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卒業します、父のマニュアルから。

東京の会社を辞めて福岡に帰るまでに、この手続きを済ませなさい。
父からのメールだ。ありがたい、でもふと思う。もう、私はこれに頼ってはだめだな、と。

6年前上京するとき、私の手続きは全て親がしてくれた。洗濯機や冷蔵庫を選ぶのも、家の契約も、転出届も転入届も、全部全部してもらった。
「してくれるなら、それでいいや」
そして、本当に何もしなかった。私はただ、身体を東京に移した。

何かを新しく始めるとき、必ず父からマニュアルが渡された。持ち物や時間や注意点、何でも綺麗に箇条書きにされていた。

綺麗に道を整えて、
「これをしなさい」「あれに注意しなさい」。
本当に贅沢で申し訳ないけど、もうその好意は受け取れない。

私は私の力で、全てを切り開いていかなきゃいけないから。言われた通りに動くのは、もう卒業したんだよ。

親にとって、子供はいつまでも子供。
それは重々わかってる。良かれというのもわかってる。

メールはきっと、父からの歓迎の証なのだ。
私が帰るのが嬉しいから、調べてくれたんだとわかってる。

でも、私はもう大人。世間のことも、一通り知ったつもりだ。

だから、もう鵜呑みにしない。
私は私で、全部調べる。

お父さん、ありがとう。
今日からは大人と大人として、どうぞよろしくお願いします。

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