法令関係の引用含めると3000字以上かけて書いてしまいましたが、覚えるべきことはめちゃくちゃ少ないです!

念のため条文等も引用しましたが、受験生の方は【Point】以外の余計な部分は飛ばし読みして構いません。

1.清酒と日本酒

以前は日本酒と清酒はほぼ同義であると言って良かったのですが、現在は日本酒は「地理的表示(GI)」を獲得しているため、海外で造った清酒は「日本酒」と呼ぶ事が出来ません。

ワインで例えるならば、

「ワイン」にあたる言葉が「清酒」や「SAKE」、

「フランスワイン」にあたる言葉が「日本酒」や「JAPANESE SAKE」

といったイメージです。

※意外と海外で清酒を造っている事を知らない方も多いのですが、結構古くから造られています。詳しく知りたい方は少し古い資料ですが下記の「きた産業」さんのページで↓

ざっと見てアメリカ、カナダ、ブラジル、台湾、韓国、中国、オーストラリア、タイ、ベトナムとあります。今は他にもニュージーランドやイギリス、フランスにもありますね!

日本以外で清酒を造っている企業(http://www.kitasangyo.com/Archive/Data/sake_history.pdf


さて、ここで覚える必要があるのは、①GI指定された年月と②「日本酒」を名乗るための条件の2つのみです。

【Point1】 指定された年月2015年12月です。

(たったの5年前ですね!そして日本酒業界が最も忙しい12月!)

平成何年かで問われたときは「西暦下2桁に12を足す」と平成27年とすぐに変換出来ます。

【Point2】 「日本酒」を名乗る条件

国産米の使用

国内醸造

の2つです。もし「国産の仕込み水」などが選択肢にあれば引っかけです。


地理的表示(GI=geographical indications)とは何か?について詳しく知りたい方のためにいくつか資料のリンクを貼ります。

(試験的には必要ありませんので、飛ばして次の項目を読んでOKです)

●Wikipediaによる地理的表示・原産地名称の保護についての説明(TRIPS協定等)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E7%90%86%E7%9A%84%E8%A1%A8%E7%A4%BA


●地理的表示(GI)保護制度についての農林水産省の説明

「地域には、伝統的な生産方法や気候・風土・土壌などの生産地等の特性が、品質等の特性に結びついている産品が多く存在しています。これらの産品の名称(地理的表示)を知的財産として登録し、保護する制度が「地理的表示保護制度」です。
農林水産省は、地理的表示保護制度の導入を通じて、それらの生産業者の利益の保護を図ると同時に、農林水産業や関連産業の発展、需要者の利益を図るよう取組を進めてまいります。」

https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/

●国税庁による日本酒の地理的表示認定について

https://www.nta.go.jp/taxes/sake/hyoji/minaoshi/pdf/chiritekihyoji.pdf

●全国初の地理的表示GI指定「GI白山」について


2.酒税法における「清酒」の定義

日本で造られた清酒が日本酒であるという話でしたが、清酒の定義はどうなっているのでしょうか。

酒税法には色々書いてありますが、試験的に重要なのは

「米、米こうじ、水を原料として発酵させて、こしたもの(アルコール分が22%未満のもの)」という一文です。ここでの注目ポイントは2つ。

【Point1】 こして始めて清酒の定義に当てはまります。

・こす前⇒もろみ(どぶろく)

・こした後⇒清酒

というように呼び名が変わります。

※ここでいう「こす」とはろ過の事ではなく「上槽」の工程の事をさしていて、酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達によれば「酒類の製造方法の一つである「こす」とは、その方法のいかんを問わず酒類のもろみを液状部分とかす部分とに分離する全ての行為をいう。」となっています。

簡単に言えば発酵させた「もろみ」を搾ることです。


【Point2】 アルコールは22度未満です。

日本酒はアルコール度数が高くなりやすい酒類ではありますが、それでも限界があります。

醸造酒としては19-20度程がほぼ限度で、余程の事でなければ発酵で22度以上になることはありません。(それ以上高めようとすると蒸留したり「ゼオライト膜」等で水分子を取り除くなどという操作が必要になるのが通常です)

ところが、毎年アルコール度数の高さにチャレンジしていた玉川酒造が、とうとう21.8度の自社最高記録を打ち破り、22度台に乗ってしまったために「清酒」として販売できなくなったという事件が過去にありました。

22度”未満”なので、22度になってしまうとダメなのです。以下なのか未満なのかはテストで問われる可能性があるので覚えておいてくださいね!


【酒税法第3条第7号】

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=328AC0000000006#9

酒税法第3条7号には「その他政令で定める物品」とあり、これが気になる方もいるかもしれませんね。

これについて書かれた酒税法施行令第二条をおまけで載せておきます。
(清酒の原料)
第二条
 法第三条第七号ロに規定する清酒の原料として政令で定める物品は、アルコール(同条第九号の規定(アルコール分に関する規定を除く。)に該当する酒類(水以外の物品を加えたものを除く。)でアルコール分が三十六度以上四十五度以下のものを含む。以下同じ。)、焼酎(連続式蒸留焼酎又は単式蒸留焼酎をいい、水以外の物品を加えたものを除く。以下同じ。)、ぶどう糖その他財務省令で定める糖類、有機酸アミノ酸塩又は清酒とする。


おまけのおまけでこんな条文もあります。下記のものは使用したとしても「原料」に記載しなくてよいという事ですね。(試験には出ません)

法令解釈通達第2編第3条

7 酒類の原料として取り扱わない物品

 次に掲げる物品は、酒類の原料として取り扱わない。
なお、その使用について食品衛生法の適用を受けることに留意する。

(1) 健全な酒母の育成を図るための手段として、酒母に加える培養酵母又は酵母に付随している必要最少量の培養液

(2) 発酵を助成促進し又は製造上の不測の危険を防止する等専ら製造の健全を期する目的で、仕込水又は製造工程中に加える必要最少限の次の物品

イ 酸類(乳酸(乳酸菌を含む。)、りん酸、りんご酸、無水亜硫酸、酒石酸)

ロ 塩類(食塩、酸性りん酸カリウム、酸性りん酸カルシウム、りん酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、メタ重亜硫酸カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウム)

ハ 除酸剤(炭酸カルシウム、アンモニア)

ニ ビタミン類(チアミン塩酸塩)

ホ 酵母発酵助成剤(不活性酵母、酵母エキス、酵母細胞壁、りん酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、チアミン塩酸塩、葉酸、パントテン酸カルシウム、ナイアシン、ビオチン又はこれらで組成されるもの)

ヘ 酸素、炭酸ガス(二酸化炭素)

ト 果実酒及び甘味果実酒の製造工程中に加えるパーライト、ばれいしょたんぱく質、酵母たんぱく質抽出物、アルギン酸カルシウム、アルギン酸カリウム、カオリン、リゾチーム、アルゴン、微結晶セルロース

(3) 酒造の合理化等の目的で醸造工程中に加える次の酵素剤

イ 清酒、合成清酒及びみりんの製造の際に米こうじと併用する原料(清酒については米、合成清酒については令第3条第1項第1号《合成清酒の原料等》に掲げる物品、みりんについては米及びとうもろこしに限る。)の重量の1,000分の1以下に相当する酵素剤

ロ ビール製造の際に麦芽と併用する必要最少量の酵素剤

ハ 法第3条第15号イ及びロに規定するウイスキーの製造の際に麦芽と併用する必要最少量の酵素剤

ニ 果実に含まれるペクチン質の分解を促進するために加えるペクチン分解酵素剤

ホ リンゴ果汁に含まれるでん粉質及び繊維質の分解を促進するために加える必要最小量のα-アミラーゼ及びセルラーゼ

(4) 法第3条第13号イからニまでに規定する果実酒及び同条第14号イからハまでに規定する甘味果実酒の製造工程中に着香又は酸化防止の目的で加える必要最少限のチップ状又は小片状のオーク(ブナ科コナラ属の植物をいう。)

(5) 変調を来したもろみ等の救済のために使用する規則第13条第8項《みなし製造の規定の適用除外等》に掲げる物品

(6) 蒸留の操作を容易するために使用するもみがら

(7) 蒸し米の粘結化を防ぎ、酒造操作を容易にする目的で原料米処理工程中に使用するグリセリン脂肪酸エステル

(8) 蒸留の用に供するもろみ等に泡を消す目的で発酵中又は蒸留直前に特に必要な場合に限つて添加するシリコーン樹脂


終わりに

覚える内容としては日本酒のGI指定についてと清酒の定義のみなので、非常に少ないのですが、余分な話を盛り込んでしまいました。

時間がある方はリンク先ものぞいてみると面白いかもしれません。

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