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ガリバー "法螺吹き" 男爵の冒険ⅩⅩⅩⅩⅥ

「わたくしは帝国の話を始めました。森の国から遥か北の大陸にあること、私たちの故郷にはこの国のような大きな樹はなく、人びとは石やレンガーー粘土を焼き固めて作ったもの、と説明しましたがーーで建物を作り、その中で暮らしていることを話すと、人びとはざわめき、ひそひそと話し合う声が聞こえました。『静粛に』と根の王が言うと、謁見の広間は静まり返りました」

「『誰も彼も、卿の話にすっかり夢中になっておるようだ。詳しく話を聞きたい者は多いだろうが、まず私から質問しよう』。一呼吸置いて、皆から異論が出ないことを確認してから、王は尋ねました。『卿らは、常日頃から火を使っているのか』。わたくしが同意すると、広間は再びざわめきだしました。根の王は両手を数回叩き、場を収めてから質問を続けました」(続)

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