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漫画家になるには|「好き」という感情の、奥ゆかしさと、難しさ。 #012

東京ネームタンクごとうです。今日は「好き」という感情についてです。これはもしかしたら恋愛とか家庭とか、人生にも通じてくる話なのかもしれません。人間の永遠のテーマ、好き、という表現の難しさについてです。

まんが奨励会を開催しました

昨晩、第1回となる「まんが奨励会」の基本講座である「スクリプト基礎コース」を開催しました。スクリプト基礎コースでは提出いただいたネームを項目別に採点し、東京ネームタンク講師が事前に打ち合わせて決めた点数と比較していくことで、課題箇所を掴みます。

ネームにはあちらこちらに問題点が表出します。これは体の調子とまったく同じです。例えば、頭痛があって、咳が出て、関節が痛む。これは頭痛薬を飲み、咳止めを飲み、関節に湿布を貼っても治るものではありません。

この症状は風邪ですよね。体がウィルスや細菌に侵されているのなら、その根本を解決しないとまた別の症状として、体に現れてきてしまいます。これがネーム直しが続いてしまう原因のひとつです。

一体何が根本の課題感なのかを見極めるのが大事です。今回も全体の点数をつけたあとに、なにが一番の原因なのかを確かめました。

「感情表現」が足りていなかった

今回取り扱った作品では全体的に惜しい…という感じで、とくに物語中盤以降のドラマ部に課題感がありました。作者も盛り上がりを作れないという悩みを感じていました。いったいどこ原因があったのか。

今回の課題はコマ単位で着目すると答えが見えます。
コマ割りに必ず必要な「受動的感情」が表現されていませんでした。(※ 感情の種別は「ネームできる講座」で。)

喜怒哀楽など、何かの出来事対して感情を表現する、という意識を持てていなかったことが根本の原因と考えられました。これは、これまで見てきた映画や漫画の傾向で、感情を隠すキャラクターに惹かれてきたというのも、背景にありそうです。

分かりやすく記号化された感情表現は、漫画特有のものです。よく漫画の勉強のために映画を観ろと言いますが、まったく逆効果になることもありますので注意が必要です。映画は感情を類推させて伝えるので、まったく別の手法なんです。

「好き」という感情の難しさ

さて、今回はラブコメ作品でしたので、メインとなる感情は、主人公の女の子がヒーローの彼を好きだと思う気持ちです。

そして実はこの「好き」という感情はとても難しいものです。
喜・怒・哀・楽と続いたなかで「好」とはどんな感情なのか、と言われた時に、喜怒哀楽ほど心の変化がないのでは、と思います。

もし「好き」という感情を描いてください、となったら、みなさんどんな絵を想像しますか? もし「真っ赤になって俯いている女の子」みたいな絵が見えてくるなら、もうすでにあなたはすばらしい演出家です。

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それはこれまでたくさんの「好き」の表現を見てきて、自分の中に「好き」の演出ストックがあるからですね。だから絵が見えてくるのだと思います。一方でひたすらバトル漫画を読んできた人など、なかなか出にくいのではないでしょうか。

実はこの「真っ赤になって俯いている女の子」は一段階変換が起きています。ここに描かれているのは「興奮」と「恥ずかしさ」ですよね。「好き」を変換して「好き」→「恥ずい」という感情を描いています。

「好き」という感情の奥ゆかしさは、ここに尽きる

答えを言ってしまうと「好き」は感情というよりは、「相手に惹かれる」という「できごと」なんですよね。磁石のように勝手に体が引き寄せられてしまう。ですのでその「好き」になって引き寄せられてしまった後の「感情」が大事です。

「好き」→「嬉!!」
「好き」→「切ない…」
「好き」→「苦しい…」
「好き」→「安堵…リラクス…」
「好き」→「怒り」

というように「好き」になった後の思いは様々です。だからこそそこに人間性も出ます。「好き」→「月が美しい…」(恍惚)なんて人もいるのです。

恋愛を描くのが苦手な人は「異性に惹き寄せられてしまった」あとの感情に、経験的に「快」より「不快」が出てくる人も少なくないと感じます。

「好き」という感情は、実は直接的に描けるものではなく、一段階の変節を経る。読者に、相手に、その想いを伝えるには、必ず「一段変化した表現」になる。

「好き」を直接伝えられないことが、恋人でも家族でも国同士でも、数多のすれ違いや対立を生んでいると思うと…人間って…

好きです。

▼まんが奨励会、ものすごく勉強になるのでとてもオススメです。
入会は「ネームできる講座」修了者の方限定となりますので、まずは東京ネームタンク「ネームできる講座」をご受講ください。
▼ネームできる講座
https://nametank.jp/name-dekiru-class-2/
▼まんが奨励会
https://note.com/nametank/circle

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『東京ネームタンク』はマンガのストーリーの描き方に特化した教室&研究室です。https://nametank.jp 世の中に分散しているマンガ技術を集め、共有しています。 『まんが奨励会』はプロ養成のための研究会です。漫画家になるには必要な商業で評価される作品制作に取り組みます。

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