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20240410 愛は頼りない

職場の人と酒を飲み交わし、友達と楽しく話し、また恋人と和解をした。私の意思とは殆ど無関係に安寧が訪れたため少し困惑している。

他者の愛で幸せになることが怖い。言葉によって、不安や憂鬱はいとも簡単に解消されて私は幸せな子犬のように春の匂いを嗅ぐ。捕まえておける幸せではないのに全身全霊で信じてしまう。阿呆だ。一方でなけなしの脳みそは悪い未来を見せてくる。裏切られたら失ってしまうギャンブルみたいな幸せだ。そんな不確実な幸せに体を預けていいのか。しかし、心は黙って伸びをする。耳障りな小鳥の囀りも目を眩ませる日の光も幸せな人生の暗喩に変わってしまった。

自らの責任で自らを幸せにすることは心地の良いものだった。自分で作った幸せはこまめに手入れをしひしと抱きかかえていれば失うことはない。手放すかどうかも私自身に委ねられており、またその判断によって人に迷惑をかけることもないため何の重圧も不安も感じることはない。仕事をしたりインターネットをしたり本を読んだり勉強をしたり絵を描いたり体を動かしたりして、一人でも十分に楽しく生きていた。他者という制御不能な自然現象から遠く離れて私は平安を守っていた。

愛は頼りない。何を根拠に信じていいのかわからないのに、なぜか私は信じている。幸せになって、甘えた涙が溢れる。


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