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上野氏の東大祝辞かっこいい。

 上野千鶴子氏による東大入学式の祝辞が話題になっているようだけど、よかったではないですか。私が初めて千鶴子姉さん(私の中ではこういう呼び方になって定着している)の本を買ったときは短大の先生だった(平安女学院大学短期大学部)。それが平成の終わりには、東大名誉教授で、入学式で祝辞なんて、私はむしろ、日本と東大に対して、ほほう変わったんだと感心した。

 内容だってその通り、だと思うし、どこに行ってもラーガ(インド音楽の音階の種類)を変えない、スパイスの配合を変えない――インド的に言うなら――そんな千鶴子姉さんはロッケンロールでかっこいい。

 日本だと性差別、って独立して話せるかもしれないが、私のように多言語多文化の世界にいると、それだけでなくて、人種、宗教、学歴、なんかも入ってきて、とてもごちゃごちゃしてくる。

――あなたたちはがんばれば報われる、と思ってここまで来たはずです。ですが、冒頭で不正入試に触れたとおり、がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています。そしてがんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。あなたたちが今日「がんばったら報われる」と思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです(祝辞より)。

 しかし、だからなおさら、このような話は響く。インド人じゃないから、男性じゃないから、ウエスタンじゃないから、いろんな理由で、起きていることをなかったことにしてしまう文化的な装置っていうのがある。逆に同じカテゴリに入る人たちが足をひっぱることだってある。

――あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください(祝辞より)。

そうですね。

最後に一点だけ、異議あり。メタ知識を学ぶなら、東大よりもインドだと思ってます。


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