「端模様夢路門松」「木下蔭狭間合戦」@京都ロームシアター 2021年2月28日
2020年2月の公演がコロナにより中止になったため、約1年後の上演となりました。
京都ロームシアターにて。
2020年のチケットを購入してましたが、2020年の2月ってまだコロナの初期段階で、政府の方針も揺らいでいたころですね。(緊急事態宣言は4月なので)直前でお芝居やコンサートが中止になって、「どうなるんだろう」と心配していたころでした。
とはいえ、2021年2月もまだコロナ禍真っ最中だったので、1年後に実行できて、関係者の方々はさぞかしホッとしたことと思います。
あらためてパンフレットを見返していると、2本立ての演目のそれぞれが、「この公演のために用意した」という演目。「端模様夢路門松」は、桐竹勘十郎師匠が若手のころに創作した文楽作品で実質初演に等しいし、「木下蔭狭間合戦」は、約90年ぶりの上演。数少ない資料を元に、演目自体を復活させる(復曲)という取り組みです。
良い演目でもいろいろな事情で上演が途絶えてしまう。その結果、演目を知っている演者がいなくなり余計上演できない、というものがたくさんあるようです。
当時まだ文楽をぼんやり見ていた自分としては、「木下蔭狭間合戦」の復曲の価値、全然わかってませんでした。が、戦国モノでたくさん登場人物が出てきて、お話の展開も激しくて。イヤホンガイドはないので、「Don't think. Feel!」というモードで十分楽しみました。戦国時代を舞台にした文楽、かっこいいですよね・・・。
そして・・パンフレットがめっちゃ充実してます。
まず、デザインがかっこいい。裏表紙はこの配色。おしゃれすぎる。
そして分厚い。高そうな紙(笑)
公演が一回中止になっているのに、お金がかかっているなぁと有難い限り。
以下、パンフレットでツボったところを列挙します。
この公演のスーパーバイザーの木ノ下裕一さんと勘十郎師匠の対談。
本公演では、芸達者故に新しいチャレンジができない中堅技芸員さんたちにチャンスを与えるという意図もあったみたいです。
娘役が多い吉田簑紫郎さんに立役を。左遣いが多い吉田玉佳さんに、重要な役どころの主遣いを。こういうチャンスは本公演ではなかなか提供できない、とのことで。
そうなんですよね~。自分も会社で同じ立場になったことがあります。上司の補佐役で認められているからこそ、上司が手放さない。その結果、補佐役ばっかりやらされる。補佐役として難易度の高いことばかりやらされる。他方で、そうでない若手がピンで独り立ちしていく・・・。頑張っているのに、成り行き上報われない立場に・・・そんな「優秀な人が陥る罠」みたいなやつ。あるある!
勘十郎師匠が率先して本公演以外でキャリアアップのチャンスになる配役を決めた、というのは、すごいなぁと感服しました。
「端模様夢路門松」。竹本碩太夫(たけもと ひろたゆう)さんがお一人で全編つとめられますが、初演の際には、そうと知らずに引き受けたとのこと。「染模様妹背門松」と勘違いして、末席で演じることを想定して引き受けて・・というお話。
若手の碩太夫さんの若さが残る声だからこそ、この演目の良さが引き立つんですよね。
本公演ではないからこそ、中堅・若手の方の頑張りが見られるのも楽しみの一つです。
パンフレットが充実してたの本当に有難いです。公演以外の情報も多角的に楽しめますし・・・。やっと演者さんの顔と名前が一致してきた私としては、振り返って読む時間が楽しかったです。
それにしても、「端模様夢路門松」が好きすぎて、京都・銀座・福岡と3回コンプリートしている人はそうそういないだろうと思いつつ。こういうほっこり系の文楽、もっと公演機会が多くてもよいのではないでしょうか・・?
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