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記者会見で「NG」なのは誰?・関口威人の「フリー日和 (⌒∇⌒)□」【特別版】

(※ 本記事は2023年12月9日のニュースレター配信記事のnote版です)


今年は旧ジャニーズ事務所や日本大学の不祥事を巡って、記者会見のあり方があらためて注目されました。

 NGリストなるものは出回ったものの、僕が新聞社を退社した15年前から比べると会見に参加するメディアや個人もだいぶ多様になり、活性化した感はあります。

 ただ、多様になり過ぎるゆえの混乱があるのも確かでしょう。記者会見は誰に、どの程度開かれるべきなのか。NGを出されまくった当事者としての経験から、僕なりに整理してみようと思います。

「開くか、開かないか」の議論はとっくに決着

 僕と記者クラブ(名古屋市政、愛知県政)や県・市との因縁については2年前の名古屋市長選のころにまとめたブログ記事があります。細かくお知りになりたい方はそちらをご参照ください。 

 当初は市役所や県庁に出入りしていなかった僕も、必然的に市へ取材に行ったところで「記者クラブの壁」にぶち当たりました。それは新聞社時代、中にいると気付かなかった高くてカチコチに堅い壁でした。


 ちょうど民主党政権となり、国会では東京のフリーやネット記者たちが盛んに大臣会見などに乗り込んでいたタイミング。その熱気は黎明期の(まだのどかな雰囲気だった)Twitterを通して名古屋でも感じられました。東京の状況を発信していたフリー記者の一人が、先日映画のイベントでご一緒させてもらった畠山理仁さんでした。


 そこで僕も名古屋で本格的に会見開放を進めようと市役所や県庁に単身乗り込んでいきました。市政や県政の記者・職員とさんざん衝突し、ときには怒られ追い出され、ときには冷たく無視されて嫌になることばかりでしたが、話し合ううちに徐々に壁は低くなっていきました。

名古屋市長に就任した2009年の年末(12月28日)の定例記者会見に臨む河村たかし市長。僕はオブザーバーとして後ろで立ってメモをとっていました

 実は、その時点でもう「記者クラブを開かれた存在にする」「記者会見をすべての取材者に開放する」方針は日本新聞協会新聞労連(日本新聞労働組合連合)から示されていました。


 新聞協会には全国紙・地方紙だけでなく在京・在阪・在名のほぼすべてのテレビ局も加盟しています。


 だから議論は「開くか、開かないか」ではなく、「どう開くか」から始まるはずなのです。でも、メンバーの入れ替わりの激しい記者クラブでは今も10年前の議論を一からしなければならないことが多々あります。

 これは僕のようなオルタナティブな記者・メディア側からも常に議論や発信をしていかなければならないという戒めかもしれませんが。


「NG」にする合理的な理由はあるか


 では、どう開くべきか。

 新聞協会は上記の「開く」方針を原則としつつ、個別には「それぞれの記者クラブの実情に合わせて追求していくべき」だとしています。


 僕もそれには賛成で、誰でも会見に参加していいわけではないと考えています。


 では、どんな人が「NG」なのか。そこにはちゃんと合理的な理由がなければなりません。

関口威人(せきぐち・たけと) 1973年横浜市生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科(建築学)修了。中日新聞記者を経て2008年からフリー。名古屋を拠点に地方の目線で社会問題をはじめ環境や防災、科学技術などの諸問題を追い掛ける。現在は主にYahoo!ニュース、東洋経済オンラインに執筆。2018年に一般社団法人「なごやメディア研究会(nameken)」を立ち上げ、代表理事に就任。

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