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「ひなた坂46」という名に感じる認知負荷と、「想い」が知りたいという話

アンダーメンバーの呼び方が「ひなた坂46」に決まったわけですが、このニュースを見て自分は驚きました。まさか特別な名前をつけるとは思っていなかったからです。

そして、名前をつけたことで考えられる懸念や、この名前だからこその懸念などがいくつか浮かんできました。もちろん、すでに決定して動き出していることなので応援する気持ちは変わりませんが、一度考えをまとめておくことで、1年後くらいに読み返した際、

「ぜんぜん杞憂に終わったね」
「ひなた坂46がベストだったね、ハッハッハ」

と恥ずかしさを笑いで誤魔化しながら読み返せるようになることがこの記事の目的です。

また、「ごちゃごちゃ言うてるけど、じゃあお前ならどうすんねん」について思考実験したことについても書いています。いわゆる「居酒屋談義」です。

※3月8日に体調を崩して以来、公式ニュース以外の情報はブログやメッセージ、雑誌のインタビューやひなあい等も含めほぼ見れていないので、周回遅れの話をしているかもしれません。
※注意:1万1千字あります


懸念:認知負荷の高さ

「所属迷子」になりそう

個人的な一番の懸念が「所属迷子」です。ひなた坂46のメンバー自身が「自分は結局どこの所属であると名乗ればいいのか?」で迷ってしまい不安やストレスを感じることが増えるんじゃないか、と心配になりました。

今回の命名を、パソコンなどのフォルダ階層で例えると以下のようになると思います。末尾の「/」はフォルダを表します。

  • 坂道/

    • 乃木坂46/

    • 櫻坂46/

    • 日向坂46/

      • 選抜/

        • 加藤史帆

        • 山下葉留花

      • ひなた坂46/

        • 石塚瑶季

        • 渡辺莉奈

このとき、仮に「選抜」フォルダと「ひなた坂46」フォルダを坂道フォルダ直下に配置してみるとこうなります。

  • 坂道/

    • 乃木坂46/

    • 櫻坂46/

    • 日向坂46/

    • 選抜/

    • ひなた坂46/

これを見た時に、「ひなた坂46」が坂道フォルダ直下でも成立しているように見えるのに対し、選抜は「なんの選抜?坂道全体?」と、その立ち位置が不明瞭に感じるのではないでしょうか。これは、「選抜」は「立場」であるのに対し、「ひなた坂46」は「所属」に見えるからだと思います。

選抜はあくまで日向坂46内に限った立場を表します。日向坂の選抜メンバーが仮に全員乃木坂に移籍しても、全員が選抜メンバーにそのままなれるとは限りません。これは、どこかの会社の課長が転職先でも必ず課長になるわけではないのと同じです。立場というのは常に「所属」に依存した概念なので、日向坂46の選抜メンバーは当たり前ですが必ずその所属が「日向坂46」に一意に決まらないといけません。
先ほど日向坂46フォルダ配下にあった選抜フォルダを坂道フォルダ直下に置きましたが、これは依存先の「所属」から「立場」だけを切り離してしまった状態なので、だからこそ所属が不明瞭になり、坂道フォルダ直下にあることから類推して「坂道全体の選抜のこと?」と感じたりするわけです。

一方、「ひなた坂46」ですが、こちらは「○○坂46」という、これまでアイドルグループ名のフォーマットとして使われてきた名称になっているため、「立場」ではなくどうしても「所属」に見えてしまうかと思います。そんな所属に人は自然と「独立可能性」も感じます。たとえばGUがファーストリテイリングから売却されて「しまむらのGU」になることや、あるいは完全に独立したGUになることも(本当にそうなるかはおいといて)違和感なく想定されます。同様に「ひなた坂46」にもその名前から独立可能性を感じるため、先程フォルダ階層を変更しても違和感が無かったわけです。これはつまり「ひなた坂46」を「所属」だと人は認識してしまうことを意味するかと思います。

するとどうなるか。選抜メンバーは常に所属が「日向坂46」一つに決まりますが、ひなた坂46のメンバーにとっては所属が「日向坂46」でもあるし「ひなた坂46」でもある、ということになり所属がダブります。つまり、所属の使い分けが生じます。一見するとユニットと同じに見えて問題ないように思えますが、「ひなた坂46」には

  • 暗黙的に「階級」や「序列」において下位の意味を含む

  • 与えられた名前である(メンバーが独自に付けた通称ではない)

という違いがあります。
この「序列の意味」と「もらった名前」であるという事実に「所属の使い分け」の認知負荷が加わると、いろんなシーンで常に「自分は上か下か」「自分はどこの誰か」を意識させられるため、考えることが増えて心理的にも大変なんじゃないかと思いました。もし仮にひなた坂46のメンバーが「ひらがなの歴史を感じる素敵な名前を頂いたからには、この名前に誇りを持って頑張ろう」なんて思っていると尚更そうかもしれません。

たとえばこんなシーンがあるかもしれないなと思いました。

  • ラジオに出演して「ひなた坂46」楽曲について話をしたあと、曲紹介では「日向坂46」名義として紹介する。

  • 「ひなた坂46としてみんなで頑張って制作しようね」と協力し合った「ひなた坂46」楽曲が、配信クレジットやMVで「日向坂46」として表記される。

  • ひなた坂46のメンバーが単独で雑誌のインタビューを受けた。主に「ひなた坂46」のことについて聞きたいということだった。「ひなた坂46」についてたくさん話した。サイン入りチェキを書くことになった。そこに書くのは「日向坂46」?「ひなた坂46」?

  • ひなた坂46のメンバーが2人の選抜メンバーと一緒に3人でウェブのインタビューを受けた。グループ全体や選抜制について聞かれたし、自分は「ひなた坂46」のことも話した。サイン入りチェキを書くことになった。書くのは「日向坂46」でいいんだよね?

  • 「ひなた坂46」として対バンイベントに出演できることになった。関係者に挨拶するときは、「日向坂46」として?「ひなた坂46」として?

  • 「日向坂46」だけでなく、「ひなた坂46」も1アーティストとしてフェスに出演できることになった。楽屋エリアに行ったら「日向坂46様」と書かれた楽屋があった。ここでいいのかな?

  • 「ひなた坂46」のメンバー数人でバラエティ番組に呼んでもらえた。自己紹介は「日向坂46」でいいんだよね?

こんな感じで、日向坂を意識してたらひなた坂を意識させられ、ひなた坂を意識してたら日向坂を意識させられるような「ダブルバインド」っぽいシーンがありそうな気がしました。例えるなら、自分は田中家の人間でありながら佐藤姓も授けられていて、ゆく先々で「お前は今は佐藤じゃん。田中使うなよ」とか「お前は今は田中じゃん。佐藤使うなよ」などと言われるような感じというか、自分で姓をコントロールできず相手にコントロールされるようなストレスがありそうな気がしました。

こういった事それぞれは小さいことかもしれませんが、積み重なるとボディブローのように効いてきそうに感じています。特に所属というのはマズローの欲求5段階説でも真ん中に相当するので、その更に先の自己実現欲求を満たしていきたいメンバーからすると足元の所属がふらつくのはいや〜な感じがするんじゃないかと思いました。
もちろんすぐさま大きな問題になるとは思いませんが、「ひなた坂46」であることを意識することが増えるにつれて、たとえば「ひなた坂46ライブ」が近づくにつれて、こういうシーンがいろいろ増えるんじゃないかなーと個人的には懸念しています。そして、もし「ひなた坂46」である期間が長いと余計に色々と感じてしまう事が増えるんじゃないかという心配もあります。

このようにアンダーの呼称を「ひなた坂46」にするというのは、単なる「アンダー」の言い換えには留まらず、「立場」であったものを「所属」に変えてしまうという意味的な変化も生んでしまうと思うわけです。

その上、先述したように選抜は「立場」でひなた坂46は「所属」に見えるので、階層構造で見ると同じ階層にいるのに概念が揃っておらず、以下のようにいびつになっています。

  • 日向坂46/

    • 選抜/(立場)

    • ひなた坂46/(所属)

さらにひなた坂46は所属に見えて独立可能性を感じられるので、この不揃いな概念と独立可能性によって一定の隔たりを感じるというか、ワンチーム感を阻む原因になりそうな印象も受けました。小さいことではあるかもしれないんですけどね。

ところで前回の記事で、選抜制はベストプラクティスであると述べました。

しかし、所属をイメージさせる名称をアンダー名として付けるのは初かと思います。48系や乃木坂の「アンダー」や櫻坂の「BACKS」は、単語自体が持つ一般的な意味からおおよそ立場が表現されているので、所属のイメージまではないんじゃないかと思います。しかし「ひなた坂46」には立場を示す文言は含まれていませんし、「◯◯坂46」というフォーマットなので所属のイメージが強いです。
するとここまで述べたような「認知負荷が高くなる」という新規の問題が出てくるように思うので、それはつまり「ベストプラクティスを破ってしまった」ように感じました。前回の記事で書いた通り、ベストプラクティスを破るのは成果が下振れするリスクがあり、かつその可能性が高いです。説明してきた「認知負荷」の高さが下振れを生む可能性を高めていそうなのが、個人的に抱いている一番大きな懸念点です。具体的には、特にひなた坂46のメンバーが日向坂46としてのワンチーム感を感じることが難しくなり、その不安がファンに伝わり、楽しく応援しづらくなったりしないかなと思っています。

楽曲「日向坂」の解釈が難解になる

楽曲「日向坂」は、けやき坂46から日向坂46へと昇華していく当時の状況を描いたもので、いわば人生譚ならぬ日向坂譚みたいなものかと思います。

そんな曲の歌詞に出てくる「漢字」や「ひらがな」はこれまで一意に「欅坂」「けやき坂」に相当しました。ところが「ひなた坂46」という概念が登場したことによって、「日向坂」と「ひなた坂」という関係もどうしても想像してしまいます。もちろん、この曲は当時の状況を描いたもので、その文脈で聴けば一意に「欅坂」「けやき坂」に相当するといえばそうなんですが、しかし感情を持つ人間がそう完全に割り切ってこの曲を聴けるものなのだろうか?あなたは本当にこの曲に「日向坂」と「ひなた坂」の関係を一切よぎらせずに聴くことができますか?と疑問に思っています。特に難しいのが以下の部分です。

ひらがなで学んだ
色々なこととか
思い出す度 胸が詰まる
漢字を書くかっこよさ
憧れていたけど
ないものねだりだって気づいた

Uta-Net より

ここで少しでも「日向坂」と「ひなた坂」の関係を思い出してしまうと「あれ?」となります。選抜メンバーもひなた坂46のメンバーも、同じ「日向坂46」というグループのメンバーでありワンチームなはずです。だとすると、ひなた坂46のメンバーが「漢字を書くかっこよさに憧れ」るのは変ですよね。すでに日向坂46、つまり漢字なので

しかし、非常に慎重かつ好意的に解釈するなら、

「漢字を書くかっこよさ」は「日向坂を背負って立つ選抜のかっこよさ」であり、そんな選抜メンバーの振る舞いに「憧れていたけど」、選抜メンバーの誰かの真似をしたってしょうがないのにあのメンバーみたいになりたいっていう「ないものねだり」をしていたことに気づいた、

みたいな事かと思いますが、そうすると「選抜こそ漢字(日向坂)」みたいになっちゃうんですよね。
さらに歌詞は以下のように続きます。

この世に坂道はたくさんあるんだ
どれも素敵な坂ばかり
真似をしてみても敵(かな)うわけないよね
そう思ったら楽になった
僕たちはありのままの僕たちでいいんだ
背伸びをせずに普通にやってみよう
やっと空が広がり
僕たちにも陽が当たる

Uta-Net より

ここから対象が「坂」になり、主語も「僕たち」とはっきり付けられているので、グループとしての「日向坂」と「ひなた坂」の関係を言っているように見えます。すると、「どれも素敵な坂で、日向坂は日向坂で素敵やから、ひなた坂としてはありのまま背伸びせず普通にやってこ〜お互い頑張ろな〜」みたいに、ちょっとワンチーム感が薄れるメッセージに見えるんですよね。個人的にはこの辺がどうも気になっています。

もちろん細かいことは気にせず、「ひなた坂メンバーは選抜に入れるようにありのまま背伸びせず普通にやっていきなさい」という激励として解釈しちゃうのでもいいんですが、デビューカウントダウンライブのために書き下ろされた日向坂譚のような曲をそんな雑な解釈でええのんかい、とは思ったりします。

ただ、「所属迷子」に比べたら局所的な話なので、そんなに大きな懸念ではありません。

表記違いに意味を感じ、ファン側の認知負荷も高い

今回「ひなた坂46」という概念が登場したことによって、必然的にファンは漢字表記とひらがな表記に意味の違いを感じやすくなると思います。「日向」と書かれていればグループ全体か文脈次第で選抜のこと、「ひなた」と書かれていればひなた坂46のこと、みたいな感じですね。

これまで「ひなたの夏休み」だったり「ひなたのバス旅」とひらがな表記が使われてきていましたが、それらは過去のコンテンツなので仕方ないかなと思います。しかし新規イベントの「ひなたフェス」もひらがな表記になっていて、「え、そこもひらがな?」とちょっと疑問に思いました。もちろん、会場が「ひなた宮崎県総合運動公園 ひなたサンマリンスタジアム宮崎」でひらがな表記なので、ひらがなにする理由はあるんですが、今後この「漢字かひらがな表記問題」で認知負荷が高い瞬間が増えるのかなーとちょっと気になりました。

こちらも、所属迷子に比べれば些末な話かもしれません。

いいなと思うところ

歴史を受け継いでる感じはある

ひらがなけやきから日向坂への道中は、何度も転んで膝小僧擦りむいて、それでも何度も立ち上がって歩いてく中で「イマニミテ色」が空色として発現していった「あゆみ」として捉えることが出来ると思います。

「ひなた坂46」のメンバーにも同様に、「この状況でもそれでも歩き続けて、あなたなりのイマニミテ色を発現させなさい」と説くように、「ひらがなけやき」の歴史を感じさせる名前をあえて付けたのかなと解釈はしました。そして、その歴史の継承が一番やりたかったことなのかなとも推測しています。

序列感をマイルドにさせてくれる

「ひなた坂46」という名前をつけた意図の本命は先程の「歴史の継承」かなと推測していますが、対抗として「序列感をマイルドにする」がありそうだなと推測しています。

「ひなた坂」には直接的に序列を表現する語彙が含まれないので、「アンダー」などの呼称よりは序列感や立場として下位であることを意識しづらくなっていると思います。字面だけみればマイルドになっているでしょう。

とはいえもちろん先述したように、別の問題から余計に序列を意識してしまう結果になるのではないかというのが自分の懸念でもあります。

字面がカワイイ

「ひなた坂」って、なんか見た目がかわいいですよね。優しく牧歌的な雰囲気が出ていると思います。

独立して動きやすそう

何事も名前をつけると扱いやすくなります。「ひなた坂46」という名前があると、たとえば単独でのメディア・イベント出演時などに便利そうだと思います。

ひらがなけやきの不安定だった側面を繰り返すことはない、けれど。

おそらく「ひなた坂46」という名前から「けやき坂46」を連想し、その不安定だった側面を思い出して不安を感じる方も多いかと思います。その感情は至極自然ですし、「考えすぎ」だとか「ネガティブに捉えすぎ」として非難・無視されるものではないと思います。

たとえば、かつて2008年頃にサブプライムローン危機をきっかけとして経営破綻し、世界金融危機を引き起こした投資銀行「リーマン・ブラザーズ」が存在していましたが、もし今誰かが新しく「リーマン・シスターズ」という投資銀行を立ち上げようとしていたら、どう思うでしょうか?何も感じずにいられる人は少ないと思います。少なくとも自分は、

いやまた世界を混乱に陥れる気か!

と思ってしまいます。たとえ本人にその気が無くてもです。なんでその名前にしたん?となります。それくらい、名前と歴史は強い結びつきができてしまうものだと思います。

「でも、わざわざネガティブな側面にことさら注目する必要なくね?ひらがなけやきの歴史は別につらい事だけだったわけじゃないじゃん」という意見もあるでしょうし、それは確かにそうなんですが、人にはどうしても「損失回避バイアス」があり、利得(ポジティブ面)よりも損失(ネガティブ面)に目を向けがちです。歴史を継承する観点で見た際に、ポジティブだったことよりネガティブだったことにどうしても注目してしまい、不安になってしまうんだと思います。人が人である以上これは避けようのない傾向であり、「良い面にだけ目を向けろ!」という呼びかけは、人間の性質からしてかなりの難題をふっかけているように感じます。

もちろん、理屈としてはけやき坂46の歴史のうち、不安定だった側面を繰り返すことはあり得ないはずです。以下のようにけやき坂46とひなた坂46は成り立ちが正反対だからです。

  • けやき坂46

    • 組織化の予定:無かった(長濱ねるさんの特例措置に説明をつけるために急遽決まった)

    • 組織の立場:不明瞭(急遽だったので、進行させながら全てを決めていた)

  • ひなた坂46

    • 組織化の予定:あった(選抜制になれば当然アンダー相当の概念が出てくるため)

    • 組織の立場:明瞭(選抜外であり、リリースごとに選抜と入れ替わりがあり得ることがハッキリしている)

なので、けやき坂46の歴史のうち、不安定だった側面が繰り返されることはあり得ないでしょうし、そこは心配しなくて大丈夫だと思います。でも先述したように、感情として「不安定だった側面が想起されて不安になる」というのはとてもよく理解できます。

だからこそ「想い」を伝えてほしい

おそらく、というか確実に日向坂のマネジメントサイドも「ひなた坂46」という名前がファンにハレーションを引き起こしうることは分かっていたと思います。絶対分かってないはずがないです。なので、「みなさん思い思いの受け取り方をしてほしい」で沈黙するのではなくて、ちゃんと「想い」を伝えてほしかったなと個人的には思います。

メンバーのことを一番近くで見て、メンバーのことを一番考えているのはマネジメントのはずです。そんな人達が「ひなた坂46」という名前を付けたのであれば、そこにはいろんな「想い」が乗ってるはずです。

なぜこの名前にしたのか?
そこにはどういう想いを込めたのか?
その想いを込めた意図は何か?
メンバーやファンに巻き起こるハレーションを見越してでも伝えたかったことはなんなのか?

僕はそれを知りたい。マネジメントの心意気を感じて「これなら信用できるな」って安心して応援したい。

メンバーにもそれぞれの名前があります。そしてそれぞれの名前には由来もあります。こんな子になってほしい。こういう生き方をしてほしい。そこには命名した人のいろんな想いや愛が宿っています。「ひなた坂46」も同じはずです。いろんな想いや愛が「ひなた坂46」という名前には宿っているはずです。

じゃあそれを伝えてくれよ!!投げっぱなしじゃわかんねーよ!
言わないと分かんないじゃん!伝えないと届かないじゃん!
「感じてください」はあまりにも乱暴だよ!
ひらがなってすごく大事じゃん!だからこそもっと丁寧に伝えてくれよ!

と自分は思いました。

思考実験:じゃあお前ならどうする?

ここまで「ひなた坂46」という名前に感じる懸念と、「想い」を伝えてほしいことを述べてきました。

ここからは、「じゃあもしお前が中の人だったらどう設計する?」ということについて思考実験してみたいと思います。ようするに、野球ファンが打線組んだりサッカーファンが日本代表を予想するような居酒屋談義です。こういうのがいっちばん楽しいですからね。

個人的には特別な呼称はつけず、「選抜」「アンダー」でいいんじゃないかと思っているんですが、もし以下のようにお題がやってきたらどうするかについて考えていきたいと思います。

【お題】
選抜制導入にあたり、アンダーに呼称をつけなさい。
ただし、以下の要件を含むこと。
要件1. ひらがなけやきの歴史を継承していることが感じられること
要件2. できるだけ序列感をマイルドにし、ワンチーム感が出ること

方針:「選抜」という語彙を消し去り、「立場」で揃える

このお題に対し自分がアイデアを提案するなら、アンダーの呼称をどうするかというよりもまず「選抜」という語彙を消し去るアプローチを取るかなと思います。要件2の「序列感をマイルドにする」ためにはそれが早そうだからです。そして必ず「所属」が一意に「日向坂46」となって「所属迷子」にならないよう、「所属」ではなく「立場」となるような呼称にします。

そのために、以下の語彙を採用します。

  • リード(Lead)

  • ちぇいす(Chase)

  • サポート(Support)

さらに、既存の語彙を以下に更新します。

  • 選抜制→リード制

  • 選抜発表→リード発表

そして、チーム日向坂は、「リードメンバー」、「ちぇいすメンバー」、「サポートメンバー」で構成されるとします。

チーム日向坂の構成

ここからは各メンバーの詳細について述べていきます。

【リードメンバー】
ようするに選抜です。
「リード(Lead)」とは「引っ張っていく」という意味があります。選抜は表題曲を担当したり、プロモーション稼働も多くなったりと日向坂46を代表してリードしていく働きが多いです。なんのために「選抜」されたかというと、そうやって日向坂46を「リード」していくことが期待されているからだと思うので、よりその期待が明確になる「リード」という語彙を採用しました。
リードは「リードボーカル」や「リードバイオリン」など、全体をリードする立場に使われる一般名詞なので、所属ではなく立場のイメージが自然に湧くと思います。

【ちぇいすメンバー】
ようするにアンダーです。
「チェイス(Chase)」には、「目標や夢を追い求める」という意味合いがあります。さらには「カーチェイス」などのイメージから、抜きつ抜かれつの競り合いで切磋琢磨するようなニュアンスも感じられるように思います。
アンダーメンバーには、「選抜メンバーのようにグループをリードしていけるよう選抜に負けじと競り合い、切磋琢磨して今よりさらに伸びていってほしいし、競り合えるだけの潜在能力がちゃんと存在してるよ」という期待がされていると思うので、よりその期待が明確になる「チェイス」という語彙を採用しました。

さらに要件1である「ひらがなけやきの歴史の継承」という点を考慮し、チェイスをひらがな表記にして「ちぇいす」としました。これにより、「つまずきながらも歩き続けて、イマニミテ色を発現させてほしい」という「けやき坂46の歴史を踏まえたメッセージ」も重ねています。

その上で、マラソンなどで先頭集団を”leaders”、第二集団を”chase group”と言うように、追いかける立場であることを示し、序列も表現しています。

チェイスを立場の語彙として使っている事例は少ないかも知れませんが、リードに対を成す概念なのと一般名詞なので、所属ではなく立場であると容易に認識できるのではと思います。

【サポートメンバー】
スタッフとおひさまになります。スタッフには作・編曲家や振付師、ライブスタッフなど多岐に渡る人を含みます。
リードとちぇいすが歩みを進められるのは、スタッフやファンの支えがあるからです。メンバーを支える期待が明確になるよう「サポート」という語彙を採用しました。

【リード・ちぇいす・サポートの相互依存=ワンチーム】
概念的に、Lead(リード)とChase(ちぇいす)は互いに依存関係にあります。Lead する立場がいなければ Chase する立場は存在し得ないし、同様にChase する立場がいなければ Lead する立場というものも存在し得ません。どちらもただ単独で進んでいるのであればそれは Lead しているわけでも Chase しているわけでもなく、「ただ前進している人」にしかならないからです。

そんなリードとちぇいすはスタッフからの的確なサポートがあってこそ安心して前進できますし、おひさまの応援があるからこそ前進する意味を見出せます。スタッフやおひさまにとっては、リードやちぇいすが前進したり、存在してくれるからこそサポートすることができます。

このように互いが互いを必要とし依存関係にあるからこそ、全体でワンチームであり、どこかが欠けてもダメだと言えると思います。

互いに依存関係にあるからワンチームである

【Let’s Be Happy! 日向坂46号】
そんなワンチームが目指すものは「理念の実現」なわけですが、直近だと「Let’s Be Happy!」という抱負がそれに近いと思います。なのでそれを図にするとこんな感じです。

理念実現を目指すチーム日向坂のイメージ。図がひどすぎて泣いてる。

「Let’s Be Happy! 日向坂46号」はおひさまの日差しによる太陽光発電を動力とし、リードがメインパイロット、ちぇいすが副パイロットとして操作しながら、スタッフがメンテナンスや尾翼の調整を担当して進み、日本中・世界中を旅する。

小籔千豊「みなさん、これがチーム日向坂ですわ!」

選抜発表方法も変える

選抜発表の場ですが、「誰かが選ばれた」という喜ばしい側面よりも、誰かが取り残されたという印象が強くなりすぎていると個人的には思っています。選抜とアンダーの間にマリアナ海溝みたいな深い溝を感じるというか、アンダー側が置いて行かれてる感じがするんですよね。
それって、「選抜され抜けていったメンバーが、名前を呼ばれず座ったままのアンダーメンバーの正面に対峙する」という構造(演出)の影響が大きい気がしています。溝を感じるとワンチーム感の醸成が難しくなると思うので、もし自分なら名称とあわせて選抜方法の変更も提案すると思います。ざっと言うと

  • 選抜とアンダーのフォーメーションを同時に作っていく

  • 対峙ではなく、斜めの位置にする

です。以下がそのイメージ図です。

選抜、アンダーのフォーメーションを同時に作っていく。
フォーメーション画像は公式サイトフォーメーションページより引用

選抜とアンダーのフォーメーションを同時に作るため、

  • まずアンダー3列目メンバーを呼ぶ

  • 次に選抜3列目メンバーを呼ぶ

  • 同様にアンダー2列目、選抜2列目、アンダー1列目、選抜1列目と呼んでいく

という手順で発表します。こうすれば、「名前を呼ばれない」という体験が無くなりますし、空間的にも「その場に取り残された」感じは軽減されるので、ワンチーム感の醸成にはマシなんじゃないかと思いました。

また、斜めの配置は「情の空間」に相当し、「理性の空間」に相当する対峙構造で生じていた余計な圧力や緊張が少しはほどけると思うので、それもワンチーム感の醸成に役立つ気がします。

【親しくなるなら、どこ座る?】空間を上手に使い、ビジネス・恋愛で成功する方法」より引用。
理性の空間は緊張や圧力を感じやすいが、
情の空間は緊張感を解き親近感を覚えてもらいやすい。

ただもちろん、現在のどんよりした演出にしているのも理由があるだろうとは思います。おそらく、その方が総合的に「見ている人の心を動かす」のではないかというのが個人的な推測です。残酷ですけどね。

まとめ

  • 「ひなた坂46」という名前は認知負荷が高く、特にメンバーが「所属迷子」にならないかどうか心配

  • もちろん「いいな」と思う点もある

  • 「けやき坂46」の不安定だった側面を繰り返すこともないはず

  • だからこそ、この名前に込めた「想い」を伝えてほしい

  • ちなみに自分が中の人だったらこう提案する

というようなことを述べました。
正味、メンバー自身がなんの違和感もなく受け入れられていたら全く問題ないですし、ここで書いたようなこともマネジメントサイドによっておそらく全部検討済みな気もしてます。なので冒頭で書いたように、全てひっくるめて杞憂だったねといつか思えたらそれが一番ですわ。

余談

この記事、実は18日土曜日くらいにはおおよそ出来てたんですが、そこからかなり体調崩してしまって5月ギリギリになってしまいました。ホントはあと3本、

  • 「リリース期間ごとの交代制ひなた坂46キャプテン制度が見てみたいよ〜(初代は高本彩花さんで)」

  • 「ハッピーオーラという言語化の功罪と、らしさの再縁取り」

  • 「日向坂46の地方密着が、世界進出につながるのでは説」

みたいな事を書きたかったんですが、体調的にちょっと書くの大変になっちゃったのでとりあえずタイトルだけ出して成仏させておきます。個別のメンバーに着目したネタも7つくらいあるので、それもいつか書きたいすねぇ。

あとはラジオメールですね。ちょこちょこ送り始めました。復帰一発目の採用は松田好花さんANNXで、ノベルティあるのでめっちゃ嬉しかったです。なんとかB獲得も目指したい。
日向坂のラジオはしばらくANNXとのびらじに絞って、できる範囲で送ろうかなと思います。その他はよほど送りたいコーナーが無い限りは聞き専で楽しむ予定です。たぶん。気が変わるかもしれないけれど。

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