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投資における理論と哲学【机上の空論にどう立ち向かうか?】

金融市場はなぜ空論になるのか?

日々、さまざまな人々が参加しお金を投じる金融市場は奪い合いの様相を呈している。(これをゼロサムゲームとか言ったりします)


強烈な競争環境にさらされる投資家たちは何故かわからないのだけれども損をする。


『自分はこれだけ勉強したんだ!!』
『ファンダメンタルズこそが経済の本質である。』
『投資の本質は損切りであり、自制精神に他ならない。』


こんなことを考えながら日々トレードに勤しみ、ニュースを分析する。しかし、勝てない。


こんなに勉強し、経験も積んでいるのに勝てないのはなぜなのか?


常にこんなことを考えながら、また市場に参加して経済を分析する。ああ、また負けた


じゃあ、何故負けるのかと考えて、実際に金融市場では99%が負け、上位1%だけが勝ち残る事実に目を向けてみよう。


すると、ここである事実が浮かび上がる。



それは、金融市場では『売りか、買いか』という二択だけが意思決定における具体的行動として用意されていることである。


つまり、どれほどリスクヘッジだのオプション取引だの言ったとしても、結局は『売りか、買いか』の2つの意思決定が集まって(チャートは集団心理の動きを表していますから)相場が形成されているという事実です。(しかも、金融市場というのは全てが相関関係にあり、1つの買い(もしくは売り)は全ての選択を固定化することになるから、なおさら金融市場は二択でしかないということです)


そして、立ち返らなければならないのが『金融市場の99%が負け、1%が勝つ』という事実です。


言い換えれば、市場で勝ち続ける人たちは須く、負ける99%の人々の逆の選択をしているということなのです。


そしてここで本記事のタイトルにもある『市場は何故机上の空論なのか?』という問題にも光を当てていくことが出来ます。


説明はしますが、まず答えから言うと『金融市場に参加する人々は実体-具現化ではなく、実体-認識-具現化の過程で行動を進めるから。』です。




※実体・・・経済の動向及びお金の動き。地球上に存在する人々全員がその影響を行使できる場所。


具現化・・・経済へ参加する人々が、経済に影響されることで変化した意識を行動として実体へ向けること。


認識・・・実体と具現化を媒介する存在。人に実体を把握させるためにおこる現象。



認識把握の欠落:実体-具現化モデル

おそらく大多数の投資家たちはこのモデルにおいて意思決定をおこなっているはずです。例えば、①移動平均線がクロスしたから買い、②イギリス中銀が利上げしたからポンド買い、③朝鮮有事だから円買い、とかこんな具合で考えている方が多いと思います。


もちろん、根本的に相場を動かす原因となるのはこれらの実体的な経済の動きにおいてなのですが、実際の相場は利上げが行われても通貨が切り下げたり、朝鮮有事でも一切株価や為替市場が反応しないこともありますよね。
むしろ市場は逆方向に動いたりしてくるのでなおさら訳がわからないことになってくる。



多くの人はローソク足の動きの根本原因が実体経済なだけあって、実体経済を分析すれば、というかするしか相場を把握し得ないと考えてしまうのです。
だからこそ、これも繰り返しになりますが、相場における勝ち負けの比率が99%対1%というような偏った状態になるのもまさにこれが原因なのです。


チャートとは机上の空論:実体-認識-具現化モデル

実体-具現化モデルは相場参加者の99%がかけられる呪縛のようなものだということは理解していただけたかと思います。


では、どのようにして相場を見ればいいのか。これこそここで考える実体-認識-具現化モデルになってきます。まあ、考えれば自然なことではあるのですが、経済がどのように動いたとしてもそれが相場に反映されるまでには『人の認識』というフィルターがなければならないのです。


人が経済を認識をしなければ相場を動かすための行動(具現化)が起こらないし、逆に言えば人が認識するからこそ実体経済に沿わない相場水準になったりとか、もしくはそのバブルによって作られた幻影が崩壊する(恐慌)ことが起こったりするわけです。


だからこそ、アメリカの巨大銀行たちは日々相場に対して『予想』なるものを作り続けて、それを投資家たちに『認識』させるのです。そして相場を作っていく。


ただし、自分達はその予想のもとで動いているのではなく『自分達が作った予想を飲み込んだ投資家たちの行動』をもとに取引を行なっている。


これはまさに実体-認識-具現化モデルを体現したスタイルだと言っていいでしょう。つまり、彼らはどうやれば勝てるかをしっかりとわかっているのです。だからこそ我々では到底できないような大きな取引もできてしまう。


相場における強い武器:コンセンサス及び折り込み度合い

では、我々個人では相場で勝つことができないのか、という疑問が生まれますがそれはないと言えるでしょう。


なぜなら、我々が『市場にでた予想をもとに取引している人たちを見て』取引すればいいからです。


ここではある概念が強い武器になってくれます。それが『コンセンサス』という概念です。

コンセンサスとは、複数の人による意見の一致や合意を意味する。
weblio辞書より


ここでは辞書で引いた通りの解釈で問題ありません。すなわち、相場における心理状態とも言えるのですが、なぜこれがわかれば相場における1%に入っていくことができるのか。


これは、相場のコンセンサスこそが実体を把握した相場の認識に他ならないからです。よってこのコンセンサスを我々自身が受容し、その後実体経済と相場のコンセンサスに乖離が生じた場合、その乖離分こそが我々の利益源泉になるということです。


ちょっとわかりにくいので例で説明しますね。先ほどの話にも出たイギリス中銀の利上げの件で説明していきます。(22/5/5)

トレーディングビューより


黒矢印の地点でBOEが0.25%の利上げを実行したんですけど、その後の赤矢印ではポンドが円に対して切り下げています。従来の考え方ではここでポンドは切り上げるはず、しかし切り下げている。普通あり得ませんよね、でもこんなことは相場では頻繁に起こっています。(実体-具現化モデル)


この理由・・・、大事なのはこの利上げはおそらく0.25%だと予想されていて、これ以前にイギリスのインフレ率が7%近くになっており、利上げに関しても4回ほど行なっているという事実です。


つまり実体的にはポンド切り上げが妥当なのですが、人の認識的には予想通り、つまりこれ以上ポンドが切り上げるには少なくとも予想されていた0.25%以上の利上げが行われなければならなかったと結論づけることができるのです。


そして、実際行われた利上げは予想通り0.25%だったので、相場参加者は中銀会見の前に構成されていたコンセンサスの失望を感じ、ポンド相場には下落の力学が働いたと考えることができます。(実体-認識-具現化モデル)


結局、相場の本質ってなんなの?

今回の話題でもお分かりになられたと思いますが、トレーダーたちは基本的に自分のことしか考えていません。だからこそ、99%を占める実体-具現化モデルへと放り込まれて、その集団意識の働きに目を向けることができないのです。



もっと言えば、金融市場は全てが嘘で構成されています。欲にまみれたゴミクズたちが切磋琢磨しながらその欲望を増幅させていくふざけた場所だということです。そして、だからこそ相場は『机上の空論』になってしまう、起こり得ないことも平気で起こってしまうのです。(こういうのをファットテールのリスクとか言ったりします)


リーマンショックやコロナショックのときには相場に対する恐怖指数(cnnのやつ)がこれ以上下がらない値である1を付けました。普通こんなことはないんですけど、やっぱり実体-認識-具現化モデルで動いている金融市場では実際にあり得てしまう。


最後に、今回紹介したことは少々難しいかもしれませんが、重要な考え方であることは間違いありません。


ですから、今回の記事に関してもよく考えていただいていただきたいほどです。


では、今回はここまでになります。
ありがとうございました。

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