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【前編】 悪いな、これ3人用なんだ。

と、彼はこの世の全ての平凡を具現化したような少年に言い放ちます。お金持ちのおぼっちゃま。漫画の登場人物とは言え、憎たらしいもんです。一言一言が少し鼻につく、いわゆる、ええとこの子。

現実に当てはめてみると……。

なんということでしょう。本当に思いつかないんです。

地域や環境のせいでしょうか。もちろんそれもあるかもしれませんが、話を聞いているとよだれが垂れるほど羨ましくなるお金持ちの友達も何人かはいたんです。でもなぜか、腹を立てた事ってないんですよね。

この謎を、今までに出会ったお金持ち達から紐解きたい。

とは言え、私自身が庶民の中の庶民。the 庶民。this is 庶民。周りにお金持ちはあんまりいません。小・中と地元の公立小学校を卒業し、高校も府内のぼちぼちの進学校。受験に失敗したが浪人にびびって親に頭を下げて私立大学に進学したので、ここが唯一の希望でしょうか。

〜小・中学校編〜

正直、この子だ!っていうお金持ちの友達が一人も思い浮かびません。そもそも友達がいなかったのかもしれませんし、記憶が薄れているだけかもしれません。ぜひそちらであってほしい。

唯一の心当たりは、一人の女の子。校区のほとんどが住宅地で、団地もいくつかあり、そこに住んでる友達もたくさんいました(僕自身、父親の会社の社宅に小さい頃は住んでました。全く馬鹿にしてませんし、小さい頃育つ環境としては非常に良かったと今でも思う)。そんな中、彼女のおうちは立派なお屋敷。多分その辺りの地主さんだったのかな?僕たちが住む家と何かが違うのは明らかでした。

彼女はとっても物静かで、同じクラスになっても声をしっかりと聞くことはめったにありませんでした。別に仲良くなかったわけではなく、単純に話すときの声が小さいんです。大勢の前で話すときは特に声が小さくなってしまいます。授業で前に立って話すことがあると、黙り込んでしまったりもするしその小さな声は震えていました。時間をかけてなんとか話し終わるとクラスメートたちは拍手で讃えます。いい子達でしたね。今となってはこんな事になってしまって…。

話が逸れました。

たしかに彼女は話すのは苦手なんですけど、別にそれに大きな劣等感を抱いていなかった気がします。そんな彼女は実は運動神経が良かった。縄跳びや鉄棒が上手だったのをよく覚えています。走るのも早かった気がします。あやとりやけん玉もできる器用な子でした。でも自慢気な雰囲気は微塵も感じさせません。どこか飄々としているというか。

もちろんその子からお家の自慢をされることなんて一度もありませんでした。その子の性格だ、と言われてしまえばそれまでかもしれません。ですが今思うと、彼女にとっては家が大きくてお金持ちである事は特別なことではなかったのかもしれません。人は自分より話すのが得意。自分は運動が人より得意。背が高いとか、絵が上手いとか、お金持ちである事はそんな次元の違いだと思っていたのかもしれませんね。考えすぎでしょうか。

〜高校編〜

これまたとんでもないお金持ちの友達はいませんでしたが、親が会社をやってて(?)海外にも家があるという友達がいました。高校卒業後は彼以外の家族は海外に引越し、彼は父親が日本に残したマンションに管理人として住みながら、レクサスで大学に通っていました。

彼とは大学が違うので、大学時代の様子はあまり知りませんが、高校時代に彼から家庭のことを聞いた記憶はほとんどありません。彼はどちらかというといじられキャラであったし、自分の家がお金持ちであることを大声で言う事はプラスでないと判断していたのでしょう。むしろ隠していたような気もします。

周りと同じであることを大切に考えてしまう、思春期の子供達にとってお金持ちであることは別にプラスではないのかも知れません。いや違いますね、周りと比べてお金持ちであることがマイナスなのです。彼の場合は、私たちと同じ世界にいることで、自分の家がお金持ちであるという個性を隠していたんですね。このあたりは小学生とは考え方が変わってくるところなのかも知れません。

〜いったんまとめ〜

庶民の私の少年時代には、周りにあまりお金持ちはいないようですね。

S夫君がもし現実世界に生まれたなら、もう少し違った育ち方をしていたような…。

まだ結論を出すのは早いですね。後編では私を取り巻く環境が大きく変わり始める大学、そして社会人編です。




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