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退役米空軍のおじいちゃん家に転がり込んでます備忘録 その1(day0-day5)

n回目の緊急事態宣言により,またもや大学への入場すら原則禁止となりました.家にいてもまったく課題が進まないし,そもそも環境整ってないし,でもどこかへ行くわけにもいかないし,友達にも会えないし...と悶々としてた自分に一本のメッセージが(意訳).

"Hi なっちゃん,調子はどう?忙しいだろうけど,リラックスしたいときはいつでも君はうちに来ていいよ"

"大学閉まったの?うちで授業受けていいよ!僕は既に三沢基地でワクチンを打ったので君が来ても何の心配もないよ"

と.加えて,彼の家は田舎の丘の上にあるので彼以外の人にも会わないと.で,ぜひ来てほしいと.(普段忙しくて,用もないのにそんな長期滞在できるかよって断り続けてた)

……家にいてもなんにもはかどらないし行くか,おじいちゃん家.

てことで北海道,羊蹄山の麓に滞在してます.

備忘録的に,日記的に書いていきます.

0日目

全学閉鎖が通知され,明日からどうしよう~って思ってるところで前述のメッセージを受け,思いついて打診してみる.だって,前にも1週間くらい滞在しないかって誘われてましたし.その時は何もなしに一週間も居れないよって断ったけど,とりあえず長期滞在ウェルカムってわかってたし.そしたら食い気味でOKもらったのでじゃあ明日行くね~って酒飲んで寝る.

1日目

オンライン授業のスケジュールの関係や用意するものなどをそろえて,夕方ごろに家を出る.彼が好きなパン屋の食パンをもっていこうかと思ったけど休業だったので諦めて手土産を酒にする.家にあった日本酒と焼酎,それから1700円くらいのグレードのBallantines.(なおI'm not big fun to whiskey so  you can drink all lolって言われてしまった.ミスった.)

この状況下で電車使うのもなってので迎えに来てもらう.大きい体に大きいハイエースが目立つのですぐ見つけられる.山,山,たまに湖,たまに川,森の中を日暮れの元で片道100km程度走る.

途中薄暮の丘の上に小鹿を認めたり,天国と見紛う程の赤焼けを見る.都度車を止めてのんびり眺めたり地理的な話を聞いたりする.

もちろん,車内では世間話やお互いについても話すけど,英語を扱うのがかなり久しぶりなのもあってぽつぽつと沈黙が訪れる.まあ,何回目かからは黙ってても心地いい関係ってのを心がけてるからいいんだけど.

到着して,ビール飲みつつ一緒にカレーを作る.なんというか一人暮らしのおっさんがよく作るカレーって感じのカレー作って食べた.おいしいのはおいしいからよい.

アルコールも回ってきて,いろいろ彼について聞く.今まで実はあんまり知らなかったり聞いてもよく理解できなかったこととかあるから改めて.Sygnal analyst として従軍していたこととか,Orbital mechanicsやAero space satelliteのことなどから,個人的な出自の話や娘さんたちの話なども聞いた.すこし飲みすぎたところで眠る.

2日目

若干の二日酔いを感じながら,朝6時くらいに起きる.天気は快晴,朝露がきれい.非常に健康的でよい.朝はいつも作ってくれる英国式ミルクティーとソイブレッド,スクランブルエッグにアメリカのヨーグルト.おいしいけど全然量足りないなって思いながら,おっさん意外と小食なのかな,って思いながら食べる.毎日のことだけど起き抜けで頭は何も働かないからなんも英語出てこない.まあいいけど.

11時からミーティングがある以外特に何もなかったので,午前中はあたりを散歩する.なんとなく知ってはいたけど本当に何もない.彼方に見える羊蹄山と,亜寒帯気候の森と,それから田植え直前の水が張られた田んぼが鏡みたいに空を反射して奇跡みたいに美しい.気候も最高だし,携帯には電波も入らない.

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(カメラが悪い)

戻って,すこしミーティングをして,おっさんと一緒に自転車のパンク修理をして,残ったカレーを食べて,TA……もっとも,それもオンラインで全くやることがないからおっさんと昼寝してたんだけど……をして,暇になったところでさっき直した自転車でサイクリングに出かける.(そろそろおっさん呼びするのも悪いのでRobさんと書いていこう)

Robさんの家は丘の上にあるので,まずは新緑の白樺に囲まれながら川までひたすら下る.途中,ほとんど道なき道をも下るけど,それもそれで楽しい.空気もおいしい.自転車乗るのは5年ぶりくらいなので正直転ばないか心配してたけど,ちょっと肩が力んだくらいで済んでよかった.あと不格好な姿を誰にも見られてなくてよかった.橋の上で写真を撮ったり,最近植樹された桜を見せてもらったり,川べりに降りて山の名前を教えてもらったりした.羊蹄山系某川の縁はちょっとした公園みたいになっていて,桜も空も山も息をのむほど美しく調和してて,多分Robさんと知り合わなかったら一生来なかっただろうから感慨深い気持ちになった.帰り道は降りてきた丘をひたすら(3kmらしい)登る必要があって,意地で登ったけどめちゃくちゃきつかった.Robさんもちょっときつそうだったけど,登り切っててすごいと思った.多分60歳超えてるのに.さすが元米軍.

そのあとさすがに疲れたのでちょっと休憩した後,今度はバイクで海まで乗せていってもらった.田植えを待つ水田が赤焼けを反射して,空と対比するように山々を映し込んで,湿った木々のにおいと遠くの川の音が聞こえて,特に田植え前の水田なんて滅多に見ないから,美しすぎて息ができなかった.

家からおよそ30分で日本海に届く.何も触られていない未開の海,強すぎない磯の香りと船すら浮かんでないまっさらな水面.遠くには積丹や岩内を望め,背後には新緑と水田.それから,なぜか砂が黒っぽい.帰りも同じ道を走るので,すこしだけいろんなことを考えてた.忘れたけど.それはそうと,育苗施設って初めて見た.

帰って,すこしだらだらして,軽くビールを飲んで,明日のためにトマトスープを作って,本を読んだりして,眠った.確か10時くらい.超早い.

3日目

酒を控えたおかげでよく眠れた!10時から6時まで寝た,素敵だ.Robさんはこの日,友達に家の鍵を貸しに(?家貸しもしてるのか?わからん)朝家を空けるとのことだったので,7時半に見送る.見送ったあと,食器洗ったりベッド整えたり窓開けたりちょっとスケッチしたりして時間を過ごす.なんか,私専業主婦とか絶対なれないと思ってたけど意外とこういうスローライフもありかもな…とか一瞬頭をよぎる.いや,でも,田舎の近所づきあいとか絶対無理だし一部分だけしか見てないから,うん,早計.

そのあとオンラインゼミに参加しながら課題を進める.多少進んだけどやっぱり研究室よりも環境がよくないからストレスは溜まる.でも,疲れたら外に出て蜜蜂とか眺めてればいいからよい.それにしても蜜蜂が多い.そうこうしているとRobさんが帰ってきて,しばらくしてゼミも終わって,昼食をとる.英語が十分じゃなくて一番しんどいのが昼食の時で,適当な雑談ができないから沈黙になってしまいがちなのがつらい.ごめんなさいRobさん,英語聞き取れなくて….ちなみに彼の英語は完璧なアメリカ英語で,おっちゃんの話す英語で,かなり速くて,腹から出る低めな声で,語尾にhm?ってよく付けます.好きなんだけど,難しい.

午後は,意外と課題が多いことに気づいたので課題をこなして課題をこなしてRobさんが草刈ってるところを見て,(かわいい)(白人中高年男性のツナギが性癖),課題して,映画とか見て,軽く酒を飲んで寝た.9時に寝落ちて,11時にベッドに移動した.早い.

4日目

朝7時くらいに目が覚める.課題やる気にもならなくて,Robさんの淹れた珈琲飲みながらぼんやりする.それにしても彼は私のこと娘か孫と思ってるんじゃないだろうか.Robさんは車検に車預けに行くそうだったので,送り出して食器洗ったりして制御工学の授業を受ける.わからん.息抜きに庭に出たら,昨日蜜蜂が屯してたたんぽぽはきれいに全部刈り取られてた.まあ,そうだよね,野菜育てるのとかもめんどくさいって言ってたもんね.

本当は週末にバイトがあるはずで,そのために私は今日いったん帰るはずだったんだけど,店長が濃厚接触者になってバイトがなくなってしまったので,帰る必要がなくなった.なので昼食時に私ここにいてもいい?って聞いてみる.いつでもいていいよって言ってくれてはいるけど流石にね,だめならだめっていう人だけど一応ね.まあ案の定,もちろん,本当はそれを望んでたけど君が働くのも大事だから僕はそうしてくれたら嬉しいよ,君がここで君の家のように寛いでくれるのが幸せだから,もし君が退屈じゃないならいつまででもって言ってくれた.ありがとう,もし邪魔なら知らせてね,生活費払いたいんだけどって言ったら断られたどころかスーパーとか行くならお金渡すから言ってね!って言われた.パパか.おじいちゃんか.

そのあとはひたすら課題をして,途中で就職コンサルから連絡あったり,車借りてスーパー行ったりして,まあ疲れ果てて6時だ酒飲もう!って思ったところで彼に誘われてドライブへ.聞くに,どうやら彼の友達が買う予定の家の写真を撮りに行くらしい.その面積3000坪.なんだよ3000坪って,そんなにあって何に使うんだよ…と思いながら朽ちた煙突と崩落したバルコニーを眺める.そのときは気付かなかったけど,よく考えたら薪置き場が一階なのに薪ストーブが二階に設置されてんのきつくない?って言われて気付く.豪雪期にこそ必要なのにどうすんだよ.

戻ってきて,いくつかのご飯作ってビール飲んで星眺めてた.結構靄が多かったからあまり見えなかったけど,宇宙物理学専攻の友達に電話して色々教えてもらったのは楽しかった.Robさんはカウチでラグビー観てた.かわいい.

5日目

雨.うっかり5時半に目が覚めて,そこから先眠れなくなってしまって非常に眠たい.しかたないから七時くらいまでうとうとしてたけど,別に眠れるわけじゃないのでまあ起きる,そしてシャワーを浴びる.Robさんに紅茶入れてもらって,すこしだけプレゼンの準備をして,Robさんが家出た後に就活コンサルからの電話を受ける.別に今期で決めたいわけでも大企業に行きたいわけでもないんだけどなあ…と思いながらも,圧が強くていくつか面接受けることに.ちくしょう.そのあとはお昼ごはん,昨日と同じサラダと傷みかけてたじゃがいもを発見したのでポテトスープ作ってもそもそ食べてた.そのあと友達とプレゼンの内容確認してzoom授業に臨んだけど,ラップトップでの共有の仕方がよくわからなくてノート見えなくなって英語だからなんも出てこなくなって死んだ.残りの授業はしょんぼりしすぎてRobさんの肩の上で寝て過ごした.

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あとは落ち込みから回復するために絵を描いたり,授業中にチョコもらったりして日が暮れていった.

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要約的に,この数日Robさんと過ごしてみて感じたこと:

・英語だけの環境になったところで別に英語上達するわけじゃなく察し力が上がるだけ(Robさんの英語がべらぼうに早くて文として聞き取れてないからってのもあるかも)

・数回しかあったことないアメリカ人のおじいちゃん家に滞在するのがこんなに心地いいとは思わなかった

・下手に気を遣って話すより,互いに好きなことするくらいのほうが長時間同じ空間にいてもつらくならなくていい

……など.

また今後変わるかもしれないんですが,とりあえず折り返しくらいだと思うので置いておきます.では.


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