ガンダムZZのキャラクターの設定上の身長・体重についての所感及び考察

はじめに

筆者はキャラクターの身長や体重を設定されていると、つい平均と比べてしまう。平均より高いのか低いのかで、そのキャラクターへの解像度をより高めようとする。
ただそれだけのことではあるのだが、筆者は所謂”データ萌え”するタイプのオタクなので、こういうことをする。いつものことである。

キャラクターの身長・体重を同年齢の平均データと比較する

ここでは、ジュドーとリィナのみ取り上げる。他のキャラクターについては本文が長くなるので割愛させていただく。

なお、設定データのソースは、筆者の手元にある 学習研究社出版のアニメディア1986年6月号付録『機動戦士ガンダムZZ SPECIAL BOOK』1986-6-1である。

ところで、ガンダムのキャラクターは作中で成長する(例えばジュドーは13→14歳になる)が、設定データがいつ時点でのものかは不明。しかし、仮に付録冊子が情報の初出だとしても、設定自体は少なくとも初期から存在するはずなので、初期年齢時のものと考えるのが自然だろう。
同冊子にて『ジュドーの血液型とか星座とかは、最初の段階で決まってなかったんです。それが、話数が進む内に、演出の方や脚本の方が逆算して』(以下略)という発言があることと、同社アニメディア1986年4月号内のデータと異なっていることから、番組開始前から決まっていたわけではないと判断した。
よってここでは、ジュドーのデータは13歳の、リィナのは11歳時点のものだと仮定して話を進める。

身長、体重の順に記載する。
ジュドー: 165cm、56kg
リィナ: 153cm、39kg

これを同年齢同性別の平均身長、体重と比較していく。
ここでまず、データが日本のものであるということを予め断っておく。ジュドーやリィナは容姿からして明らかに日本人ではないのだが、筆者が海外のデータに疎いのでご容赦願いたい。アニメなので容姿が信用に値するかと言われればNOだが…前期OPで最初に映るのが日本列島だから、日本のデータでも良いんじゃない?
まあ、少なくともアメリカでは、データによるが、体重はさておき身長は13歳以前ならば大きな差は見受けられなかったので、そんなに気にすることでもないのかもしれない。体重はさておき。

彼らは一体何人(なにじん)なのだろうか。名前からじゃ分かんねえし。
宇宙世紀って資料とかには英語が使われているらしいけど、名前はその限りではないし、言語は未だ分かたれているのかもしれない。
ハヤトとかミライさんとか思いっきし日本人名だし、言語はともかく名前には文化が残ってるということだろうか。言語は…だってダカールの現地人と言葉が通じてたんだから共通に決まってんだろ!アニメ補正?
ところで、UCで突然英語と字幕が出てきて驚いた記憶がある。ということは、もしかすると作中の登場人物は英語以外の言語で話しているのかもしれない。ただ、ジオン訛りといった概念があるので、言語は共通だと考えるのが自然だろう。
……まあ、このことについて考察すれば1記事出来そうなので、この話はここでおしまいだ。さあ!身長と体重の話に戻るぞ。

年齢毎の平均身長・体重のデータは文部科学省による『学校保健統計調査』をはじめとして、労働厚生省の『国民健康・栄養調査』、スポーツ庁の『体力・運動能力調査』等多くの統計データがある。また、これらは標本調査であるため年度が同じでもデータが異なる場合がある。

ここでは文部科学省の『学校保健統計調査』を採用する。以下のデータは令和2年(西暦2020年)度のものである。
平均身長、体重の順に記載する。
13歳男子: 161.4cm、50.9kg
11歳女子: 148.0cm、40.3kg

単純に比べるなら、ジュドーは平均より身長が高く体重も重く、そしてリィナも同様であると言える。
しかしここで留意すべきなのは、まずこの平均データが西暦2020年のものであるということである。

ZZの放送自体は1986年から'87年だが、Blu-rayメモリアルボックス Part.1に付いているブックレットによると、ZZの企画は前作Zの放送中である1985年の夏から秋頃から始まったとされている。そして年度の統計データが年内に出るはずもないので、アニメスタッフが実際のデータを参考に身長・体重を設定していたとするならば1984年以前のものになるだろう。
ここでは1984年のデータを取り上げる。
13歳男子: 157.5cm、47.3kg
11歳女子: 145.4cm、37.7kg

ご覧の通り、2020年のデータと比較すると身長・体重共に低く軽いことが分かる。キャラクター設定データが平均からより離れてしまった。

まあ、ぶっちゃけ、学校保健統計調査には平均しか載せられておらず、標準偏差を考慮できない時点で乱暴な考察ではあるのだが。
体力・運動能力調査結果なら標準偏差が記載されているのだが、如何せんインターネット上には1999年(平均身長・体重のデータがあるのは2003年)からしか見当たらず企画当時のデータ(1984年)を見ることができなかったので採用を見送った。1964年から実施されているはずなんだがなあ。閑話休題。

えー、で、二人とも平均より背が高いくて、それに付随して体重も重い!という乱雑なまとめ方で終わることもできるが、私はそれを許さないので、以下考察に入る。

以下、考察

時代と環境を考慮すべきだろう。
時代は、設定データを上で初回時のものだと仮定したため宇宙世紀0088年である。環境は、宇宙である。

宇宙世紀は一説には(2000年の映像作品『G-SAVIOR』冒頭のナレーションが根拠?)西暦から2045年から始まったとされているが、ここで重要なのは正確な年ではなく、少なくとも上で示したデータである西暦2020年以降の出来事であるということである。
上で示した通り身長・体重共に後年の方が数値が大きい。面倒なのでデータをここには載せないが、平均身長・体重共に年々上昇傾向にある。これは生育環境の改善や食の欧米化をはじめとした様々な原因が絡むと考えられるが、まあとにかく年々平均身長は上がり体重は増えているよってことが分かっていただければそれで良い。
2000年以降は劇的な変化もなくほぼ横ばいなので、何もなければU.C.0088(上の説を採用するならば西暦2133年)には2020年のデータとほぼ同じか少し上昇している程度だろう。

そして、もう一つ考慮すべきなのが彼らの育った環境である。
宇宙に行くと身長が伸びるという話を聞いたことがないだろうか?JAXAのサイトによると『宇宙飛行士が宇宙に行くと、数センチ(だいたい1~2センチ)身長が伸びる、という現象がおこります。中には7センチ以上伸びた人もいます』とある。これは無重力により背骨間の隙間が広くなることによって起きる現象である。無論宇宙飛行士が行く環境が無重力空間であることに対して、彼らの育った環境は完全な無重力ではない。しかしコロニーの中心から離れた末端は重力が軽くなるので、平均して地球の1Gよりは弱い重力の環境で育っていると考えて良いだろう。

これらを踏まえて、もう一度各データを見てみる。
ジュドー: 165cm、56kg
リィナ: 153cm、39kg
2020年度(出処: 文部科学省『学校保健統計調査』)
13歳男子: 161.4cm、50.9kg
11歳女子: 148.0cm、40.3kg

しかし、子供の一年は実に大きい。同学年でも4月生まれと3月生まれでは発育状態に大きな差が出ることは、皆様ご承知の通りである。
まあ、だから、年齢毎の平均を取るってことがそもそも乱暴なんだよ。大体平均を取って何になるんだ、標本によって異なるデータに何の意味が…

話を戻すと、上記の考察によればジュドーは平均身長より少し高い程度、体重はそこそこ重めであると言えるだろう。
尤も、作中で見せる運動神経の良さや4話で出た半裸から分かる通り中々逞しい上に、13歳男子の平均体重の標準偏差が8.50(出処: スポーツ庁『体力・運動能力調査』2020年度、インターネット上で見られる最古のデータである2003年度と比べてもあまり変化はない)である事を考えるともっと重くても良いような気はするが。

リィナは平均身長よりそこそこ高めである一方で体重は平均程度なので、一見して痩身であると言えそうだ。
しかし、平均体重は近年肥満児が増加しているということで年々上昇傾向にあるが、彼らの貧困振りを考えると少なくともシャングリラの庶民層の平均体重はそこまで高くない気はする。そう考えると痩身ではなく身長なり、と考えるのが妥当だろうか。

ところで、年度や標本によって正確な数値は異なるのだが、単純な傾向はあまり変わらない。ひとつは、年齢が高くなるほど平均身長は高く、それに伴い体重は重くなるということ。そして、発育は一般に女子の方が早いということである。同様に成長が緩やかになるのも女子の方が早い。男子が大体16〜17歳であるのに対し、女子は14〜15歳程である。
また年度によって多少前後はするが、標準偏差の値が大きくなるのはおおよそ男子が12〜13歳、女子が10〜12歳頃である。ジュドーもリィナもこの年頃に当てはまるので、平均より離れていても不自然ではないと言えるだろう。終わり。

以下、補足

えー、しばしば文中に登場した「標準偏差」について聞き馴染みのない方が多いと思うので簡単に説明しておく。
最初にしたほうが良かったかもしれないが、初っ端から真面目な統計の話をされてもつまらんだろうから、こういうのは最後に押し込めるのだ。知ってる人も中にはいるだろうし。

ざっくりと言えば、標準偏差とはデータのばらつきを示す値のことである。
つまり、データが正規分布に従うならこの数値が小さいほど各データが平均周辺に集まっており、大きければ平均から離れたデータが多いということである。

標準偏差を平均値に足した数字から引いた数字の範囲内に、標本データの68.3%が当てはまる。そして標準偏差×2を平均値に足した数字から引いた数字の範囲内には95.4%が、標準偏差×3以下略には99.7%が当てはまる。
これは、こうなることが多いとかではなくて、そもそもこういうルールなので、そういうもんである。
身長や体重は各値が標本によるデータであるためこの限りではないと言えそうだが、結果として正規分布に従っているのでこれを当てはめることができる。

また聞き慣れない言葉が出て参りました。
正規分布とは、平均値と最頻値と中央値が一致し、グラフにした際に平均値を中心として左右対照の漸近線になる変数の集団である。
例えば、テストの平均点が50点なのに対し殆どの人は80点近く取っており、平均は一部の0点の奴らに下げられていただけだった…というようなデータは正規分布に当てはまらない。

まあ詳しいことはインターネットで検索すればいくらでも出てくるので、難しいことはそちらに任せる。

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