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【2022夏の波】なみある?塩田気象予報士の波や天気のお話。

7月も中旬になりましたが、梅雨が出戻ったような状態となり、各地で末期のような大雨となっています。
今年は各地で平年に比べ非常に早い梅雨明け(速報値)となり、6月下旬には西~東日本には太平洋高気圧が張り出し、真夏のような猛暑となる地点が続出し、内陸では40℃を超えるところも出ていました。
このまま長い夏が始まるのか、と思いきや、7月に入り太平洋高気圧は張り出しを弱め、その後は南の海上に停滞前線が現れ、平年のような季節感に戻ったような日が続いています。
毎年、梅雨入りと明けの『確定値』は9月初旬に発表されますが、もしかしたら梅雨明けは7月に修正されるところが多いかもしれませんね。
それにしても、6月下旬から一定期間猛暑が続くことが予想されたため、暑さ対策などの面でも速報値としての梅雨明けをその時点で発表したのではないかと推測します。
いずれにせよ、連休を前に全国的に大雨が警戒されています。大きな被害がないことを願います。
 
さて、7月10日気象庁の最新のエルニーニョ監視速報では、
・ラニーニャ現象が続いている。
・今後、夏の間に平常になる可能性もある(40%)が、秋の終わりまでラニーニャ現象が続く可能性の方がより高い(60%)。
と発表されました。
以前、ラニーニャ現象発生時の主に冬のお話をしましたが、今回はラニーニャ夏の特徴を踏まえた波の傾向のお話をしたいと思います。
 ラニーニャ現象発生時の特徴としては、夏は暑く(猛暑)冬は寒い(厳寒)。
太平洋の赤道付近では、貿易風という東風が吹いていて、表層の暖かい海水が西へ西へと吹き寄せられています。
この貿易風がいつもより強く、もともと西側に寄せられている表層の暖かい海水が、さらに西へと寄っている状態となります。

気象庁HPより


夏の象徴、太平洋高気圧が盛大に張り出すことになり、猛暑となりやすい傾向があります。

6月が下旬はまさに絵に描いたようにこの状態になりましたが、その後季節はいったん逆戻りしました。

そして7月中旬の現在、日本の南には太平洋高気圧がまた少しずつ張り出してきて、前線は徐々に北上、西~東日本は南西風が吹きやすい状態が続きそうです。この後は2度目の梅雨明けがあるような!?
そんな2022年の夏の始まりとなりそうです。 

さて、この夏の波はどうでしょう。
来週の太平洋側は、7月によくあるパターンですが、西~東日本を中心に南西の風波やウネリが反応し、南向きのポイントではまとまりはないけれども波が続く。風が合う東向きのポイントは東ウネリは多少抑えられつつ、回り込む南ウネリが加わるところもあり、なんだかんだ波あるところは多いでしょう。
日本海側は、前半は南西の風波や西ウネリ、北ウネリが反応して少し遊べるところがありそうです。

 太平洋高気圧が張り出しを強め、本格的な夏が到来した後の波は、と言いますと、
まず、海上では太平洋高気圧のフチに沿って東~南東風が吹き続きます。太平洋側ではこの風(高気圧の吹き出し)によって東~南東ウネリが反応し、小ぶりやコンパクトくらいの遊べる波が続くところが多いでしょう。また、気温の上昇で午後は風波で遊べるというパターンもあるでしょう。また、北日本では、低気圧の通過によって一時的にウネリが強まることもあります。
日本海側はオフシーズンですが、この低気圧によって西ベースの風波や北ウネリが少しは反応して遊べる日もあります。 

また、海面水温が上がる夏は、台風によるサイズアップももちろん期待したいところですよね!
今年は現時点で台風の発生が4つと、比較的少なめですが、8月は台風の発生が一年で一番多い月になります。
夏の間はラニーニャ減少が続く可能性が高いため、太平洋高気圧が北へ偏りつつしっかりと張り出すと予想されます。
太平洋高気圧は背の高い安定した高気圧のため、基本的には台風がその中に入り込むことはありません。

太平洋高気圧張り出し強い猛暑天気図太平洋高気圧の南の海面水温が高い海域で台風が発生・発達し、高気圧のフチに沿ってゆっくりと進む、もしくは停滞すると、太平洋側には周期の長い南~南西ウネリが届く期待が持てます。

日本周辺の海面水温もだいぶ上がってきましたが、8月は台風のエネルギー源である海面水温が高く、強さも大きさも最大級に発達しやすいため、南の海上をうろうろしてくれると、サイズアップしたのち、波がしばらく続くというありがたいパターンになります。
高気圧のフチに沿って西へ進んだ後も、太平洋沿岸黒潮に運ばれて湘南までウネリが届く日が続くでしょう。

 ただし、太平洋高気圧は10日くらいの周期で強弱があるため、すっと東へ引っ込んだり、また、高気圧が一時的に東西に分断されると日本に突っ込んで上陸することもあり得ます。その場合、サーフィンどころではなくなってしまい、時には災害につながる場合もある、ということをお忘れなく。 

そして、日本海側は、夏の間はあまり期待は出来ないものの、台風が高気圧のフチをぐるっと回って日本海へ進む場合には、一気に南西~西ベースの波が強まりサイズアップといったこともありそうです。

連休初日は雨のところが多く、その後もまだぐずついたお天気のところもありそうですが、スカッ晴れの夏本番が待ち遠しいですね♪ 

今年はまだ虹に遭遇できておらず、早く見たいなと思っていた今日この頃。ここのところの曇天雨天の中、ほんのりかすかに見えた虹でした。

気象予報士 防災士
塩田久実