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藤原定頼と道命阿闍梨

藤原定頼(ふじわらのさだより)が道命阿闍梨と交わした歌。

ちょっと恋人同士の歌のやりとりみたいで、取り上げてみました。

こんな歌も定頼は、道命におくっています。

たえやせん命ぞしらぬみなせがはよしながれても心みよ君

定頼集

情熱の恋歌のよう。


藤原定頼と言えば、歌合に呼ばれた小式部内侍に、「丹後のお母さんへの使いは間に合った?(名歌人のお母さんは歌合の歌を送ってくれた?)」とからかったら、

大江山いくのの道の遠ければまだふみもみず天の橋立

と三つも歌枕を読み込み、定頼は返歌もできず、逃げるしかなかったという話が有名なのでは?

でも、定頼だって歌人として有名なんですよね。父は三舟の才で有名な、藤原公任。

定頼は、父公任にあらゆる教養を教えこまれ、歌のみに限らず、芸能に秀でてました。声が美しく、経を読んで、小式部内侍を感動させた話もあります。
他にも恋人が数人いたようで、父とは違い、モテたのかな?

声明(しょうみょう)が美しかったと言えば、道命阿闍梨もまた。

宇治拾遺物語にはこのような話が。
道命が、和泉式部と枕をともにした夜、経を唱えていると、なぜか老人が。実は道祖神。
普段は梵天や帝釈天など高貴な神がいて、近くで聴けないが、今日は行水もせずに読経していたので、その観音達がおらず、美声を拝聴できたと。兄弟子恵心僧都に戒められます。

先にも登場しましたが、和泉式部の娘は小式部内侍なのです。


二人とも、美声で、和泉式部と小式部の母娘と関係あった。そして、定頼が時々、道命を訪ねるなどの、交流があったというのは、おもしろい。

参考

道命阿闍梨と恋歌 | CiNii Research


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