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何もなさない

夢中と依存。どちらも意味合いとしては近しい言葉だが、どうしようもなく真反対な状況を指している。
対象となる行為、人物、物が存在する点は共通しているが、その積極性を生み出している動機に関して、依存の方が消去法的な意味合いであることが多いように感じる。

おおかたの人間は自分が何も成していない、取り組んでいないという状況に耐えられない。自意識が高い人間ほどその傾向が高い。
自己防衛的な本能として、何かしなければという半ば脅迫的な思いは、行為の動機そのものに依存性を持たせる。

この依存による行為ははなんの利益も生まず、どこかのタイミングで虚しさを自覚することがある。
空白を埋めるための趣味なのか、寂しさを誤魔化すための関係なのか、パターン化された行為の隙間に死にたさを覚えた経験はないか。
そこで発生する行き場のない自問は依存の中に消えていく。


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