「マーダーミステリー」商標登録とLINEスタンプ申請について

2020年6月22日にTwitter投稿したこの件について、備忘録を残します。

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「マーダーミステリー」という言葉は普通の言葉、一般名詞だと捉えてる人がほとんどじゃないかと思います。わたしもトランプとか花札みたいなゲームジャンルを称する言葉と認識していました。

そもそもなんでこんな情報提供を募るようなツイートをしたかというと、『マーダーミステリーあるある』というタイトルのLINE スタンプを作ろうとしたからです。

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LINEスタンプをアップするためには、LINE社に審査申請をする必要がありまして、そこでリジェクト、「商標登録者、権利者がいるから駄目」っていうことで差し戻しされてしまったんですね。

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「商標登録されてない」って認識だったので、特許庁のデータベースを見に行きました。そしたらあの 10件ほどですね、申請中というステータスのものが出てきたんですね。でも通ってるものはない。

LINE社がなんでリジェクトしたか?

この10件の申請者の中に、今後、商標登録の権利者が生まれてしまった場合に、このLINEスタンプを通してしまうと今後厄介なことになってしまう可能性を考えてじゃないかなと。どっちも保護しようって観点は企業として至極まっとうな判断です。

しかし「マーダーミステリー」は一般名詞だろうと思ってLINEスタンプ申請したわたしに、『納得できないぞ』とここで火が点いてしまいました。

・「マーダーミステリー」は一般名詞で、この申請のどれかが認められてしまったらゲームを楽しんでる自分も含め、なんか色々困るんじゃなかろうか?

・「マーダーミステリー」でLINEスタンプ作りたくても、この申請が出ている事実がある限り永久に諦めないといけないのか?

・商標登録は揉めがちなので、なにか対抗手段というか特許庁側も情報収集の手段を掲示してるんじゃないか

ということで、特許庁のホームページで商標登録申請のFAQを調べたらありました!

商標登録出願に関する情報提供についてhttps://www.jpo.go.jp/system/trademark/shinsa/johotekyo/touroku_jouhou.html

第三者でも「この商標登録について情報提供をしたい」というものを受け付けてくれる仕組み、これを探していた…。

これは第三者のためというより、本当の商標権利者に該当する人が「いや私が権利者です」っていうことを証明するための仕組みのようです。ダンボール一箱資料を作って送るとか、そういった事例も過去にあったとかなんとか。

このあたりから「どうやったらLINEスタンプのタイトルに『マーダーミステリー』って入れたまま通せるか」ではなくて、

「もうLINEスタンプは違うタイトルにせざるを得ない。乗りかかった船だし、マーダーミステリーって言葉が商標になっちゃうの困るから、情報提供だけでもしよう」

に考えがシフトしました。

で、この「情報提供」を今回のような「ちょっと言っておきたい」といったノリでアプローチする人はあんまりいないみたいで、対応事例も見当たらない。

どういった資料を揃えたら「情報提供として意味があるか」をある程度調べまして、普通名称として使われている証拠の量が必要だということがわかりました。しかも郵送(印刷物)で送ってくれっていう風にあったので、いろんなスクショを集めたりしはじめました。

例えば Google 検索で「マーダーミステリー」で何件出てくるとか、 普通名詞として一般に広く使われてるよっていう証拠です。

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「たくさんの人が普通に使ってるよ」っていう証拠集めをしていく中で、どうしても調べ方がわからないものが出てきました。

できるだけのことはしたくて、諦められなかったので、6月22日にお願いのツイートをしました。このツイートは最終的に300リツイート近くまで行きました。かなりの人が見てくださったようです。(同時にマーダーミステリー界隈の賑わいを感じました)

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その中でも、YouTube動画投稿数を人力で数えてくださったスローダンサー@KsnhbS8oljHAlqi さん、ツイート検索のバッチ処理サービスを試してくださったダバ @daba_niku さんにはとても励まされました。

そこから『2020年1月に、「マーダーミステリー」商標申請の拒絶が既に行われていますよ』と、『老神湖殺人事件』でおなじみのOne Eater @eater_one さん、『LINE脱出トーナメント』のましー @massy_o さんが教えてくださり、状況が(個人的に)大きく動きました。

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「LINEスタンプ申請時に、この事例を入れて交渉すればいけるんじゃないかな…」と目算がたった瞬間です。

「拒絶事由も出ており、一度は一般名称として判断されている。権利者がいる状態とは言えず、今後も申請が通るとは考えにくい」みたいなことを書いて、LINEスタンプの再申請を出しました。

翌日には「申請受理」!  よっしゃー。

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https://store.line.me/stickershop/product/12325144
※ご覧の通り、絵は上手くありません。なんで作ろうとしたかはまた別の話

これが通ったってことは、他の人もLINEスタンプに「マーダーミステリー」ってタイトルをつけてリリースすることができるわけです!!

(今も「マーダーミステリー」って入れてリジェクトされるよって方はご相談ください。お手伝いできるかもしれません)

LINEスタンプ『マーダーミステリーあるある』は無事リリースできた。

じゃあ次は、ということで乗りかかった船の「商標登録の情報提供」の資料をまとめて、特許庁長官宛の封書にして郵送しました。

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既に拒絶事由が出ているので、わたしが「情報提供」してもしなくても商標登録が通ることはないと思います。一ファンとして、またTwitterでたくさんの方の目に触れたツイートの締めくくりとして送ったような感じです。

最終的に、6月22日の「商標申請の情報提供のお願い」ツイートは消しました。 

せっかくこう広まって、問題意識を感じて下さった方や情報提供の呼びかけに協力してくださった方の記録として大事にしたい思いもあったのですが、これが一人歩きし続けると「マーダーミステリーという言葉が、今現在商標登録されかかっている」との誤解を招き続けることになってしまい、楽しく遊べない人が出てきてしまう可能性もあるなと…大げさですがマーダーミステリーの賑わいに影を落とすことにもなりかねない。それは本意ではないので…。

諸々ご協力くださった皆様、まとめてで申し訳ありませんがこの場を借りて深く御礼申し上げます。その節はありがとうございました。

あと、現在申請中の各社については特に思うところはないことを付け加えたいと思います。ビジネスで考えたら、商標を押さえる行動は理解が出来ますし、申請書面だけではどんな展開や意図があるのかは部外者にはわかりません。志高くマーダーミステリーの発展のために商標申請を出したのかもしれないですしね。

(余談)2020年年末にかけて新しいマーダーミステリーの企画PVを出した、ソライロさんが「マーダーミステリーJ」っていう商標を出していたのにはワクワクしました。人狼ジャッジメントのキャラクター が出てくるマーダーミステリーみたいで、すごく楽しみです。

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