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草薙くんの魅力/「ロンドンハーツ みやぞん&草薙 もしも2人で旅をさせたら?(1月14日)」

宮下草薙の草薙くんとANZEN漫才のみやぞんの二人旅だった「ロンドンハーツ(1月14日)」が抜群に面白かった。録画して何度も見返してるけど面白い。最近のバラエティー番組でもダントツに面白かった。

2019年への年越しの「おもしろ荘」で初めて観た時からずっと草薙くんの印象は変わらない。観る度に少しずつ可動域が広がってるけど、軸は変わらない。とにかく「気になる」人である。「第7世代」というワードの勢いも後押しして、見事に「波」に乗ってる。どんどんと面白くなってくのがスゴイ。

今回のロンドンハーツの企画ではみやぞんとの2人旅。前回は「もしもこんな2人を飲ませたら」で初対面でサシ飲み。超ポジティブと超ネガティブにカテゴライズされている2人の会話が噛み合うとは思えないこの企画。画面の向こうの2人も気まずさもそうだが、画面のこちらで観ている方も更に気まずくなるような空気感だった。そして皆んなが薄っすらと感じていたけど目にしたくなかったみやぞんのダークサイドを垣間見てしまうような展開に加えて、草薙くんの良さが生かされてないまま終了で、モヤモヤ感の残る消化不良だった印象。

そんな前回を踏まえての2人旅。あのドンヨリ感から、どういう展開を迎えるのかと思ったら、草薙くんが前回の展開を超えてった。みやぞんのヤバさを晒す手前でとてもうまくコントロールしてた感。

草薙くんのスゴイ所は「予定調和」に着地させない所だと気付かされた。イマドキの重宝されている「ひな壇芸人」の団体芸みたいなノリとは全く違う展開をもたらしてくれる人は他に思いつかない。その場の空気には敏感で、常に反応しているけど、どこかズレてるような、それでいてバツグンで他の誰もしないような返しをするのが本当にシビれる。

「ひな壇」に座っている人たちは自分の立ち位置を常に意識していて自分に求められている返しをするのが役目で、うまく展開してバシッと決まった時の面白さはある。反面、「同調圧力」的なリズムの中での展開が予定調和にしか思えない時もある。そこには「安定」があり、それが「安心感」なのかも知れないが、ほとんどは話の内容が大して面白いわけでもなく、なんとなくな展開で「面白そうな雰囲気」でしかないことの方が多い気がする。吉本新喜劇的なフォーマット。

草薙くんを「ネガティブ」とは思わない。リスク回避への思考力が「逞しい」のだと思う。その延長なのか、草薙くんには「計算」を感じない。そこが「もっと見てみたい」と思わせる魅力なのかも知れない。有吉さんがよく言う「人との距離感!」みたいなとこも、発作みたいに吐き出してしまうキツい言葉も、その時の感情がそのまま溢れ出ている感じがとても好ましい。損得勘定みたいな計算の匂いがしないのと、本当の「悪意」みたいなものが感じられないからかも知れない。

ここから草薙くんがどう膨らんで行くのか、とても楽しみ。彼の器用さと不器用さのバランスがどんな風にせめぎあってくのか、少しの心配と大きな期待を込めて。

ハナコ岡部が、脅威を感じる“お笑い第七世代”の芸人。宮下草薙・草薙は「不器用に見えて実は…」(2020.1.15)

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