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【シリーズ 旅と読書①】南フランスを舞台としたおすすめ小説

ジュール・ヴェルヌの『八十日間世界一周』(1873年)、アーネスト・ヘミングウェイの『日はまた昇る』(1926年)、アガサ・クリスティの『ナイルに死す』(1937年)など旅を思い起こさせる小説は数えられないほどあります。

こうした名作が書かれた時代は、今ほどに海外旅行が簡単にできる時代ではありませんでした。なので、読者はこうした本を通して、旅に出かけ、世界を体験したのだろうと思います。

時代は違えど、旅に出かけられないのは、このコロナウイルスが蔓延した現在も同じ状況です。

旅に出られない今だからこそ、本を通して旅に出かけてみませんか?そして、コロナが終息し、旅に出かけられるようになったとき、物語の舞台を実際に訪れようじゃありませんか。

この記事では、南フランスを舞台としたおすすめ小説を3冊紹介します。


『南仏プロヴァンスの12か月』 ピーター・メイル著

世界的なプロヴァンスブームを引き起こした有名な一冊ですね。イギリス人の作者ピーター・メイルが、広告代理店での多忙な会社員生活から抜け出して、南フランスのプロヴァンス地方に移住した体験を本にしたものです。暖かなプロヴァンス地方の気候、美しい風景、穏やかな生活が描かれています。「都会での会社員生活を辞めて、田舎暮らしを始める」という視点で、読んでみてもおもしろいかもしれません。

『たゆたえども沈まず』 原田マハ著

『楽園のカンヴァス』や『暗幕のゲルニカ』でも知られる原田マハさんの作品です。作家であると同時にキュレーターでもあり、文章の中につねに絵画や芸術に対する愛を感じます。南フランスは多くの芸術家が魅了され訪れていますが、印象派の画家ヴィンセント・ファン・ゴッホもその一人。彼の生涯をたどる一冊です。19世紀後半のヨーロッパは、ジャポニズムが大流行。ゴッホも日本的な風景を求め、パリから南下してアルルへたどり着いたというのも興味深いですね。

『風車小屋だより』 アルフォンス・ドーデ著

1869年に出版されたアルフォンス・ドーデの作品。プロヴァンスに里帰りした作者が、プロヴァンスでの豊かな生活を、パリの友人に紹介する短編集です。上で紹介した『南仏プロヴァンスの12か月』よりずっと以前、すでに19世紀にこのような小説があったのですね!この中に含まれる『アルルの女』は、後に3幕の戯曲となり、ビゼーが作曲をしています。

旅に出かけられない今だからこそ、旅に思いを馳せながら、海外を舞台にした小説を手にとってみませんか?


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