なぜ石油はこんなに高いのか

石油価格がとんでもないことになっています。ガソリンスタンドの表示価格を見てみると高いところでは1Lあたり180円台に達しており、最終的には200円を超える可能性もあるのだとか。原油価格が上がればそれを燃料としている船や飛行機の輸送コストも上がるため、様々なモノの価格も上がります。最近のニュースでは湖池屋のポテチが6~11%値上がりしたと報道されていました。マックのポテトのクーポンが出てこないのもこれと関係してるかもしれません。

さて、なぜ原油価格がここまで高騰したのでしょうか?大きく2つの原因が考えられます。

まずはウクライナ危機の影響です。ロシアは資源大国で、輸出の約5割が燃料・エネルギーです。現在欧米はロシアの原油輸入を禁止していますが、特に欧州はロシアへのエネルギー依存度が非常に高いため、他の輸入先を探さなければなりません。そうなれば必然的に日本が依存している中東の原油の需要が高まるため、価格が高騰することになります。

さらに、”グリーンフレーション”という問題があります。グリーンフレーションとは気候変動対策の結果によりエネルギー価格が上昇することを意味します。例えば脱炭素化のために化石燃料への投資が抑制されたら、当然供給は絞られ、その結果石油の価格が上がるといったケースです。この現象は急激に脱炭素化にシフトすることによって生じます。ただでさえ高まっていた温暖化への危機感にパンデミックでDXが著しく進んだことが追い風となったことでグリーンフレーションが加速しているのだと考えられます。

さて、この流れは今後どうなるのでしょう。このまま脱炭素路線は後退していくという見方もありますが、逆に追い風となって脱炭素化が進むことも考えられます。例えば電気自動車は車体価格の高さがネックですが、原油価格が上がり、充電スタンドなどのインフラ整備が進めば、いっそ電気自動車にした方がマシなんじゃないかという人が増えてくるかもしれません。欧米のロシアガス輸入禁止という措置はしばらく撤回されることはなさそうです。だとすれば、一時的に脱炭素の流れは後退するものの、長期的に見れば上記の二つの現象は、いわば脱炭素化への”伏線”になる可能性を秘めていると考えられないでしょうか。

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