税理士になるまで#8勉強内容

はじめに

この記事は、大学3年生の夏に書いている。
初の税理士試験を終えた一週間後の金曜日だ。

今回は、具体的にどのような勉強をしていたかについて、時期別に残したいと思う。

こういうのって、大抵は合格後に書くものだ。
正直、自己採点の結果はあまり自信がない。
なので、この記事は所謂備忘録というやつだ。


勉強内容

勉強に使ったもの

①iPad(9世代)+Apple Pencil(1世代)
②裁断機とスキャナー

基礎期のテキスト・問題集はすべて自炊し、iPadに移して使用した。
やり直しの際、消しゴムやフリクションが不要なため、効率的だったと思う。

ただ、月例テストや答練については、ボリュームの面でも紙の方がめくりやすかったので、鉛筆で問題に書き込み、やり直し時には消しゴムで消していた。
前TBや答案用紙はPDFにして、iPadで利用していた。

通学?それとも通信?

口下手なのもあって、直接質問しなければ意図を汲み取ってもらえないと判断していた私は、通学一択だった。

しかし、渋谷で税理士の講義をしておらず、唯一通学講座をやっているのは水道橋本校のみということに、申し込んでから気づいた。

自宅から神保町までの運賃が往復780円。
基礎期のインプット講義だけで約46,800円の交通費がかかる。

金欠だった私は通学で通うことを諦め、通信講座を利用した。

3~2級復習時(5月)

簿財横断講座を申し込むと、特典として3~2級の商業簿記が復習できる入門講座を視聴できる。

簿記のブランクはかなりあったので、大変ありがたい制度だった。
3級の内容は殆ど覚えていたので飛ばし、2級の商業簿記を復習した。

勉強内容としては、
講義を視聴し、問題集でおさらいする
という、普通のことをやった。

この時期の勉強について、特に書くことはない。

基礎期①(6~12月)

通学講座を利用する場合、講義開始は8~9月頃となるが、通信講座は早い時期から利用できた。

基礎期というのは試験合格に必要な最低限の知識をインプットする時期である。ここで挫折すると、試験で戦うことすらできない。

富田先生は「計算最低3回転」「計算と理論は9:1の比重で勉強」を常日頃仰っていた。

この時期の勉強内容は
①講義を視聴する
②習った範囲の問題集を解く
③習った範囲+過去の講義分の復習

をひたすら回すといったものだった。

一見、よく勉強しているように見えるかもしれない。
しかし、内容を理解しているというより、解く前に解法が閃くようになってしまい、今となっては非効率な勉強法だったと思う。

富田先生が「記憶の定着を考慮し、適度に感覚を空けて復習しなさい」といった趣旨で仰っていたことには気づけなかった。

また、初回の講義で習った「簿記一巡の手続き」については、力を入れた。
基礎論点ではあるものの、ここをサボった私は、仕訳を暗記しているだけの中途半端な知識で、簿記2級に合格してしまった。

もしこの論点を疎かにしたまま、税理士試験の勉強を進めていたらどうなっていただろうと思うと…ゾッとする。
きっと挫折していたに違いない。

月に1回ほどある月例テストでは、一度も納得のいく点数を取ることができなかった。

ちなみに、まだこの時期は勉強慣れしていなかったので、ノルマを終えたらそこで勉強終了としていた。

基礎期②(1~3月)

この時期も、基礎論点の講座がわずかに残っていたので、それを消化したり、月1のペースである月例テストをこなしたりしていた。

この時期には連結や本支店といった、年内に比べると重要度は下がるが、できないと差がつく、比較的難易度の高い論点を学習していた。
しかし簿記一巡を理解していたので、簿記2級の時に疑問に思っていた論点もすんなり理解できた。

ちなみに、この時期以降は、
①1日の勉強ノルマは最低3~4時間
②年内の問題集は勘定科目や計算過程のおさらいのみに留め、読むだけ
③理論は直前期前にすべて覚えるつもりでやる
といった勉強をした。

まだ勉強に慣れておらず、稀にサボる事もあったが、なんとかペースを維持することができた。

この時期も富田先生は「理論は最悪、0点でも良い」と仰っていた。
しかし、既に分厚い問題集が3冊もあり、「理論は直前期以降に回せばどうにでもなる」というお言葉は本当なのだろうかと、不安になった。

そこで、SNS等で評判だった、ネットスクールの『つながる会計理論』に加え、規定文目的で、大原の理論問題集を購入した。

せめてこれらだけは、直前期が始まる5月までに暗記するつもりで勉強した。

基礎期③(3~4月)

この時期は、合格に必要なインプット講義を一通り終え、過去問をベースとした問題集を解いたり、保険論点の講義を視聴する時期となった。

はじめは過去問ベースということもあり、思ったような点数が取れなかったが、復習を重ねると、安定して高得点を出せるようになった。

また、復習のボリュームが膨大になったことで、自然と、徐々に富田先生が求めているような学習スタイルに近づいて行った。

この時期は
①一日の勉強ノルマは最低3~4時間
②基礎期の問題集(全7冊)を読んで復習(1冊/日)
③過去問ベースの総合問題を1~2題/日で解く
④36ページの規定文と、つな会270ページを1週間で一巡する
⑤会社法開示制度を覚える(約1分)

といった勉強を行っていた。

この時期を終えるころには、『つながる会計理論』の正誤問題を除く全ての赤文字を暗記し、理論問題集の序盤にある約36ページの規定文の穴埋めについても、すべて暗記を終えていた。

直前期に入る前の4月下旬ごろ、インプットも一通り終えたということで、簿財の過去問に挑戦してみたものの、両科目とも20点くらいしか得点できなかった。

ひどく落ち込んでしまったが、先生は「この時期はそれが当たり前」と励ましてくださった。

直前期(5~8月)

直前期とは、基礎期にインプットした知識を、本試験レベルまで持って行くことを目標とする時期である。
私はこの時期から通学講座を利用した。

具体的には
火曜日→簿記論の直前講義2コマ
木曜日→財表の直前講義2コマ
日曜日→簿財の直前答練2時間ずつ+解説1時間ずつ

これが6セットあった。

簿記論はこれに加え、試験委員対策として、複数仕訳帳制度の補講が2コマあった。

その後は予想答練といわれる答練が日曜日に3セットあった。
また、他流試合も含めて、簿財の公開模試を2校受けた。

答練の成績はどうだったかというと、散々な結果だった。
どの回も、上位40~60%をウロウロしている状態で、決して順調とは言えなかった。

しかし富田先生は、「上位50%くらいに乗れたら、勝負の土俵に立てる」と励ましてくださった。

この時期は基礎期の問題に戻ることは殆どなく、答練の見直しや出題された理論を暗記する時間に充てた。また、基礎期に暗記を済ませたものを、1週間に1巡のペースで見直していた。

具体的には、
・日曜日→答練を受ける
・月曜日→2科目の誤答箇所の見直し(計算のみ)
・火曜日→見直し後の解きなおし(計算のみ)
・水曜日→1回分前の答練を2時間で解きなおし
・木~土曜日→答練の理論を暗記、模試の見直し、過去問に挑戦

といった風に学習をこなしていた。

なお、『つながる会計理論』や規定文はこれまで通り、1週間で1巡のペースで見直していた。

簿記論の計算は70点以上、財表の計算は40点以上得点できない限り、その回の答練は卒業できないというルールを設け、復習を行っていた。

それでも初見の答練では点数が上がらず、自分の勉強法が間違っているのではないかと不安になっていたが、丁度7月10日以降、過去問5年分に挑戦してみたところ、殆どの問題で合格ボーダーを上回るようになっていた。

特に簿記論は、「急に覚醒する時期が来る」といった情報を、いくつかのブログやSNSで見たことがあったが、これのことなのかと思った。

また、この後にあった予想答練最終回では、簿財共に先生が挙げるボーダーラインを初めて超えることができた。

今になって思うと、これまでの答練より簡単だったと思うし、先生の解説の口調が気持ち優しめだったので、本番直前でモチベーションを下げないという戦略的な部分もあったのかなと考えている。

試験前々日(8月4日)

午後に、富田先生が対面の質問会を開いていたので、参加した。
この日の4日前から、過去問5回分を順番に解いていた。
この日は最後の過去問を解いていた。

財表の計算であまり点数が取れず、落ち込んでいたが、問題集の過去問はを一部金額を変えていることに気づき、、採点し直したらかなり点数が上がった。

試験前日(8月5日)

この日の午前中は、駒澤大学の図書館で理論の見直しに加え、一番点数の良かった回の答練を解いた。富田先生のアドバイスを守ったおかげか、ほんの少しだけやる気が出た。

ホテルに前泊してからは、理論の暗記を行った。

試験当日(8月6日)

この日は勉強せず、ホテルを出てから試験開始前まで、ずっとKing Gnuの『飛行艇』を聞いていた。

今振り返ると、簿記論で緊張しなかったのはこのおかげかもしれないが、財表の待ち時間ぐらい、理論の勉強やれよ…と思う。

おわりに

最初は非効率なことばかりやっていたものの、最終的には税理士受験生がすべき勉強スタイルに辿り着けたのではないかと思う。


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