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プログラマーの独り言 - 「歩行者待ち時間表示プログラム」のこと

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今ではふつうに交差点で見かける,歩行者専用の待ち時間表示装置.

一般的な歩行者待ち時間表示装置

歩行者用信号機が赤になっている時間を10等分し,LEDのバーの表示数で青信号になるまでの残り時間を示すものです.

実は私はこの装置の制御ソフトウェアを,日本で始めて作成しました.昔のことで記憶がはっきりしませんが,30年ほど昔になる1993年頃だったかと思います.

装置の筐体ですが,当時はもっと無粋なボックスで,従来の歩行者用信号機と並べて取り付けられていました.

初期の形状

ソースプログラムは4ビットのアセンブラで記述しました.なんら複雑なプログラムではなく,3日ほどで一応の形になったと思います.あらかじめ赤から青に変わるまでの時間を計測し,それを10等分するのですが,divide命令を持っていたので問題ありませんでした.

現在ではLEDのバーではなく,下のように数字を表示するように改造されたのも多く見かけます.しかしロジック自体はオリジナルとさほど変わってないと思われます.

数字を表示させている装置

ところでこの装置ですが,プログラムを納品してから,長らく目にすることはありませんでした.

ところがある用事で上京した際,上野駅のそばの交差点で偶然見つけ,たいそう驚きました.自分が作ったプログラムがこんな都会の一角で働いていること,それは大きな感激でした.

私はコンピューターソフトウェアの世界で仕事をして40年余.その間高速道路のオービスの制御ソフトや工作機械の制御プログラム,また大手銀行のシステム等,大小様々なプログラムを数多く組んできました.けれど後にも先にも,人に自信を持ってアピールできるのは,これくらいだと思います.

24時間365日,雨の日も晴れの日も,休むことなく働き続けている歩行者用待ち時間表示装置.その姿を見るのは嬉しいものです.システムエンジニア冥利に尽きると思わずにはいられません.

私はあと何年生きられるかわかりませんが,この装置と私が作成したプログラムは,よりずっと未来まであちこちの交差点で稼働し続けてくれるでしょうか.

交通システムが一変し,信号機が世の中からなくなる日まで活躍し,社会の役に立ってくれることを心より祈っています.


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