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水風船

 目の前で弾けた。
それが転機でした。
私の目の前で弾けたそれの中身は
真っ赤なんかじゃなかったのです。
教科書もそう教えていたし、常識として
疑っていませんでした。

でも違ったのです。
私はこの世の中が一気に不思議に満ちていくような
感覚に、好奇心に、高揚していたのです。

それから私は取り憑かれたように
その彩りを味わいました。

通過列車にぶつかって弾けた彼は緑色
ドリルで目玉を抉った彼女はピンク色
バラバラにした少年は水色

本当に色鮮やかで感動しました。

私も人間ですから
ひどく感動したものは他人にも伝えたいと
そう考えました。

だから私は「絵」を描いたのです。

これが私の「作品」です。


そうして犯人は真っ赤なキャンバスを
披露したという。

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