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ROYAYE DARYA ペルシア湾へ

 どうもNambu201です。今回久々の投稿となりましたのは、ヴァンテアン号のイランでの動向を掴むに至ったためです。早速みていきましょう。


ブーシェフル州海上観光産業の夢

 ヴァンテアン号は先の記事でも示した通り、Princess号として約半年以上の大航海を経てブーシェフル港へ入港(ドバイ行きの話はどこへやら)。到着後にRoya Daryaと登録名並びに船籍国が改められ、ドック入りをしていました。3月23日には既にドックを出て、4月2日にトライアルとみられる動きを見せました。現地の旅行代理店によると、本船を用いたレストランクルーズとみられるツアーが、3,270,000~4,905,000イランリアル(約9000~15000円)で発売されたようです。

ドック入渠前のPrincess号時代の姿
Farsnews より
ドックでROYAYE DARYAへ改装された姿
Ports and Maritime Organization より

※イラン現地の写真について、イランは国際間における著作権保護の各条約を批准しておらず、並びにベルヌ条約の批准に匹敵するWTO加盟も申請段階ということから、日本国とイランの両国間において著作物の保護は行われていません。それを踏まえ、ここでは引用元の表示を行った上で掲載しております。

 イランの通信社ILNAによる報道では、本船は当面の間ブーシェフル港内の観光船として、公私問わずセレモニーにも利用される見込みです。ただこれは暫定的なもので、将来的にはブーシェフル州の西隣にあるフージスターン州と、ホルモズガーン州を結ぶ航路への就航を計画しているようです。

 ホルモズガーン州は、ブーシェフル港の前港として入港していたバンダレ・アッバース港が位置しています。一方フージスターン州はイラクの国境に接しており、2019年にはイラン軍によるドローン撃墜が行われた地でもあり、また大きな可行河川や国内屈指の産油量を誇る古くからの油田が位置しています。観光資源としての活用が随所で強調されていることから、フェリーのような使途というよりもクルーズ船の趣が強くなるのではないかと考えられます。

ドック整備の内容

 長きにわたる外航航海とあってかなり到着時には汚れているようですが、暫定的な船名表示から新しくペルシア語併記でROYAYE DARYAと書き換えられ、船体も美しい往時のままの色で塗装されました。ヴァンテアンという文字は船体から若干張り出す意匠でしたが、新船名を表示するにあたりこれは削られた可能性もあります。Aデッキのイルミネーション、電飾、グーグルアースから見る限りはベル周りのベンチの配置に至るまでとくに手は加えられた形跡はみられません。

 船内の様子を見る限りでも大胆な改造は行われていないようで、リヴァージュは婚礼などで用いられていたと見られる椅子などがセッティングされています。プレンメールのテーブルクロスは現役当時のままで、調度品やピアノなどの設備はそのまま利用することになりそうです。イランではイスラム法に基づいて酒類の保有から禁じられているので、ビールサーバーやバーカウンターなどは持て余すことになりそうです。

Bデッキ リヴァージュの様子
Ports and Maritime Organization より
Dデッキ プレンメールの様子
Ports and Maritime Organization より

 本来はドバイ行きと言われていたヴァンテアン。自治体レベルでの働きかけを伺わせる内容の記事もあります。このように海上観光に積極的な活用をされるのは、嬉しいことです。弊サークルでは今後も動向を注視してまいります。

⚠️現在イランはアメリカ合衆国よりテロ支援国家の指定を受け、経済制裁が行われています。イランへの入国歴がある場合、アメリカ合衆国への入国手段としてESTAを利用することができなくなり、ビザの取得が必要になりますので、渡航を考えている方は十分お気をつけください。

本誌では引き続き、ヴァンテアンの写真・情報を募集しています。ヴァンテアン号にまつわるもの、現地のニュース記事を見つけたなど、なんでもお寄せください。ご協力頂いた方々に対しまして、PDF形式での献本、印刷版の割引頒布をさせていただきます。情報提供、写真の提供を頂ける方は、Twitterもしくはメール[nokuchi201@gmail.com]にてご連絡をお待ちしております。

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