日米同盟と同盟のジレンマ

今回は日本の安全保障の要、日米同盟についてです。

日米同盟はしばしば「物と人の協力」と表現されます。非常に端的に言えば、日本は基地を提供し、アメリカは軍隊を派遣するという関係です。アメリカは日本を守る義務がありますが、日本は(条約上は)ありません。これは一般的な同盟との大きな違いの1つです。ここまで読むと日本が圧倒的に得に見えますが、逆に考えればそれだけアメリカにとって大きなメリットがあるのです。日本に基地を置くことで、アメリカは韓国防衛や南シナ海、インド洋、そして何より台湾を防衛することができます。中国と台湾の関係を説明すると長くなってしまうので、ここでは台湾は米中対立の中で非常に重要な国であるとだけ書いておきます。

さて、最近「アメリカの弱体化」が様々なところで指摘されています。「世界の警察官」と言われていたアメリカは、今や中国と競争しながら世界を守る余裕がないのです。そうなると当然、アメリカは日本に軍事費の更なる負担といった協力を求めてきます。しかし、軍事費の増加は国民の負担が増えるだけでなく、中国や北朝鮮を刺激してしまう可能性もあります。ウクライナ侵攻を踏まえると、従来より一層慎重に検討しなければなりません。

最後に、「同盟のジレンマ」についても軽く触れておきます。日本の動向をみると、今後日米同盟が強化されることは間違いないと思います。これは「見捨てられる」不安からきており、例えば日本が日米同盟へあまりにもコミットしていないと、万が一戦争が起きた場合、弱体化してきているアメリカから「日本を守ってる余裕はない!」と言われる状況です。日米同盟を安保の基軸としている日本からすれば見捨てられるわけにはいきません。一方、過剰な強化は日本が望まない戦争に「巻き込まれる」可能性が高くなることにつながります。このように、「見捨てられる」不安が「巻き込まれる」不安を生む、これが「同盟のジレンマ」です。そこのバランスを上手く見つけることが外交の役割なのかもしれませんね。

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