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「稲盛和夫の実学」を読みました

読もうと思った背景

個人の要望を会社に伝えるときはやりたいことだけを一方的に言うのではなく、コミュニケーションを円滑にするためにちゃんと会社側からの意見を理解したいと思いました。要望は会社としてそれをやらせてもらえる状況にあるのか、ないのであればそれはなぜか、といったことを腹の底から理解したいと思っています。

予算や会計上の数値に対する理解を持てば、それが共通言語として機能するのではないかと思ったため、人から紹介されたこの本を手に取りました。

感想

何事にも原則が必要なのだと思いました。経営、会計といったことに原則をつくっているからこそ、社員もそれを理解して行動してくれるのだと思います。

やはり効果が不明確なものには会社もお金を出しづらいので、要望をあげるときは効果をはっきり示すことが大切になりそうです。また、少ない資源でつくることが製品の付加価値になるという考えを抑えた上で、それでもほしいものを要望としてあげるようにしようと思いました。

部分的な本書の説明

※ 本書は2 部構成になっており、第 1 部(全 7 章の構成)では経営のための会計学を、第 2 部では盛和塾の経営問答から会計学の実践について語られています。この記事では第 1 部についていくつか説明しますが、第 2 部については畑違いすぎてわからないことが多かったため、ほとんど説明しません。

「原理原則に照らし判断する」という稲盛さんの経営哲学のもと、経営者にとって企業の実態を把握するのに必要な会計について語られてる本です。

私が知りたかったのは、会計や税務の教科書的な説明ではなく、会計の本質とそこに働く原理なのだ

とあるように、稲盛さんが知りたかったのは会計に関する一般的な考え方や手法ではなく、企業の数字に対して「それはなぜか?」を本質的に見極めることです。

会計の専門家からすると実務上の常識と思ってることにもどんどん「なぜ?」を突っ込んだみたいです。経営にとって大切な会計だからこそ、相手が専門家だからといって任せきりにせずに自分が納得できる説明を求めました。結果、はじめはわずらわしさを感じていた専門家も稲盛さんの動きに協力してくれるようになります。

経営の原則、会計の原則
稲盛さんには「売上を最大に、経費を最小に」することなど、経営の原則としていることがいくつかあります。この経営の原則をもとに、会計においても「キャッシュベースの経営」や「一対一の対応を貫く」など、会計の専門家や他の社員と守り抜く原則を掲げています。

原則を行動に移す
こういった原則があるからこそ取るべき行動が明らかになり、減価償却を本質的なものに見直したり、利益とお金の増減のつながりを明確に示すツールとしてキャッシュ・フロー計算書をつくったり、(コストと効果の関係を理解してもらって)社員には設備が中古品でも我慢してもらうことができるのだと思いました。

予算制度は持たない
さて、知りたかった予算制度については第 3 章の「予算制度は合理的か」で書かれています。... が、京セラでは予算制度は持っていません(※少なくともこの本が書いてある時代は)。使うお金は計画通り進んでも、お金を使った結果が計画通りにいかないことが多いためです。予算制度には頼らず、社員には必要なお金をその都度稟議としてあげてもらい、経営陣で判断して決裁しているようです。また、当座買いの原則を持っており、予定が不明確なまとめ買いを嫌い、必要なものは必要なときに必要な分だけ買うようにしているようです。

少ない資源でつくることが製品の価値になる
あと、知りたかったことは第 6 章にも書いてありました。

採算を向上させていくためには、売上を増やしていくことはもちろんであるが、それと同時に製品やサービスの付加価値を高めていかなければならない。付加価値を向上させるということは、市場において価値の高いものをより少ない資源でつくり出すということである。

価値を高めるにはより少ない資源で製品をつくる必要があると。売り上げを増やそうとするとそれに比例して資源(経費)も増えてしまいがちですが、そこは節約の心と工夫をこらして何とか売り上げだけ増やすようにしなければいけません。また、京セラでは事業展開に合わせて組織を分割したアメーバ経営を敷いており、各アメーバはプロフィットセンターとして機能しています。このアメーバ経営の中で「時間当たり採算制度」を取り入れていることで、現場の社員ひとりひとりが採算について把握できるようになっています。

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