未来の自分へ〜点訳講習会受講記録①〜

先日、令和4年度「点訳・朗読奉仕員養成講座」の説明会に参加した。
受講記録を書き残すつもりである。

初めまして!視覚障害者支援センター

感想

着いた時

道に迷うことなくなんとかたどり着けた!!
あんまり主張してない建物だな…

バスという選択肢もあったが、使い慣れている電車を選んだ。

センターへの行き方
https://www.ossk-33.jp/center/center_access/

初めて読んだときは、
「分かりやすいような分かりにくいような…?」
次第に、「ふむふむ。。。点字ブロックや音響信号機を頼りに行けばいいんだ!!。方向音痴でもなんとかなるかも…?」と希望が見えてきた。おかげで、道中、スマホのマップを開くことはなかった。
同時に感じたことは、
「視覚障害者にとっての道案内はこういうことなのか?」

館内の様子

エレベーター
音声案内と点字表記がしてある。
トイレ
場所を知らせる音声。
トイレの個室にも点字ブロック。
階段
手すりにも点字
解読したい!!と思った。けれど、まだすぐには読めなかった…
部屋の前
ピクトグラムと点字

音声案内と点字表記と点字ブロックが、ほとんどの場所にあるのではないかというくらい、案内表示が充実していた。
驚きと発見の連続だった。

視覚障害者センターの役割

岡山県視覚障害者センターの役割

  1. 視覚障がい者への情報提供をすること。

  2. 点字図書館の機能を持つこと。

  3. ボランティアの育成や養成をすること。

説明会を聞いて受講をためらう

「点字の勉強をしたい!!」「一人でも多くの人に知る喜びを提供する」と活き込んでいた。
だが、説明会に行って、迷いが生じてしまった。

色々と考えた。けど、
自力で「分かち書きなど」を習得するのは難しい。
盲ろう者向け通訳介助員養成講座を通して、点字の面白さと難しさに魅了されていたため、深く知りたいと考えていた。
ボランティアとして活動できることを前提として考えてほしい。
だが、講習会を終了しても、活動をしていない修了生も多いらしい。それを思うと、この悩みは、真剣に考えなくても、許されるのではないかと思えてきた。
コロナウイルスに翻弄されるんじゃないかという不安
緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が出ていても、施設が閉まらない限りは、講座は行う予定で、欠席の場合は自己都合という扱いになるらしい。

申し込み

色々と思うところはあった。けれど、
「点字の勉強をしたい」と思っていることは間違いないはず…
今は、トツテンくんを返却し、点字ロスに陥っている状態だ(笑)

とりあえず、提出し、帰宅してから、ゆっくり考えようと思った。

申込用紙を、後日郵送するのは、めんどくさい。
考えた結果が、見送りだった場合は、電話をすればいい。

駅から、10分程度の場所にあるセンター。読めば読むほど味が出る、あのアクセスを書いたのは、所長さんだったという。所長さんの目に映ったものを活字化したものらしい。
質問をしても、しっかりと、ユーモラスに答えてくれた。

ためらってしまった私の気持ちを、動かしてくれたのは、所長さんのおかげかもしれない。

説明会で得た知識

・韓国では、「点字法」(2016年制定)があり、言語として保護されている。また、「手話言語法」は2015年に制定されている。

点字法(2016 年制定)
点字がハングルと共に韓国の文字であることを規定し、点字及び点字文化の発展と保全の基盤を準備し、視覚障害者の点字使用の権利を伸長し、生活の質を向上させることを目的とする法律   
手話言語法制定推進事業   韓国調査報告    p9
https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/20170302-sgh-korea-rep.pdf

https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kaikaku/s_kaigi/b_4/pdf/s2.pdf

・国によっては、点字翻訳士や音訳翻訳士という仕事(報酬あり)がある。
(残念ながら日本は、ボランティアに頼っている)

・囲碁やオセロの全国大会がある。ただ、すごく時間がかかるらしい。

・サピエ図書館の中身
〇掲載できるデータ量が決まっている。
そのため、雑誌類の音訳はデータの都合上、最新号しか聞けないらしい。
〇被りが起きないようにしている。
点訳や音訳をするものは、点訳や音訳を始める段階で、他の団体にしないようにお願いしている。
〇点訳や音訳は、やろうとしている量の5倍程度かかること。
労力を分散させ、たくさんのデータをサピエ図書館に掲載し、全国で共有しあえる仕組みをつくるためである。

印象に残った言葉

・向き不向きがあるので、違うと思ったら、方向転換することをおすすめする。
・人とかかわって何かをするというよりも、一人でコツコツ進めていく作業。
・「点訳活動をすることが目標です。特に若い方は時間を作れますか?」
数日、この言葉に支配されていた。
・専門書が少ない。

説明会全体の感想

・コロナに翻弄されないか不安になった。

・指点字もそうだったが、練習あるのみ。
凹点字をたくさん打って、覚えたい。始めは、凸点字とは、別物として、挑もうと思う...
・韓国の点字法によれば、小学校時点で、1時間で12ページ分くらい読めることを目標にしているらしい。
私は、手ではなく、眼でそれくらいの速度で読めるようになりたいと思う。

・おもちゃが充実していた。
さすが、視覚障害者へ生活支援を行う施設だと感じた。トランプは、大富豪をして遊んでいることが多いことがわかった。

・スタッフの方の対応に思うところはあったけど、きっと根は優しくて、厳しい言葉はその裏返しだと感じた。
出席日数が足りなくなったら、そのときに考えよう。

不安に思っている自分へ

・向いてないなら、辞めて別の道を探したほうが得策ですよ。
移動介助やICT支援員など、視覚障がい者を支援するためのボランティア活動は、山ほどあると言われていた。
もし辞める決断をしたとしても、自分を責めることはないのだ。


点訳講習会受講がどういう意味を持つのか、今は分からない。点訳を学んだ経験、盲ろう者支援を学んだ経験が役に立つ日が来るのかもしれない。
今の段階で、わかることではないことは、確かだ。

期待と不安を感じている自分に、ステーブ・ジョブスの、スタンフォード大学卒業式スピーチの一部を送りたい。

(中略)スタンフォード並みに学費が高い大学に入ってしまったばっかりに、労働者階級の両親は蓄えのすべてを学費に注ぎ込むことになってしまいました。そして半年後、僕はそこまで犠牲を払って大学に通う価値が見いだせなくなってしまったのです。当時は人生で何をしたらいいのか分からなかったし、大学に通ってもやりたいことが見つかるとはとても思えなかった。私は、両親が一生かけて蓄えたお金をひたすら浪費しているだけでした。私は退学を決めました。何とかなると思ったのです。多少は迷いましたが、今振り返ると、自分が人生で下したもっとも正しい判断だったと思います。退学を決めたことで、興味もない授業を受ける必要がなくなった。そして、おもしろそうな授業に潜り込んだのです。(中略)自分の興味の赴くままに潜り込んだ講義で得た知識は、のちにかけがえがないものになりました。たとえば、リード大では当時全米でおそらくもっとも優れたカリグラフの講義を受けることができました。キャンパス中に貼られているポスターや棚のラベルは手書きの美しいカリグラフで彩られていたのです。退学を決めて必須の授業を受ける必要がなくなったので、カリグラフの講義で学ぼうと思えたのです。ひげ飾り文字を学び、文字を組み合わせた場合のスペースのあけ方も勉強しました。何がカリグラフを美しく見せる秘訣なのか会得しました。科学ではとらえきれない伝統的で芸術的な文字の世界のとりこになったのです。もちろん当時は、これがいずれ何かの役に立つとは考えもしなかった。ところが10年後、最初のマッキントッシュを設計していたとき、カリグラフの知識が急によみがえってきたのです。そして、その知識をすべて、マックに注ぎ込みました。美しいフォントを持つ最初のコンピューターの誕生です。もし大学であの講義がなかったら、マックには多様なフォントや字間調整機能も入っていなかったでしょう。ウィンドウズはマックをコピーしただけなので、パソコンにこうした機能が盛り込まれることもなかったでしょう。もし私が退学を決心していなかったら、あのカリグラフの講義に潜り込むことはなかったし、パソコンが現在のようなすばらしいフォントを備えることもなかった。もちろん、当時は先々のために点と点をつなげる意識などありませんでした。しかし、いまふり返ると、将来役立つことを大学でしっかり学んでいたわけです。繰り返しですが、将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎあわせることなどできません。できるのは、後からつなぎ合わせることだけです。だから、我々はいまやっていることがいずれ人生のどこかでつながって実を結ぶだろうと信じるしかない。運命、カルマ…、何にせよ我々は何かを信じないとやっていけないのです。私はこのやり方で後悔したことはありません。むしろ、今になって大きな差をもたらしてくれたと思います。
「ハングリーであれ。愚か者であれ」 ジョブズスピーチ全訳米スタンフォード大卒業式(2005年6月)にて
日本経済新聞 2011年10月9日 12:00
https://www.nikkei.com/article/DGXZZO35455660Y1A001C1000000

点と点がつながる日が来たら、この決断をした自分に感謝するのだろう。

きっと怖いのは私だけじゃない。
夢へとつながる一歩だと信じて、始めてみよう。

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