お薬

父はもう50代後半になる。この前誕生日を迎えた。

人間に限らず生き物は毎年必ず歳をとる。
歳をとると老い、いずれ死ぬ。仕方のないことだ。

昨晩、水を飲もうと冷蔵庫を開けようとした時、冷蔵庫に「お薬手帳」と「お薬」の入った入れ物が貼ってあった(マグネット式)

あまり意識したことはなかったが、父の体は確実に弱ってきているらしい。少し寂しい気持ちになった。まだ死んでもいないのに。

父は「人間50までって言うんだ。もう死んでもいい歳だ」とよく言う。前までは「また言ってるよ。いつの時代のこと言ってるんだか」と呆れ聞き流していたが、こう「お薬」に頼る程になったのを考えるとそうは言ってられなくなる。

テレビを見ながらグチグチ文句言ったり、酔うと非常にめんどくさくなるけれど、家族第一の優しい優しい、世界でたった1人の私の父親。長生きして欲しい。本人は嫌がるだろうけど。

一緒にお酒を飲みたいし、就職の報告をしたいし、結婚の報告もしたいし、仕事で成功したことを話したいし。成功したら息子の自慢話を色んな人に語って欲しい。

タバコもやってるから後2,30年くらいしか生きられないだろう。まだまだ先のことではあるけれどいずれ必ず来る。

後悔だけはしたくないから、ちゃんと生きよう。
前を見て、胸を張って、一歩ずつ。

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