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マナーを守って品性を捨てる。――内祝いの矛盾――

 先日、結婚したので、周囲の何人かから内祝いを頂きました。
 職場の方から手渡しで頂いたのですが、もたもたしているうちにリモートワークになって顔を合わせる機会を失い、これはよろしくない、と慌てて返礼品(内祝い)を探しに行きました。

 しかし、この名目でお祝いを頂くのは初めてだったので、お返しはどう選べばよいものなのかわからず、手軽な指針としてググり、それに従って目星をつけている最中に、気づきました。
 これ、すっごい失礼だな、って。

 だってね。
 「内祝い 選び方」ってググると出てくるページに「頂いた品物の2分の1から3分の1の金額でお返ししましょう。高すぎても安すぎても失礼にあたります」とか書いてあるのよ。
 それって「頂いた品物のブランド名を検索して金額を特定しましょう」ってことじゃないですか。

 ものすごく品性に欠けた行動じゃない? まあ無批判にググるまで気づかなかった私も私ですが。しかも結局それ目安にしちゃいましたが(何も基準がないと選びようがなかったので……)。
 でもそれにしてもさあ、お祝いの気持ちで選んでくださったプレゼントに対して「○○さんは△△円か、じゃあお返しは□□~▽▽円の間くらいかな」「同僚の☆☆さんより部長の■■さんの方が安いな」とか……。

 今回、乗っかってしまった私が言うのも何ですが、思考停止の罪深さ、って気づきづらいんですよね。
 ちょっと前に美容院で読んだ雑誌で「肘をついて食事をするのがマナー違反とされたのは、航海時代、船乗りが揺れる船の上で食事をするために肘をつかざるをえなかったのを指して『船乗りのような作法で食事をするのは下品だ』とされたため。つまり職業差別から来たものである」という説があると聞いてびっくりしたのですが、マナーと一口に言っても、誰のための何のためのマナーなのか、という。

 とりあえず、一番の親友への返礼に、彼女の喜んでくれそうなプレゼントを探せたことには満足していますし、「うちの商品と、お隣のこれを組み合わせてボックスにしたらいかがでしょう?」という素敵な提案をしてくださった新宿伊勢丹の店員さんには感謝申し上げます。

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