里山保全の記録4 秋田〜鎌倉◎竹取物語
Facebookの「山菜王国」というグループで管理人をやらせていただいています。
一昨年の11月にスタートして、当初メンバー数は緩やかに増えていきました。
ところが今年の3月頃から急激に申請数が伸び始め、あれよあれよという間に2000人を超えました。
人数が増えると共に各地からの投稿も活発になり、山菜のリアルな情報が届くのがとても面白いです。
東北地方は山菜文化の歴史が深く、特に秋田は山菜が豊富な地域と以前から聞いてはいたのですが、6月初旬、秋田にお住まいのTさんが投稿した写真に目が釘付けになりました。
この圧倒的な量のたけのこ。
はじめは、ネマガリタケを缶詰にして販売するメーカーさんなのかな?!と思いました。
でも投稿を遡ってみてびっくり。
秋田には自家用に採ってきた山菜を缶詰にする食文化があり、投稿者のTさんは缶詰の加工所を営んでいる方で、販売はされていないというのです。
写真の缶詰は全て自家用。
お客さんが長さを揃えて持ち込んだネマガリタケをTさんご家族がサービスで缶に入れて、缶詰に仕上げるのだとか。
詰め方のコツは、たけのこの分量が全体の8割にすることのようです。
水が少ないと熱が通りづらく雑菌が繁殖しやすいのですって。
なるほどー。
この投稿を拝見して、秋田の山菜文化の底力を感じました。
個人個人が山菜を楽しむだけでなく、地域が、社会の仕組みが食文化を支えているのですね。
鎌倉ではネマガリタケはなく孟宗竹、真竹がメインです。
北鎌倉に住むまで、竹林といえば上の写真のように整然と並んだ竹がスッと天に向かって伸びているものだと思っていました。
ところが現在住んでいる家の裏のある竹林は全く様子が違いました。
倒れそうになっているものや年数を経て変色しているもの、手入れのために切った竹の置き場に困ったのか、地面に放置されているもの。
竹林は鬱蒼として光が入らず、竹藪という言葉がぴったりです。
里山の保全活動をするうちに徐々に知ったことは、竹は育つとなかなか土に帰らないので、たけのこのうちに採取したほうが良いということでした。
それもただ採取するだけではだめで、竹林全体として見てバランスが良いように判断をしつつ、採取する竹、残す竹を決めるのがポイントのようです。
東北ではネマガリタケの季節になると多くの人が里山のたけのこを採取するようで、Facebookでもたけのこ自慢の投稿が連日のようにアップされました。
竹は地下茎で増え、繁殖力がとても強い植物です。
ネマガリタケを採取しないでいたら、山は大変なことになるのかもしれません。
秋田のように、個人ベースではなく地域や社会の仕組みが自然と人との関わりを支え、健全な森を育んでいけるのは羨ましいことです。
そして、鎌倉では。
放置竹林を何とかしようという動きが出始めています。
上記リンクのバンブーガールさんの記事の活動から派生して、私の近くでも竹細工の製作活動に参加する人や、伸びすぎたたけのこから発酵メンマを作る試みを始めた人もいます。
下の写真は竹仕事サークルのプレワークショップの案内と開催の様子です。
竹サークルに参加している人が作った竹籠。
すでに職人技ですね!
そして下の写真はご近所さんが試作した発酵メンマ。
左が塩漬けした状態、右が塩出しして味付けしたもの。
最近では秋田でも缶詰加工所を廃業するところが増えているそうです。
「待っているだけではなかなかお客様にきていただけない」と前出の缶詰加工場所を営むTさんはおっしゃっていました。
どこも色々問題を抱えているようですが、秋田も鎌倉も自然と親しむ仕組みが整い、長く続いていくことを心から願うばかりです。
野草の勉強や観察会のために使いたいと思います。