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ハワイ年末恒例の餅作り

季節外れの投稿ですが、忘れないうちに。12月28日ごろ、ワヒアワにある曹洞宗のお寺で、餅作りがある。檀家さんと常連さん向けにお正月のお餅を作る。

オアフ島には日本食料品店が身近にあり、角餅でも丸餅でも、一年中手に入る。けれども、ここでは毎年、このお餅作りが連綿と続いている。

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朝、5時ごろからセイロで餅米を炊き上げ、餅つき機で熱々のお餅が突きあがると、ながーいテーブルにスタンバったボランティアが次つぎの丸餅と飾り餅を作っていく。

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大きな鍋を操るおじいちゃんやネバネバと扱いにくいお餅をカッターで分量通りに切り分けるおばちゃん、「あら〜、久しぶり。オタクのだれそれはどうしてるの?」なんておしゃべりしながらお餅を丸めるおばあちゃんたちが嬉しそう。

最後には機械ではなくてみんなで代わる代わる、臼と杵でお餅つきをして、お振舞いのランチを食べて三々五々、解散。

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明治時代、日本から移民してきた人たちのために、各地のプランテーションにお寺ができた。そこのファンドレイズのために、ボンダンスやこのお餅つきは大事なイベントだったのだろう。それは檀家さんたちがつながる、いい機会でもあったのだろう。

カトリックの母親も、教会に行っては異国のシスターと共同作業しつつ、ファンドレイズ用のクッキーやパウンドケーキ、ロールケーキ、カップケーキを焼いたりしていたようだ。昭和一桁生まれだけど、バターと粉がふんだんに使われたオヤツのレシピをいっぱい知っていて、ほとんどのおやつが手作りだったのはそのせいもあると思う。転勤族でよるべない人でも、同じ宗派の教会に入れば、すぐに家族のように混ぜてもらえるっていうのは心強いことだ。

餅づくりには家族に連れられて、半分いやいや、半分興味津々といった若者や子どもたちもやってきていて、できることを手伝っている。もちろん、周りでただ、走り回ってる子もいたりして、多世代のいい感じの空間が出来上がる。どこんちにどんな人がいるか、家族がどんな雰囲気か、その人のその人らしさがすごくよく見える。「餅づくり」みたいな時間がコミュニティを作るよなぁと、眠いし、結構な労働であるにもかかわらず、毎年のようにくっついて行ってしまう。

そうそう、ハワイに来て、日曜日の午前中に教会に行っている人が多いのに驚いた。40年前、1ヶ月だけシアトルでホームステイしていた時も、毎週、ホストファミリーはお洒落して教会に出かけて行っていた。ティーンエイジの子どもたちも渋々、ついて行っていた。

そこは学校でも家庭でもない第3の場所となっている。

日本のお寺は毎週、出かけていく場所ではないけれど、以前はお葬式や周回忌法要や結婚式やなんやかや、自分ちのだけではなくて人手が必要で、お寺に地域の人たちでかかわらず負えない機会がたくさんあったのかもしれない。学校でも家庭でもない場所で、その人がその人らしく活躍できる場所がいっぱいあったのではないだろうか。

こういった場での人間関係は複雑化して、面倒だったり、鬱陶しかったりする面もあるけれど、コミュニティにこういう場がもっとあるといいんじゃないかなぁって思う。




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