愛犬の癌を通して知る「今を生きること」
愛犬が癌になった。
フレンチブルドッグ、オス8歳。8歳で癌になるのはまだ早いなあと言われた。
腫瘍は副腎に癒着していた。手術は大がかりになるだろうと、前もって医師から言われていた。3時間におよぶ手術だった。
それでも無事に手術は終わった。
愛犬は膵臓も弱っていたので、手術前にまず一週間入院し、点滴を受け回復させた。その後手術は行われまた一週間入院したので、二週間ぶりの我が家になった。
腹部にはかなりメスを入れられていて傷は腫れ上がり痛々しかった。
入院費用もかなりいった。今はペットショップに行ってみると、フレンチブルドッグも人気の犬種のせいか、高額だ。いや、全体的に高めになっている様な気がする。その上、治療費や美容院代など、そのうちペットも、お金持ちしか飼えない時代が来るのだろうか。
話を戻すと、癌は癒着していたために「完全に」取りきれていないと言われた。
40%の再発の可能性があるから、抗がん剤で治療をするかどうか。という話をされた。
0%にはならないそうだ。40%が30、20%に抑えらるだけだという。
先生の話を聞いていた時は、「したい」と思った。再発の可能性が低くなるのならと。
「我が子」が帰ってきた次の日の朝。
彼の顔を見ていたら、ふと頭をよぎった。「抗がん剤治療」はしなくていいんじゃないかと。果たしてそれが、生きている私たち家族にとって、「我が子」にとって良いことなのだろうか。私たちはもう50代で、自分達の生活も認知症を患った義母もいる。自分の母親も含め皆高齢だ。
そして、可愛い可愛い「我が子」にまた抗がん剤で苦しい思いをさせる。それなら「この子の生命力」にかけるしかない。治療をしても0%にならないのなら、この子の運命を受け入れるしかないと思った。
家族も同じ考えだった。
泣いた。私は精神障害を抱えているから、我が子にはどれだけ救われたことか。けど、生きているうちは一生懸命愛情を注ごう。生きとし生けるもの、皆持って生まれた運命がある。
泣いて終わりを待つのではなく、今できることを精一杯して幸せにしてあげようと心から思う。
人間である私たちも、「今を生きる」ことが生まれてきた使命なのかもしれない。
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