、手すりは掴むし、タイマーは起動したし、確かに痛いよ?

でもなんかうまくいったような気がする……???

なんかツルっといけたし、いつもより痛くないような気がする……???

この時、ストップウォッチの時間をスクショするのを忘れてしまったのが本当に不覚ですが、確か5分ちょいで痛みが引いたように記憶しております。

でもいったいなぜ?いつもと何か違う事、といったら……



そうか、わかったぞ。

看護師さんに言われたあの言葉――――『水分を多くとってね』が鍵だったんだ……!!


術後すぐに、でんでんに口すっぱく言われていた、あれが鍵だったんだ―――――!!!!



自販機で麦茶3本と、りんごジュース(サムネ参照)買いました。

入院生活も、残すところ3日です。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?