一冊だけ存在する本

webに放り投げていた文章を自分用に製本した。自分以外の人間が価値を見出すことの無い、一冊だけの本。

かなりの満足感がある。ろくな知識・技術を持っていない人間でも、自身を満足させる程度のものならば案外作れる、便利な時代だ。表紙デザインは多少悩んだが、リテイクは不要な水準だ。中心線が思い切りずれているので、デザインの素養がある人間が見たら吐血しそうだが。

マットPP加工の手触りは、お気に入りの同人誌を思い起こさせる。本棚に並ぶ時のことを考えて、背表紙に文字を入れたのも良かった。これくらいの文字サイズなら題字のデザインに悩まなくて済む。ページ数は意識的に弄っていないので、幅が丁度良い値になったのは全くの偶然だ。
分量があれば文庫本に寄せた装丁も映えるだろうが、長編は書けないのでおそらく縁はないだろう。
(手元の小説同人誌を見ると、背表紙にタイトルすら入っていないものが意外とある。デザイン的な意図なのか、印刷時のずれを考慮した判断なのか、少し気になる。)

目次。
ほとんど全部入れだが、一作だけ入れていない。(似たような内容でまた書く予定なので)
余白の設定はよくわからないので緑陽社のテンプレートを使った。
本文データはWordがあれば十分な印象。

文章が溜まったら、また本を作ろう。何年後になるか分からないが。100ページに満たないこれを作るのに、実質的に3~4年掛かっている。気の長い話だ。

表紙イラストを発注する意欲も頭の片隅にある。しかし実際に声を掛けるとなると悩ましい。同人文化圏内の人間であれば「このイベントに出ます!」「これの二次創作です!」と言えば大体の文脈は汲んでくれるだろうが。素性不明の他人が書いた小説と呼んで良いのか分からない文章に添える為にイラストを描いて欲しいと言うのはなかなかハードルが高い。無名の個人の本棚に収まるだけなので、ポートフォリオの充実になるかも怪しい。

絵柄が好みで動向を追っているイラストレーターが一人いたのだが、コンタクトを見送った。コミュニケーション能力の欠如をこの時ばかりは恨んだ。

◇近況
世間(視界内のインターネット)では『ぼっち・ざ・ろっく』が流行り散らかしている。個人的には、「良質なきららアニメは身体に染みるなあ」と温度低めに楽しむ心づもりだったので、引き気味ですらある。2期の製作が最早確定事項となれば、嬉しい話には違いないが。
今期と言わず、一年の間に面白いアニメ/映像作品が他に沢山あったはずで、殆どに触れられていない。この時期になると一年の総括と称して良い作品を並べる者が散見される。そういう文章をできるだけ探して、視聴予定リストを充実させておきたい。

◇追記
そんなことを言っている間に、ぼざろの最終回を見終えた。期待以上の熱を込められたアニメで、すぐに消化できるものではない。本編もアルバムも、きっと何回も見返す/聞き返すことになる。

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