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【台風シーズンがやってきた!】なみある?塩田気象予報士の波や天気のお話。

長い夏が終わり秋がやってきました!
今年は沖縄・奄美や西・東日本では暑い夏でしたが、北日本では低気圧や前線の影響を繰り返し受けて、降水量がかなり多い夏となり、なんと!東北北部、南部、北陸地方では、梅雨明けが特定できないという珍事が起こりました。
ちなみに西~東日本の各地では、猛暑が続いた6月末には一旦梅雨明けの速報が発表されましたが、7月は再び梅雨前線が本州付近に南下したこともあり、今月に入って発表された梅雨明けの確定値は、沖縄・奄美を除き7月15日~19日に変更されていました。
6月から8月にかけて夏が2回きた感じ。
 
9月半ばに差し掛かりましたが、高気圧が北日本を繰り返し通過し、その南側のヘリに当たる西~東日本では、またここしばらく北東~東風が吹き続いています。
夏の賑わいから静かな海になり、晴れた日には空が高―く見える秋の空気が好きなんですが、ここ千葉では連日北東風が吹きすさび、曇も多めで少し寂し気な秋の始まりとなっています。
 
さて、秋ということは本格的な台風シーズンであるわけで、日本周辺の海面水温がまだまだ高い今の時期ですから、先日の台風11号は一時920hPaまで気圧が低下し猛烈な勢力となり、沖縄・奄美はもちろん九州や四国、近畿、東海エリアまでしっかりとウネリが届きました。湘南はデータでは上がりそうでな感じでしたが、反応はいま一つ。
これは近畿~東海沖で続いている黒潮の大蛇行の影響もあるかもしれません。。。

(気象庁HPより)


そして現在(13日朝)の時点で台風12号、13号が発生しており、その中間の熱帯低気圧が今後台風14号となって3連休には九州に上陸する可能性も出てきました。

さらにその後、来週半ば以降にも同じような進路で新たな台風(15号)が日本に近づく予想データも出てきており、まさに本格的な台風シーズンに入っています。
 
過去の台風のお話でも述べていますが、台風は必ず暖かい海上で発生します。エネルギー源は水蒸気。
海面水温が高い26~27℃以上の海域で発生し、28℃以上の海域で発達していくため、北緯5度~15度付近の一年中暑い熱帯で発生しやすいのですが、太平洋高気圧が張り出しを弱めつつ、日本付近でもまだ海面水温が高い今の時期は、北緯20度を超えての発生が目立っています。
 
12号も南西ウネリをもたらすような進路でしたが反応が弱かったのは、しっかりとウネリをもたらした11号の最低気圧が920hPaだったのに比べ、12号は950hPaだったこと、本州沿岸で北東~東風が吹き続いたことで東ウネリが卓越していたことなどが要因となるでしょう。
 
台風が発生し、ウネリ入りそうな進路だったとしても、中心気圧や、台風との距離、その間に吹いている風の強さや吹走距離など、様々な要因でもたらされるウネリは変わってきます。
 
日本から離れた温かい海域で十分発達した台風から届くのがグランドスウェルに期待したいところですが、台風だから必ずグランドスウェルとなるわけではありません。
台風といっても色々。
今年発生している台風の最低気圧は11号の920hPaから6号の998hPaと、その差が78hPaあります。
暖かい海上で発生した熱帯低気圧の10分間平均の最大風速が17.2m/s以上になれば台風に名称が変わります。
爆弾低気圧など発達した温帯低気圧でも最大風速が30m/sを超えることもあり、台風だけが特別な波をもたらすわけではありません。
日本付近を通る温帯低気圧と同じようなウネリをもたらす台風もあります。
東京オリンピックの波をもたらした2021年の台風8号は、東進または北東進する温帯低気圧と進路こそ違えど、本州に近づいたのち沿岸を北上したことで、温帯低気圧が沿岸を通過した時と同じような感じでサイズアップしました。最低気圧は990hPa。これは温帯低気圧でもよくみる数値です。
 
台風が発生したら、その位置や進路とともに、中心気圧(重要)、そして台風との間で吹いている風なども気にしてチェックしてみると良いと思います。
 
ただし、10月頃までは日本周辺の海面水温が高く、夏が終わり太平洋高気圧が引っ込んだため、発達した状態で突っ込んでくる可能性があります。
 
今年もまだまだ台風が発生し、日本へ影響をもたらすことが予想されます。
秋は、なみある!期待の台風シーズンですが、災害級の台風がやってくる可能性があることも忘れずに。
 
気象予報士 防災士
塩田久実