【心伝覚書】嘘でも偽りでも愛す
6/22に観劇した刀ステ心伝の感想を覚え書き。
※以下ネタバレに配慮していません。
私が心伝を見て一番最初に思ったのは、「今まで私は全然彼ら(新撰組刀)のことちゃんと見てなかったんだな」ということ。結構ショックだった。
例えば清光の洋装について深く考えたことがなくて、安定と対比のビジュアルだなとしか思っていなかった。今回心伝で洋装の沖田総司が出てきた瞬間にアッッッと思って、そういうことか、とようやく合点がいった。
長曽祢さんの掘り下げ方もそう。農民生まれで武士を名乗り志した近藤さんと、贋作と分かりながら局長の虎徹であり続けた長曽祢さんを重ねるの、そういう見せ方があったのか……と思った。
あとはひたすらに沖田くんがすごい。すごすぎる。ほぼ沖田くんに泣かされていた。
というか普通に強すぎる。全然勝てたじゃん……?と思ってしまう。
散々どの本丸でもやってきた沖田くんとの物語が、早乙女友貴氏の介入によって見たことの無い唯一無二の枝葉になっていた……
七海さんのガラシャもそうだけど、刀たちが自身の物語で強化するように、役者の物語まで使って刀ステ自体がパワーアップしていく様に、凄さと恐ろしさを感じた。
早乙女総司の三段突きが見れたので思い残すことはありません。
慶応甲府のテーマは「愛」だと思うが、沖田くんと清光たちだけじゃなくて、他の刀や人々にとっての愛も深堀りされていた。歴史改変後の時間軸に出陣する男士たちは、その歪みに傷ついたり苦しんだりすることも多いけど、その歪みが生まれたからこそ、たとえ嘘でも偽りでも、正しさをぶち壊すほどの愛があるのだと。
これは審神者として、創作物を愛する人間としてのスタンスにも通じる。たとえ実在しない存在であっても心を傾け、慈しみ続けたいと思わされた。
自本丸の刀をちゃんと愛していきたいね。
以降は役者さんごとの感想。
清光はあまりにも清光すぎた。喋ってる時、戦ってる時、怒ってる時、拗ねてる時、呆れてる時、全部清光。特に私は松田清光の座り方が好きで七周年記念祭の時も雛壇に座っているのを凝視してたが、今回も座っている時に爪や髪をいじいじしたり、ちょっとした所作が最高だった。
安定はかわいくて素直で、でも血の気が多くて、あえて他本丸と比べるなら花丸に近いかな?という印象。何より清光と並んで立った時のバランスが完璧すぎる。清光安定の舞、私も死ぬ前に走馬灯で見たい。あと戦闘時の「オラァッ」が似すぎ。
長曽祢さんは話し方がThe長曽祢さん。初見の時はイメージよりちょっと細身かなと思ったけど、殺陣でどっしり感と軽やかさのどちらも感じられて超良かった。真剣必殺は一人だけ脱げすぎててちょっと心配になった。てか心伝はもう天江戸を回収済みなのね……蜂須賀……
兼さんと堀川は安定感がすごい。やっぱり二振での殺陣の息ぴったり感がアツすぎる。そして慶応甲府で一面の函館出陣を拾ってくれるとは本当にありがたいね。個人的に堀川くんの「怒らない、怒らない……」が大好きなので聞けてよかった。
孫六さん、実装してから日も浅いしこの面子に放り込まれてどんな立ち振る舞いをするんだろうと思っていたら、思いのほか仲良さそうだしノリもいいし楽しくやってそうで嬉しかった(?)孫さんに思いを馳せる……兼定推しとしてはもうちょっと兼さんとの絡みが見たかったのと、和田歌仙との邂逅が見たい。あとシンプルに顔が似すぎ。CGすぎ。
御前は一番の衝撃だったかもしれない。禺伝の一文字を支える御前もめちゃくちゃ好きだったけど、今回の監査官としての一文字則宗の王道の落とし込みも解釈一致すぎて大興奮。菊一文字の三段突き見せていただいて私は泣いた。あとはカーテンコールでの戦闘衣装も素晴らしくてずっと凝視。どちらの御前も殺陣がめちゃくちゃ美しくて踊ってるようで、いつかどうにかして二振で並んで欲しい。
そのほか全体の所でいうと、セットが最高すぎた。普通のステージでステアラをやろうとしている……!
席が3階席後列で萎えていたが、真上から見下ろす視点で見れたのは結果的に大正解だったかもしれない。
あと、みんなフィギュアみたいな等身だった。figmaかと思った。
とにもかくにも、今年楽しみだった現場のひとつが終わってしまって寂しい。
素晴らしい舞台でした。
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