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転職してよかったことと、心残り。

昨年の春、
新卒から3年間やってきた仕事を辞めた。

高校2年生の頃からその仕事に就きたいと思って福祉系の大学を目指し、大学生のときはその仕事に就くために必死に子ども福祉のことを勉強し、あちこちの講演や研究会、フィールドワークに参加した。

そのときのわたしにとっては、
”これしかない!”と思える職業だった。

目指し始めたきっかけは、
2011年の大津の子どものいじめ自殺事件から
次々といじめ自殺の問題が大きく報道され、
わたしの身近でも
いじめ自殺の問題が起こったからだ。

学校の中にはたくさん大人がいるはずなのに、
登下校の子どもたちの様子を見守る人もいるはずなのに、
誰ひとりその子の変化に気がつかなかったのだろうか、
その子が助けを求められるような大人がいなかったのだろうか。

そんな考えが高校生活の間ずっと頭の中を巡り、
子どもと信頼関係を築き、
SOSに気がつける大人になりたいと思った。

それほどの想いをもって就いた念願の仕事だったが、
わたしには難しいということを早々に悟ってしまった。

一日の動きは自分で考え、どんな情報が必要か、
周りの大人は子どものために何をすることができるのか、
子どもたちがこの先の人生を幸せに歩んでいけるようになるために
今のわたしには何ができるのだろうか…

答えがない問いを延々と考え続けているうちに、
自分はこの仕事をちゃんとできているのだろうか、
なんの役にも立っていないのではないかと、
無力感に襲われ疲弊してしまった。

どうやらわたしはなかなか答えがでないことや
臨機応変を求められることが苦手なようで、
マニュアル化されルーティンのある仕事が得意なのだと気がつきはじめた。

転職活動では、
子どもの発達障害への療育支援に軸を絞った。
毎日同じ場所に通勤し、
出勤から退勤まで一日の決められた仕事の流れがあり、
「最低限これだけやっていれば仕事している」と感じられるメニューがある施設へ転職した。

結果、わたしにはそこそこ合っていたようで、
迷走して“わたしはなにもできていない…”と
自己嫌悪する時間がかなり減った。
メニューが決まっていることで自由度は少ないものの、
自分に余裕があるときには工夫して幅を持たせることもできるようになってきた。

なにより、1コマ1時間と決められた療育は
気合いを入れる時間と肩の力を抜く時間が明確になり
半ば強制的に気持ちを切り替えられるのも自分に合っていた。


今回の転職で、子どもたちとなんでもない話をしながらのんびり過ごす時間がなくなってしまったことは
とても寂しい。
けれど、3年間で出会ってきた子どもたちが
これから大人になっていく未来に
道標を優しく灯せたらいいなと思っている。

でもそれは、仕事としてではなく、
伝えたいことをそのままかたちにして、こうして発信する方法もあるのだと気づいた。

転職を経験してみて、
自分に合った働き方を見つけること、
それがいかに自分の生きやすさに関わってくるかを知ることができた。
”これしかない!”と思っていても、
案外自分に合う場所ややり方は
たくさんあるのかもしれない、と
模索するおもしろさを感じられた転職だった。

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