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【Oneshot】フレンドとゲーム考察したら楽しかった【ネタバレ注意】

はじめに


こんにちは!~~です。
先日、むびゅうさんというお友達と『Oneshot』というゲームを分析・考察しながら遊びました。私が分析・考察大好き人間なので、むびゅうさんにつきあわせた感じです。
 この考察はかなり盛り上がったため、せっかくなので自分視点の考察まとめを残しておきたいと思います。以下、もちろんネタバレ注意です。

注意

・この記事は~~個人の考えを述べたもので、むびゅうさんや所属先の意見を表明するものではありません。
・このような分析・考察の結果を作者に伝えることは控えた方がいいです。相手の心にズケズケと入るのは嫌がられます。信頼関係を失う可能性もあります。
・この記事を読み終わったら水分と塩分を取ってください。


結論からいえば


 結論からいえば、このゲームは作者が「過去の自分と折り合いをつけて、主体性を獲得する」ためのものだったと考えています。その理解だと一番すわりがいいです。プレイヤーは、そのための手段として位置づけることが可能でしょう。以下、キャラクターを私の解釈の文脈でおおざっぱに位置付けた後、一週目と二週目の重要と思われる点を考察します。つまり、この結論で補助線を引けば辻褄が合うってことをずっと語ります。
 ちなみに、この考察の前提として、このゲームは作者の内的世界を表現しているものと捉えます。つまり、ゲーム内の現象や物体は作者の何かしらの側面を反映していると見ます。その前提を頭に入れて、続きをお読みください・・・!

キャラクター(内的世界の中での位置づけ)


・ワールドマシン
 作者の二面性を表します。一つは現状維持を図る側面(メイン人格)、もう一つは現状を脱却したい側面(サブ人格)です。ファイル削除で二週目が遊べることを示唆する、クローバーのファイルでメッセージを伝えるといったことは後者が行っています。

・ニコ
 作者の子供の頃の人格です。最後にメイン人格と直接対話を行い、作者の主体性に気付かせます。

・プレイヤー
 上の目的達成を支援する役割です。メタ的に何度も言及されますが、結局は作者の気づきを得るための手段っぽいです。

・プロト、セドリック、ルエ
 作者の意識下に上っていない主体性を求める部分です。作者の意識外に入ってきたプレイヤーとニコを通じて、メイン人格に訴えかけます。

・その他
 作者の今の内的世界に存在する人たちです。母性とか受動性とかいろいろ象徴してるとは思いますが今回は必要に応じて言及するのみです。カラムスとアルーラが好きです。

解釈


一週目と二週目に分けて述べていきます。

【一週目】


・ストーリーのおさらい
 ストーリー自体は闇にのまれそうな世界に太陽の光を灯すべく、ニコとプレイヤーが協力して塔を目指すものです。ただし、ワールドマシンは太陽を破壊しニコを元の世界に帰すようにプレイヤーに求めます。

・作者の状態
 メイン人格がニコに助けを求めてはいますが、何が本当の悩みなのかはよくわかっていない状態です。預言者が太陽を戻すことを要求することから、「心のエネルギーが枯渇していること」が悩みであると考えているようです。ただし、シルバーらが「もう手遅れ」「意味がない」旨の言葉を述べるため、本当の悩みではないと薄々気づき始めていることもたしかです。
 また、ニコ=子供の頃の自分への強い庇護欲があります。メイン人格自体はニコを元の世界に帰すことをプレイヤーに要求しているところがわかりやすいでしょう。

・エリアの位置づけ
不毛の地、峡谷、街です。外が作者の表面的な側面で、中央に進むにつれ作者の内奥を表すようになってくると考えています。
 不毛の地は抑圧的な側面が全面的に押し出されています。全てのキャラがロボットであり、指示されたことしかしない/できない、作者の受動的な性格が反映されています。特にそれが顕著に示されるのは、ニコとシルバーの関係性においてです。シルバー(むびゅうさんによれば母性の象徴)は規範的な話し方でニコを危険な鉱山から遠ざけようとし、ニコはそれに従っています。子供のころ、ひいては現在も人の指示を無批判に受け入れる必要に駆られていたことが示唆されています。
 また、ロボットの本来のエネルギーが太陽であり、現状は人工的なもので賄っているという描写は、作者が過剰適応に陥っていることをうかがわせます。本来自由奔放に暮らしているはずの生物(エビ)を臨時の動力源としていることは精神的に参りながらもどうにか生きていこうとするさまを表しているようです。
 峡谷は・・・ちょっと難しいです。峡谷に限らず、動物は基本的に自由気ままに活動しています。たとえばニコは原風景と思われる元の世界で自然と戯れていましたし、羊もほとんど放し飼いになっています。その点に鑑みれば、作者の生来の性格を示していると考えることはできます。自然と親しい生い立ちなのかな・・・?
 街では作者の心の奥を垣間見ることができるようです。住民が集まる場所でもあり「作者」の創作の置き場所でもある図書館は、作者が心のよりどころとする原体験を示すようです。人々もなんか暖かい感じがします。
一方で作者が社会生活に疲弊しているような描写も見られます。不毛の地や峡谷に送り出されるロボットを作る工場は疲弊しきっていて、修理もままならないようです。また、街の上部にいる異形頭は頭とやることが一致していますが、地表では頭に関係なく好きなものを販売しています。いずれも、求められる社会的期待に応えることに消耗していることを示していると考えます。

・メタ表現
 諸メタ表現は、プレイヤーにその能力を理解させて、協力してもらうための手段だと考えています。
 『Oneshot』のストーリーは、メイン人格が本質的な問題に触れず一時しのぎの策として太陽=エネルギーを取り戻すように作られています。メイン人格はエネルギー不足が表面的な問題に過ぎないことに気づいていますが、本質的な問題に触れることへの精神的負荷の高さから意識に上っていないようです。
 メイン人格が解決しえない問題を解決すべく生まれたのがサブ人格です。サブ人格は、作者が過去の自分と折り合いをつけて、主体的な自己を確立するために一週目の後半から動き出します。ただし、サブ人格もあくまでワールドマシンに過ぎません。そのため、それ自体に手を加えることができる(=メタ的な行動ができる)プレイヤーに対して、「世界とニコを両方救える」ことを伝えて協力を促したのだと考えられます。ちょっとずるいです。
 一週目のメタ表現は主にプレイヤーにそのメタ的操作を覚えさせるための練習として現れ出ていると考えていいと思います。二週目のメタ表現が作者にとっては本番でしょう。そう考えると、元々「Twoshots」のつもりだったのかもしれません。

【二週目】


・ストーリーのおさらい
 サブ人格、プロト、セドリック、ルエの導きによりワールドマシン内部に突入し、ニコとワールドマシンが対話。ワールドマシンは自身が制御化されていることに気づき、ニコは役割を終えて元の世界へ帰ります。

・主体性を得る「制御化」
 幾度となく登場する、このゲームの最大のテーマの一つです。これはプログラム(外的な影響)の下でも自分の意志を持って生きるようになること、つまり主体性を獲得することに他なりません。四角形の項で述べますが、自分が主体性を持ちうることを知覚することがワールドマシン=作者のカタルシスのきっかけになります。
 ちなみに、この辺り、作者が育った抑圧的で孤立感を覚える環境が結構影を落としています。制御化の条件が「本物の人が君のことを大切にする」「本物の人が、君のことを本物だと思」うことなんです(ニコのセリフによる)。言い換えれば、本物の人が大切にしなければ、主体的に生きることはできない。作者の育った環境とその影響を一言で要約しています。

・四角形
 作者の混乱、パニック、そして自身の変化を拒む意思でしょう。一週目の四角形は精神的な疲弊やニコを不安にさせることへの罪悪感によるものと見て問題ないと思います。二週目ではそれらに加えて、作者自身の精神が危機に曝されるために四角形が増殖していきます。受動的に生きることを内面化することによって心の平安を保とうとしていた作者にとって、自律的に生きることを受容することはかなりハードルの高いことでしょう。
 ニコとワールドマシンの対話後に四角形が消えていく描写もこの説を支持してくれるでしょう。かつての自分との対話で心の整理がつき、受容的な態度に変わっていったことを示していると考えられます。ワールドマシンが初めて自ら行動を起こしたのもこのタイミングです。
 ニコを大切にする気持ちにもかかわらず、ワールドマシンは四角形によってニコを物理的な危機に曝してしまいます(制御化されたキャラに至っては命を落としてさえいます)。このあたり、作者の葛藤があっていいですね。

4.おわりに


 以上、~~の考察でした。分析してみるとこのゲームは「作者のため」という側面が強いと感ぜられました。最後にニコに対して私たちがいうセリフが決められていることもあり、プレイヤーはやはりカタルシスのための手段という側面が否めません。「おつかいゲー」とか「二週目は蛇足」とかいわれるのはおそらくこれが原因です。
 ちなみに、私は自己表現、カタルシス、自己満足といった側面が強い創作は決して悪くないとは思ってます。クオリティの面では別ですが、そういった活動が癒しや整理に繋がることは間違いありません。私もそうやって機嫌取りすることあります。
 分析の素材としては非常に好例でした。おそらく意図してはいないでしょうが、徐々に作者の姿が見えてくるような作りで、苦なく進めることができました。
このゲームを作ることで作者の方々のメンタルが良好なほうへ向かっていたなら幸いです。チャンネル登録、Xのフォロー、感想コメントもよろしくお願いします!

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