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新型コロナで会社が潰れかけたので転職したらまんがタイムきららのお姉さんキャラになっていた話 2

第2話 きらら先輩には可愛い後輩ちゃんがいる

 諸君、おはよう。きらら先輩である。

 昨晩突然ラノベのキャラに転生させられることになり、慌てて考えた新しい名前がそのまま採用されているのを確認して、「バリキャリ魔女、仕事はやっ!」と思った。

 この「バリキャリ魔女」とは私のゼミ友である天ケ谷リクの新妻、四万野ソラ氏である。

 あ、今は天ケ谷ソラなのか。旧姓は自転車の部品をイメージさせるから嫌だとかいう理由で、ソラ氏はリク氏の姓に変えてしまったらしい。

 このソラ氏の使う筆名が「凪海帆風」なのだが、ソラ氏は常に自分以外の人間の一人称で小説を書くので、世界は混乱するのである。これを書いているのもきらら先輩ではなく、ソラ氏である。

「原案 きらら先輩   小説 凪海帆風」としたいところなのだが、noteにはそうした機能が無いらしい。なお、本作の収益はきらら先輩にも按分されるので、★でも♡でもいっぱい投げておくように。あと、コメント欄はきらら先輩も読んでいるので、傷つくようなことは書かないように。

 さて、今日は何故、私が先輩キャラに設定改変されてしまったかという話である。

 私が転職したのはとあるB2B企業である(意味がわからんときはググること)。しかもコロナ禍の勝ち組で、売上が爆増している真っ最中である。追放ざまぁ展開とはこういうものなのだろうか? きらら先輩にはラノベがわからぬ。きらら先輩は、国文学科卒である。くずし字を読み、バンドのおっかけをしながら推し声優に萌えて暮して来た。ちなみに最近の推しは高橋広樹である。

 少々説明が長くなったが、そのB2B企業の総務課が私の新天地だ。

 一番偉い人はおじさんである。猫を飼っているという情報が入ったので、便宜上、猫課長と呼ぶ。

 年齢順で言うと猫課長の次に来るのが私、きらら先輩だ。

 そして私より○歳年下、三年前に大学を卒業して新卒でこの会社に入った女子。

 キャラ名はくみちゃんとしよう。くみちゃん可愛いぞ。髪型はショートボブだ。アニメキャラの髪型としてはあまり出てこないので、今すぐググってみてくれ。

 そのくみちゃんは社歴上は私より先輩になるわけだが、どうしたことか私はここに転生してすぐに先輩にされてしまった。

 そのきっかけは一通のメールであった。

 なんて書くとドラマティックだが、現実はちっともドラマティックではないぞ。

 私が転生してきてすぐに、社内で宝くじを販売するイベントがあった。

 弊社と取引のある銀行の人がやってきて、会議室で宝くじを売ってくれるのである。弊社はもちろん二三区内だが、ちょっとだけ辺鄙な場所にあるので、通勤ルート上に宝くじを買える場所が無い人が多いのである。そこで、定期的にシステムが落ちて炎上してシステムエンジニア界隈の笑いものになっていることで知られる某銀行の人が出張してくるのだ。

 ちょっとまってソラちゃん口が悪すぎないか。これを書いているのはきらら先輩ではなくソラちゃんですから! システム云々はソラちゃんの創作ですよ。

 ……そのイベントが大盛況に終わったので、先方にお礼メールを出しておいてくれと担当役員さんにくみちゃんが頼まれたのだ。くみちゃんは可愛くて賢い子なのだが、こういうメールを書き慣れていなかったらしく、先輩どうしたら良いんですか助けて下さいと泣きついてきた。

 私は可愛いものが好きだ。はっきり言っておくが私はルッキズムの権化である。彼氏は全て顔で選んできた(そしてそれ故に失敗に終わってきたが、今後も改めるつもりはない)。可愛い女の子も大好きだ。最近だと井桁弘恵ちゃんとか川津明日香ちゃんとかインスタをフォローして投稿があるたびにいいねを速攻で押している。

 だからくみちゃんが泣きついてきた時点で、救わないという選択肢は無かった。

 幸い、私はこの手の文章を学生の頃から書き慣れている。モグっていた社会学科のゼミの先生がメールの文面にくっそうるさい人だったので、それを逆手に取って就活中に企業に出すメールの添削をお願いしていたのである。私がそれを話したら天ケ谷リクも同じようにして先生にメール添削をやらせるようになったらしい。ごめんなさい先生。

 そんなわけなので、くみちゃんの代わりにさらさらさらっと三分ほどでお礼メールを書いて送信してあげたのである。

 そしてくみちゃんの方を振り向くと。

 くみちゃんの私を見る目が別物になっていた。フォトレタッチでハイライトをいっぱい描き足したんじゃないかみたいなキラキラの瞳。

 そんな瞳で私を見ないで。ああっ……そんな目で見られると私……私……デキ女みたいじゃないですかああ。ちがうっ。断じてちがうっ。私は態度がでかいけどイマイチ使えない後輩として笛を吹き、推しと遊んで暮らしてきた……ちがっ!!!

 その瞬間、私の全身を不思議な光が包みこみ、気がつくと私はちょっと辺鄙な場所に本社があるB2B企業の総務課に降り立った出来る女として生まれ変わっていたのである。二分くらいある変身シーケンスで裸に剥かれたりはしなかったので、そこは良かった。見世物じゃねーんだよ、見世物じゃ。

 これが、きらら先輩が設定改変されるに至った諸事情の全てである。

 今日はこれから最近落ち込んでいる友人と長電話する予定なのだが、そやつも腐女子なので最近入手したBLのドラマCDを電話で流してやれば回復するのではないかという仮説を立てている。

 結果は気が向いたら報告する。

 では諸君、きらら先輩とソラちゃんのために★をありったけつけておいてくれよ! きらら先輩との約束だ。

第3話では「まんがタイムきらら」について説明するぞ!



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